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漢方で1日1善【by 漢方の健伸堂薬局】

漢方相談歴30年以上、国際中医師の古村学です。日常の漢方相談の中から、様々な症例とそれに対応する漢方の考え方や処方をたくさん記録して行くように努めています。漢方での疑問な事や知りたかったことなどの参考にしてください。

作者別: 健伸堂

首の凝りと喉の違和感

2026年5月9日 by 健伸堂

喉の違和感や飲み込みにくい症状の多くは<気滞>が原因とされます。
ストレスなどで気が喉に停滞しているもので、漢方では<梅核気>とも言われます。

これに対して、ストレス要因がなく、肩や首の筋肉(特に胸鎖乳突筋)が硬くなるために喉の違和感が出るケースもあります。

72歳のTさん、昨年10月頃から喉の圧迫感や、喉に引っかかる感じが出始めました。症状は特に朝方が強く出るようでした。

そこで病院で様々な検査を受けられましたが、特に異常はありませんでした。

詳しくお聞きすると、以前むち打ちを何度か経験され、肩や首は慢性的に凝っている、昨年顔面神経麻痺が発症した、逆流性食道炎で服薬した、耳鳴りがある、舌は白苔、などでした。

そこで、逆流性食道炎の原因が<気滞>であることから、まずは化痰降気の半夏厚朴湯などをお使いいただきました。

2週間後、喉がコロコロする感覚は減少したが、圧迫感は変わりませんでした。

これは<気滞>が原因ではなく、朝方不調であることや、昨年に顔面神経麻痺が起きたことも考え、肩こりや筋肉の緊張から生じていると思われました。

そこで漢方薬は、平肝薬や解表薬に変更したところ、喉の症状は改善しました。

当然のことですが、症状だけを見るのでなく、病歴なども勘案することで原因を正確に捉えることができた事例でした。

燃えるようなツツジ

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カテゴリー: 喉の痛み・つまり, 肩こり, 自律神経失調症 タグ: 半夏厚朴湯, 喉の違和感, 柴朴湯, 逆流性食道炎, 釣藤散, 顔面神経麻痺

肩関節周囲炎の漢方

2026年5月2日 by 健伸堂

一般的に、四十肩や五十肩と言われる肩関節周囲炎は、肩の違和感や痛み、腕が動かしにくいなどの症状が現れます。

原因は、運動不足や長時間パソコン仕事などで日常的に肩や首が凝っていることが多いようです。

46歳のSさん、以前から身体は冷えやすく、肩こりも酷いため、補気補血薬をお使いになっていましたが、昨年末頃に肩から腕にかけての痛みが出始め、最近は更に悪化してきたとのご相談でした。

肩は温めても痛みは変わらず、首も動かしにくい、凝りが酷い状態でした。

3月から悪化してきたとのことで、冷えが原因ではなく、陽気が昇ってきたために身体の中も陽気が昇っていると考え、お薬は陽気を抑える平肝剤や、解表薬をお使いいただきました。

結果、服用された明くる日から夜間の痛みは軽減し、腕や肩の動きが改善されました。しかし元々の腕や肩の凝りは残っていたため、今後は根本治療としての活血薬を併用する必要があると考えています。

香り高い自然生えのセリ

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カテゴリー: 肩こり タグ: 活血薬, 独活葛根湯, 肩こり, 肩関節周囲炎, 解表薬, 釣藤散

腎移植後の腎機能維持

2026年4月25日 by 健伸堂

人工透析の後に腎移植を受けられる方はよく見られます。
これによって週3回の透析治療が、月1回の治療や検査で済むため生活の質(QOL)が格段に向上します。

60歳のMさん、約13年間の透析治療の後、昨年初めに腎移植手術を受けられました。その後大きなトラブルもなく、免疫抑制剤や降圧剤などを服用しながら、将来の腎機能低下を予防する目的で漢方薬を併用することになりました。

漢方薬は、腎機能を助けるオウギ製剤や活血剤、免疫調整作用のもの、西洋薬の副作用で生じる肝機能障害を抑制するものなどを使いました。

結果、クレアチニンの値は、腎移植2か月後は1.00、その後変動しながらも、1年3か月後は0.88、BUNは18で安定しています。

今後も経過をみながら、漢方薬も調整が必要かと思います。

黄色鮮やかなヤマブキの花

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カテゴリー: 腎臓病 タグ: 免疫抑制剤, 漢方薬, 腎機能維持, 腎移植

病気不安症(心気症)の漢方

2026年4月18日 by 健伸堂

一つの症状が過度に気になり、不安が強まる状態は、病気不安症や不安障害などに相当します。

そのため複数の医院を訪ねたり、検査を繰り返し受けられるケースもありますが、実際は本人が考えるほど深刻な症状でないことも多くあります。

18歳のFさん、鼻の部分が腫れぼったく、皮脂も多いので心配になりお越しになりました。
詳しくお伺いすると、症状は5年ほど前から繰り返しているが、痛みや痒みはなく、見た目もほとんどわからない程度でした。
それでもご本人は不安感があり、改善したいとのことでした。

それ以外には、息が吸い込めないときがある、考えすぎて頭がいっぱいになる、以前には過呼吸症状があり、急に苦しくなる、時々ドキドキする、などの訴えがありました。

これらから、根本には不安症があり、鼻の症状はそれに伴い出ているものと考えました。

そこで、血圧が低く、舌は淡舌で血液不足もあるため、補気血薬を用いました。
また不安感を軽減し気分を安定させるために竜骨牡蛎薬を併用しました。
過呼吸などの急な症状に対しては、芳香開竅薬を頓服として使うことにしました。

なによりも大事なのは、カウンセリングによって安心感を持っていただく事でした!

その後、安神剤やシベリア人参なども使いながら半年経過、春先には高校を卒業し就職試験を受けられました。

神経過敏で緊張しやすいタイプなので、入社試験が心配されましたが無事就職!
その後もしっかり勤められて、心身のトラブルもなく元気にされています。

結果、将来に対する不安やストレスが、形を変えて鼻の腫れとしての<病気不安症>を生んだのではと思われます。

なお、鼻の症状に対しては少量の清上防風湯をお使いいただきましたが、いつの間にか症状が消えてしまったようです。

香り高いウド

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カテゴリー: 自律神経失調症, 鬱・不安感・神経過敏・ストレス タグ: カウンセリング, シベリア人参, 安神剤, 心気症, 病気不安症, 竜骨牡蛎, 補気血剤

高齢者の透析を避ける漢方

2026年4月13日 by 健伸堂

高齢になると五臓すべての機能は低下しますが、特によく見られるのが腎機能低下。

血清クレアチニン値の上昇によるeGFRの低下で、この値が15未満になると末期腎不全と診断され、透析が検討されます。
しかし、透析によって生活の質(QOL)が低下するので避けたいものです。

95歳のKさん、3年前にはクレアチニン3.8を超え、eGFRは12.1になったため、透析を勧められましたが、漢方で避けられないかと相談にお越しになりました。

そこで、活血剤や黄耆製剤、免疫調整作用のものなどをお使いいただき、2か月後にはクレアチニンが2.4まで下がり透析は避けられました。

このことは以前のブログにも書きましたが、その後の経過を紹介します。

漢方薬を飲み始めてから2年半経過し、この間データの変動はあるものの、現在はクレアチニン2.2まで下がり、eGFRは21になって透析の話はすっかりなくなりました。

ただし、貧血が進行してきたので、補血剤を使うなど状況によって漢方薬を調整してきました。

結果、体調は良く、現在も畑仕事をされています。

高齢者の透析は、認知症の進行、足腰の弱りと歩行困難、通院の交通手段の問題など、若い方に比べて多くの問題が伴います。

腎機能は完治することはありませんが、透析を受けずに元気に過ごせることが重要なこととなります。

山菜タラノメの季節

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カテゴリー: 腎臓病 タグ: eGFR, オウギ製剤, クレアチニン, 免疫調整, 活血剤, 腎機能低下, 補血剤, 透析

不定愁訴(原因不明の体調不良)

2026年4月6日 by 健伸堂

不定愁訴は様々な症状が同時に起きる状態で、主に自律神経トラブル、ストレス、ホルモンバランスの崩れなどが原因と言われます。

一般的には更年期によく見られますが、年代を問わず女性に多く見られます。

漢方では、様々な症状の改善だけでなく、その元にある体質を見極めて根本治療を行うことができます。

35歳のAさん、以前から奥歯が腫れている感覚や痛みのような感覚が続いていました。 
また、最近は頬がピリピリ痺れたり、脚がムズムズして気持ち悪い、口を開けると痛みが出る、圧迫感の側頭頭痛が起きる、など様々な症状が気になり始めました。

西洋医学では特に問題なく原因不明とされました。

Aさんは色白で、舌診では淡舌で血虚体質、くいしばりがあり神経質傾向、不安感があり、睡眠は良くない状態でした。

これらから考え、漢方では肝血虚による肝鬱タイプと考えました。

漢方薬は、補気血作用の<婦宝当帰膠>、疎肝作用の<逍遥顆粒>、欝熱をとり止痛作用の<清上蠲痛湯>などをお使いいただきました。

2週間後、脚のムズムズはなくなり、頭痛もほとんど出なくなりました。
1か月後には、歯茎の痛みや、頬の痺れも治まりました。

結果からみて、やはり血虚体質が様々な症状を生んでいると思われました。
今回も、根本原因となっている体質を判断できたことで、早期に改善ができました。

ユスラウメの花・赤い実が待ち遠しい

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カテゴリー: 原因不明, 更年期障害, 頭痛・偏頭痛 タグ: くいしばり, ムズムズ症候群, 不定愁訴, 歯茎の痛み, 肝血虚, 頭痛

高齢者の不安症

2026年3月30日 by 健伸堂

一人暮らしの高齢者は増える一方で、今後も社会問題になるかと思います。

地域のイベントや趣味の集まりに参加している方は良いのですが、特に地域とのつながりがなく、身内が遠方の方は完全孤立状態となります。

88歳の女性Kさん、かなり前に東京から京都に転居され、その後ご主人が亡くなられたので20年前から一人暮らしになりました。

高齢になるにつれ外出の機会が減り、腰椎すべり症や関節痛、白内障などの眼病、神経痛など、様々な疾患が目立つようになるとともに、気分も不安が強くなり、睡眠も不調になりました。

幸いにも息子さんが近くに住んでおられて、生活のサポートはされているのですが、仕事が忙しくゆっくり話す機会も少ないとのことでした。

そこで漢方薬は、不安症に竜骨牡蛎湯類、足腰の痛みに疎経活血湯や独活寄生湯、睡眠には酸棗仁湯など、状況に合わせて使っていただき、症状は緩和されていますが、不安感は増す一方で最近は抗不安薬なども使われています。

地域の集まりやデイサービス等には拒否感があり、今後も一人暮らしをすると決めておられるのですが、話す相手がいないため、頻繁に電話をかけてこられています。

このようなケースはさらに増えることと思われます。
高齢者福祉のさらなる充実を期待しています。

桃の花

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カテゴリー: 高齢者の症状, 鬱・不安感・神経過敏・ストレス タグ: 一人暮らし, 不安症, 痛みの疾患, 竜骨牡蠣湯, 酸棗仁湯, 高齢者

四季の血圧変動と漢方

2026年3月24日 by 健伸堂

高血圧人口は、成人の3割、50歳以上では5割以上の方が高血圧と言われます。
その多くの方が降圧剤を服用されていますが、季節によってもかなり変動します。

45歳のHさん、昨年秋ごろから血圧が上昇し、最高血圧が150を超える日もあったので病院の降圧剤を服用し始めました。

その後血圧は130程度に治まっていたのですが、先月頃から降圧剤を飲んでいるにもかかわらず最低血圧が高くなりはじめ100を超える時もありました。

肩がこったり、のぼせのような症状が出始めたので、相談を受けました。

詳しくお伺いした結果、<肝陽上亢=肝の陽気が上に昇る>によるものと考え、釣藤散をお使いいただき、その後血圧は落ち着いてきました。

血圧の変動は季節の変化により大きく影響を受けます。

春や秋の高血圧は、季節の変わり目で気温や気圧の変動が大きいため、それが自律神経に及ぶことで血圧が不安定になります。

特に春は陽気が増すために<肝陽上亢>により最低血圧が上昇しやすくなります。この時は釣藤散などを使います。

また、春先は生活環境の変化に伴うストレスが原因となるケースも多く、この場合は疎肝剤・柴胡剤を使う事もあります。

夏の高血圧は、発汗と脱水による血液濃縮などで高くなりやすく、この時は補気補陰剤などを使います。

冬の高血圧は寒さによる血管収縮が影響しやすく、血管拡張や血流改善のための活血薬を使います。

漢方の考え方では、季節に合った対応方法が基本になり、これらは降圧剤と併用できることも特徴です。

漢方では血圧のコントロール目的以外に、それに伴う合併症の動脈硬化や梗塞、心臓病、腎臓病、などの予防に様々な漢方薬を使います。

春の始まり・万作の花

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カテゴリー: 脳梗塞・脳溢血・脳卒中, 腎臓病, 血管疾患, 高血圧 タグ: ストレス, 合併症予防, 四季の高血圧, 漢方, 肝陽上亢, 血液濃縮

泡立つ尿の改善

2026年3月17日 by 健伸堂

尿が泡立つ原因は、脱水で濃縮された時や、糖尿病や腎臓病によって蛋白尿が生じた時に見られます。

特に高齢者ではよく見られる症状で、連続する場合は検査が必要です。

83歳のYさん、尿がよく泡立つので心配になり、病院で尿検査を受けられたところ、尿中蛋白が多いとの診断でした。

Yさんは元々腎機能低下があり、以前には漢方薬をお使いでしたが、改善していたので中断されていました。

ちょうどクレアチニンも 0.95 と少し高くなり始めていたので、再度漢方薬を使うことにしました。

お薬は、黄耆製剤や地黄製剤、霊芝製品などをお使いいただきました。

そして2か月後の検査では、クレアチニン、尿素窒素、蛋白尿とも下がりeGFRも改善し、安心されました。

なお、尿が米のとぎ汁のように濁っている場合は炎症がある印ですので、漢方ではこの尿を<膏淋>といい、消炎作用と利尿作用のある<五淋散>の適応となります。

尿は普段気にしないものですが、時々よく見ることも大切ですね。

鮮やかな黄色の姫立金花

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カテゴリー: 腎臓病, 頻尿・膀胱炎 タグ: クレアチニン, 地黄製剤, 泡立つ尿, 腎機能, 蛋白尿, 霊芝製品, 黄耆製剤

嗜眠(しみん)の漢方

2026年3月11日 by 健伸堂

嗜眠とは、西洋医学では強い刺激を与えないと覚醒しない病的な深い眠りのことをいい、意識障害のひとつとされます。

一方、中医学では日中の強い眠気でうたたねをしてしまうような状態を言い、その原因は<陽気不足>、<痰湿内阻>、<脾虚湿盛>などがよく見受けられます。

25歳の女性Yさん、睡眠は6時間以上で不眠ではないのに昼に眠くなる、特に昼食後が酷くすぐに寝てしまう、仕事でパソコンを使う時間が長く、急に眠くなってうたたねをし、注意されることもあるとお困りでした。

Yさんは痩せ型で、疲れやすく、色白、食欲はあるが時々下痢をする、肩こりも強い、舌診では淡舌・白苔・歯痕ありでした。
漢方ではこのような状態を<脾虚湿盛>と捉えます。

そこで漢方薬は、胃腸の働きを高め、水分の代謝を良くする<六君子湯>や、貧血傾向を改善し睡眠を良くする<帰脾湯>をお使いいただきました。

その2週間後には身体は楽になり、1か月後にはうたたねは無くなりました。
長い間悩んでいた症状が早く改善し、喜んでいただきました。

仕事中にうたたねしていると怠けているように思われがちですが、実は体質的な原因があるためなので漢方で改善が可能です。

思い当たる方はご相談ください。

庭の水仙が咲きました

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カテゴリー: 疲労感・倦怠感, 胃痛・胸やけ・膨満感 タグ: うたたね, 六君子湯, 嗜眠, 帰脾湯, 強い眠気, 痰湿内阻, 脾虚湿盛, 陽気不足
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筆者 プロフィール

古村匡崇(薬剤師)
古村学(登録販売者・国際中医師)

漢方専門の薬局として、永年にわたり漢方相談を行ってきました。
日本漢方と中医学の両方の特徴を活かしながら、日々研鑽を積み重ねています。
少しでも多くの方に喜んでいただけることを目標に。

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