ガン?!

34歳Yさん。4人のお子様のママ。

昨年12月から不正出血が起こるようになりました。出血の時期は、排卵期など特定の時期ではなく、生理が終わったかな、と思った2、3日後から少量の出血がずっと続き、次の生理が来る、といった状態でした。

先日亡くなったZARDの坂井泉水が子宮頚癌とわかった最初の症状は「不正出血だった」ということもあり、Yさんは心配になって癌検診に行きました。結果は何の問題もなく、内診でも何も出血の原因となるような子宮筋腫などは見つかりませんでした。

「おそらくホルモンバランスが乱れているのでしょう」と内服薬もなく、しばらく様子を見ることになりました。

しかし2ヶ月様子をみても状況が変わらないために、心配になったYさんはまた受診されました。しかし子宮には何も問題は見つからないために、もう2ヶ月様子をみてそれでも変わらないようであれば薬による治療をしましょう、と医師に言われました。

薬による治療は排卵促進剤もしくはピルによる治療のようです。

しかしYさんはこれ以上子供を希望しているわけでもなく、今崩れているバランスを整えるだけで良いのに強い薬を服用することに不安を感じ、とりあえず次の受診までの2ヶ月間、漢方により体を整え不正出血の症状をなくしたい、と漢方を希望して来店されました。

漢方ではYさんのような不正出血の症状は、「脾経の統血作用」と「補気作用」が弱っているために「血が漏れている」と捉えます。また余分な血はしっかり排出するけれども、漏れる血は留めるようにもしないとなりません。

それらのことをふまえて漢方薬は「田七人参」「帰脾錠」をYさんには服用してもらうことにしました。まずは次の生理が来るまでの半月間、これらのお薬で様子を見てもらいます。その間も症状はどうなったか、そして生理後はどうなったか、をまたYさんに報告してもらい、その状況でまた次のお薬を調整することになります。

そして次の検診ではホルモン検査をされることをおすすめします。病院では「ホルモンバランスが崩れているのかも」と言われただけで血液検査は行っていないということですので、検査によりホルモンバランスが乱れているのかを診ることは大切なことで、今後治療をすすめていくうえでの重要なポイントとなるはずです。

検査は今自分の体がどうなっているのか、を正確に捉えるためで、その後治療をいかにして進めるかは本人の選択の自由です。ホルモンバランスが崩れているからと言って、その治療方法は決してホルモン療法だけではありません。漢方薬でも十分に副作用なく安全に治療をすすめることができます。

もし病院での治療の薬の副作用に悩まされているようなことがあれば、是非漢方薬をお試しください。

うまくコントロールを

50歳間近のTさん。ここ最近生理の量がかなり多くなり、だらだらと続き、周期も短くなってきて月に2回もあるようになってきました。

2年ほど前に筋腫が4cmほどのものが2つもあることがわかりましたが、生理の量が増えてきたのはここ半年のことのようです。半年前に婦人科へ行くと、「筋腫が原因でその症状が起こっている」ということで、ホルモン剤により生理を止め、筋腫を小さくする治療が行われました。しかし、3ヶ月ほど続けた結果、その間、生理も止まることなく、筋腫の大きさも全く変わらなかったために、その治療を止められました。

そして次に頭に浮かんだのが漢方薬でした。

西洋薬を服用することに抵抗があったTさんにとって、自然のものからできている漢方薬なら抵抗なく飲むことができる、と考えたからです。

Tさんの不正出血は、子宮筋腫もその原因の1つでもありますが、周期が短くなってきたり量が過度に多くなったりするようになったのが、半年前よりもここ2~3ヶ月ほどあることから、ホルモン治療後の副作用も多少はあるかもしれません。また年齢的にも少し崩れてくる時期であることもあるでしょう。

今現在「貧血」もあり、顔は艶のない白色で、爪も白く、舌はもったりとした状態であるために、まずは無駄に出血している状態を止めなければなりません。

そこでTさんにお勧めしたのは「文山田七」です。

あまり多くのお薬を飲むことを望まれなかったTさんには、まずは「文山田七」から始めました。不正出血が治まった後で、残っている症状を確認し、それに対して調整することを次の治療ステップにしていきます。

Tさんの場合はホルモン治療をされたのは3ヶ月のみですので、それによるバランスの崩れはすぐに改善されることでしょう。ただ子宮筋腫による不正出血に関しては、筋腫を取り除く手術を望まないのであれば、閉経まで何らかの治療を続ける必要があります。

Tさんのように、西洋薬が嫌で、手術はもっと避けたいことなのであれば、症状に合わせて「文山田七」を使用することで、体質改善を図る方法をオススメします。

不正出血と乳腺の関係

香港にお住まいの47歳のOさん。少量ですが不正出血があったので、病院へ。

検査では、子宮には何の問題もありませんでした。

おそらく日本の病院では検査はここまでで、不正出血に対しては、止血剤を出されることでしょう。

しかし香港では、子宮と乳腺のラインは関連があるとされているために、乳腺の検査も行われました。

そして、小さい「乳癌」が発見されたのです。

乳癌の自己チェックとして行うような触診では、全く触れることができないくらいの小さなもの。しかし、その正体は、「癌細胞」。

即、Oさんは、その小さな悪性の細胞を取り除く手続きをされました。

日本では、この様な不正出血の場合、どんな検査がされたでしょう?

「香港が進んでいる」とは一概には言えませんが、香港では常に「乳腺のトラブル」の検査時も「子宮の検査」は行われるそうです。

この様な例もあるように、何かトラブルが生じた場合、単なる「不正出血」と思わずに、検査に行くようにしてください。何でも早期発見が大切です。

不正出血の診断法

「不正出血」とは、「月経期以外の時期に出血している状態」もしくは「月経後に出血が続く状態」のことです。

中医学では、そのことを「崩漏」もしくは「崩漏下」といいます。

その字のそれぞれの意味は「崩」は「急激に多量の出血が起こるもの」のことで、「漏」は「だらだらと少量の出血が続くもの」のことです。

「漏」から始まり、それが長引き気血を消耗すれば「崩」に転化することがありますが、大体良く訴えられる症状としては「漏」の段階の人が多いものです。

その原因として「衝任脈」の損傷による固摂機能の失調によるものですが、衝任脈の損傷の原因としては「血熱」「気欝」「血お」「気虚」「陽虚」「陰虚」などがあります。

『「血熱」が原因で「崩漏」になる』とは・・・、

常々「熱がり」な体質で、「ピリ辛系の食べ物」を良く食べたり、サウナに入ったりするなど「熱邪の侵入」を受けると、熱が体の中に多くなり、その熱が原因で「不正出血」になること。

『「気欝」が原因で「崩漏」になる』とは・・・、

常々「イライラ」したり「くよくよ」したりと「抑欝」傾向の性格で、そのことが肝の欝熱を生み出し、肝の蔵血機能が失調し、「不正出血」になること。

『「血お」』が原因で「崩漏」になる』とは・・・、

月経期や産後に「冷え」や「熱」を受けた場合、「血お」を生じ、それが子宮内の循環を悪くすることで「不正出血」となること。

『「気虚」が原因で「崩漏」になる』とは・・・、

常々「脾気不足」であったり、「食べすぎ」「飲みすぎ」「疲れすぎ」などによって「脾気」を損傷することにより、「不正出血」になること。

『「陽虚」』が原因で「崩漏」になる』とは・・・、

もともとの先天の気が弱かったり、更年期などで、「腎陽」を虚衰され、「不正出血」となること。

『「陰虚」』が原因で「崩漏」になる』とは・・・、

もともと虚弱体質だったり、多量の出血、慢性病などにより「腎陰」が不足し、虚火により「不正失血」となること。

上記のように、一言に「不正出血」といえども原因は様々です。

本当にすぐに止めないとならない「出血」なのか、出ききらずに残っているから出ている「出血」なのか、によっても対処方法が変わってきます。

「不正出血かな」と思われる人は、必ず専門家に相談し、真の原因を追究して、根本より改善するようにしてください。

気をつけたい不正出血

10年前に乳癌の治療を受けた60歳のCさん。

その時の治療は、手術とホルモン療法を受けられました。最近茶色い不正出血が続いたので検査をしたら、子宮体癌ということがわかりました。

乳癌の手術後にはタモキシフェン(商品名:ノルバデックス)というホルモン剤が使用されることが多いのですが、これを服用すると子宮体癌になる危険率があがってしまうのです。

このタモキシフェンの作用は、女性ホルモンであるエストロゲンの働きを阻害します。エストロゲンは、乳ガン細胞の増殖を促しますので、タモキシフェンがエストロゲンに対抗することで、患側の乳癌細胞の増殖を抑制もしくは停止させたり、反対側の発生を防止する効果があると考えられてきました。

また、タモキシフェンは、閉経前の妊娠率を上げることも明らかになっています。不妊の治療として排卵を誘発する目的で、タモキシフェンを使用している国もあるようです。反対に、閉経前で妊娠を希望しない人は、避妊の処置をする必要があるということです。

この乳癌予防には良い「タモキシフェン」ですが、子宮体癌を招く可能性が大きいことは、近年になって分かってきたことで、医師から説明を受けていない人も多いようです。

乳癌でホルモン療法を受けた人は、その可能性が大きいこともあるために、年に1回の婦人科検診を必ず受診され、「過去にホルモン療法を受けたことがあることを告げること」、「不正出血がある場合はそのことも告げること」を行ってください。

なかなか婦人科検診にてその事実を医師に伝えない人が多いようですが、早期発見、早期治療のための正しい情報は必ず伝えるようにしてください。家族のためにも必要なことです。