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漢方で1日1善【by 漢方の健伸堂薬局】

漢方相談歴30年以上、国際中医師の古村学です。日常の漢方相談の中から、様々な症例とそれに対応する漢方の考え方や処方をたくさん記録して行くように努めています。漢方での疑問な事や知りたかったことなどの参考にしてください。

作者別: 健伸堂

不定愁訴(原因不明の体調不良)

2026年4月6日 by 健伸堂

不定愁訴は様々な症状が同時に起きる状態で、主に自律神経トラブル、ストレス、ホルモンバランスの崩れなどが原因と言われます。

一般的には更年期によく見られますが、年代を問わず女性に多く見られます。

漢方では、様々な症状の改善だけでなく、その元にある体質を見極めて根本治療を行うことができます。

35歳のAさん、以前から奥歯が腫れている感覚や痛みのような感覚が続いていました。 
また、最近は頬がピリピリ痺れたり、脚がムズムズして気持ち悪い、口を開けると痛みが出る、圧迫感の側頭頭痛が起きる、など様々な症状が気になり始めました。

西洋医学では特に問題なく原因不明とされました。

Aさんは色白で、舌診では淡舌で血虚体質、くいしばりがあり神経質傾向、不安感があり、睡眠は良くない状態でした。

これらから考え、漢方では肝血虚による肝鬱タイプと考えました。

漢方薬は、補気血作用の<婦宝当帰膠>、疎肝作用の<逍遥顆粒>、欝熱をとり止痛作用の<清上蠲痛湯>などをお使いいただきました。

2週間後、脚のムズムズはなくなり、頭痛もほとんど出なくなりました。
1か月後には、歯茎の痛みや、頬の痺れも治まりました。

結果からみて、やはり血虚体質が様々な症状を生んでいると思われました。
今回も、根本原因となっている体質を判断できたことで、早期に改善ができました。

ユスラウメの花・赤い実が待ち遠しい

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カテゴリー: 原因不明, 更年期障害, 頭痛・偏頭痛 タグ: くいしばり, ムズムズ症候群, 不定愁訴, 歯茎の痛み, 肝血虚, 頭痛

高齢者の不安症

2026年3月30日 by 健伸堂

一人暮らしの高齢者は増える一方で、今後も社会問題になるかと思います。

地域のイベントや趣味の集まりに参加している方は良いのですが、特に地域とのつながりがなく、身内が遠方の方は完全孤立状態となります。

88歳の女性Kさん、かなり前に東京から京都に転居され、その後ご主人が亡くなられたので20年前から一人暮らしになりました。

高齢になるにつれ外出の機会が減り、腰椎すべり症や関節痛、白内障などの眼病、神経痛など、様々な疾患が目立つようになるとともに、気分も不安が強くなり、睡眠も不調になりました。

幸いにも息子さんが近くに住んでおられて、生活のサポートはされているのですが、仕事が忙しくゆっくり話す機会も少ないとのことでした。

そこで漢方薬は、不安症に竜骨牡蛎湯類、足腰の痛みに疎経活血湯や独活寄生湯、睡眠には酸棗仁湯など、状況に合わせて使っていただき、症状は緩和されていますが、不安感は増す一方で最近は抗不安薬なども使われています。

地域の集まりやデイサービス等には拒否感があり、今後も一人暮らしをすると決めておられるのですが、話す相手がいないため、頻繁に電話をかけてこられています。

このようなケースはさらに増えることと思われます。
高齢者福祉のさらなる充実を期待しています。

桃の花

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カテゴリー: 高齢者の症状, 鬱・不安感・神経過敏・ストレス タグ: 一人暮らし, 不安症, 痛みの疾患, 竜骨牡蠣湯, 酸棗仁湯, 高齢者

四季の血圧変動と漢方

2026年3月24日 by 健伸堂

高血圧人口は、成人の3割、50歳以上では5割以上の方が高血圧と言われます。
その多くの方が降圧剤を服用されていますが、季節によってもかなり変動します。

45歳のHさん、昨年秋ごろから血圧が上昇し、最高血圧が150を超える日もあったので病院の降圧剤を服用し始めました。

その後血圧は130程度に治まっていたのですが、先月頃から降圧剤を飲んでいるにもかかわらず最低血圧が高くなりはじめ100を超える時もありました。

肩がこったり、のぼせのような症状が出始めたので、相談を受けました。

詳しくお伺いした結果、<肝陽上亢=肝の陽気が上に昇る>によるものと考え、釣藤散をお使いいただき、その後血圧は落ち着いてきました。

血圧の変動は季節の変化により大きく影響を受けます。

春や秋の高血圧は、季節の変わり目で気温や気圧の変動が大きいため、それが自律神経に及ぶことで血圧が不安定になります。

特に春は陽気が増すために<肝陽上亢>により最低血圧が上昇しやすくなります。この時は釣藤散などを使います。

また、春先は生活環境の変化に伴うストレスが原因となるケースも多く、この場合は疎肝剤・柴胡剤を使う事もあります。

夏の高血圧は、発汗と脱水による血液濃縮などで高くなりやすく、この時は補気補陰剤などを使います。

冬の高血圧は寒さによる血管収縮が影響しやすく、血管拡張や血流改善のための活血薬を使います。

漢方の考え方では、季節に合った対応方法が基本になり、これらは降圧剤と併用できることも特徴です。

漢方では血圧のコントロール目的以外に、それに伴う合併症の動脈硬化や梗塞、心臓病、腎臓病、などの予防に様々な漢方薬を使います。

春の始まり・万作の花

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カテゴリー: 脳梗塞・脳溢血・脳卒中, 腎臓病, 血管疾患, 高血圧 タグ: ストレス, 合併症予防, 四季の高血圧, 漢方, 肝陽上亢, 血液濃縮

泡立つ尿の改善

2026年3月17日 by 健伸堂

尿が泡立つ原因は、脱水で濃縮された時や、糖尿病や腎臓病によって蛋白尿が生じた時に見られます。

特に高齢者ではよく見られる症状で、連続する場合は検査が必要です。

83歳のYさん、尿がよく泡立つので心配になり、病院で尿検査を受けられたところ、尿中蛋白が多いとの診断でした。

Yさんは元々腎機能低下があり、以前には漢方薬をお使いでしたが、改善していたので中断されていました。

ちょうどクレアチニンも 0.95 と少し高くなり始めていたので、再度漢方薬を使うことにしました。

お薬は、黄耆製剤や地黄製剤、霊芝製品などをお使いいただきました。

そして2か月後の検査では、クレアチニン、尿素窒素、蛋白尿とも下がりeGFRも改善し、安心されました。

なお、尿が米のとぎ汁のように濁っている場合は炎症がある印ですので、漢方ではこの尿を<膏淋>といい、消炎作用と利尿作用のある<五淋散>の適応となります。

尿は普段気にしないものですが、時々よく見ることも大切ですね。

鮮やかな黄色の姫立金花

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カテゴリー: 腎臓病, 頻尿・膀胱炎 タグ: クレアチニン, 地黄製剤, 泡立つ尿, 腎機能, 蛋白尿, 霊芝製品, 黄耆製剤

嗜眠(しみん)の漢方

2026年3月11日 by 健伸堂

嗜眠とは、西洋医学では強い刺激を与えないと覚醒しない病的な深い眠りのことをいい、意識障害のひとつとされます。

一方、中医学では日中の強い眠気でうたたねをしてしまうような状態を言い、その原因は<陽気不足>、<痰湿内阻>、<脾虚湿盛>などがよく見受けられます。

25歳の女性Yさん、睡眠は6時間以上で不眠ではないのに昼に眠くなる、特に昼食後が酷くすぐに寝てしまう、仕事でパソコンを使う時間が長く、急に眠くなってうたたねをし、注意されることもあるとお困りでした。

Yさんは痩せ型で、疲れやすく、色白、食欲はあるが時々下痢をする、肩こりも強い、舌診では淡舌・白苔・歯痕ありでした。
漢方ではこのような状態を<脾虚湿盛>と捉えます。

そこで漢方薬は、胃腸の働きを高め、水分の代謝を良くする<六君子湯>や、貧血傾向を改善し睡眠を良くする<帰脾湯>をお使いいただきました。

その2週間後には身体は楽になり、1か月後にはうたたねは無くなりました。
長い間悩んでいた症状が早く改善し、喜んでいただきました。

仕事中にうたたねしていると怠けているように思われがちですが、実は体質的な原因があるためなので漢方で改善が可能です。

思い当たる方はご相談ください。

庭の水仙が咲きました

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カテゴリー: 疲労感・倦怠感, 胃痛・胸やけ・膨満感 タグ: うたたね, 六君子湯, 嗜眠, 帰脾湯, 強い眠気, 痰湿内阻, 脾虚湿盛, 陽気不足

春の胃腸トラブル

2026年3月7日 by 健伸堂

3月に入り、急に温かくなってきました。

この時期は花粉症トラブルの方が増えて来ますが、さらに季節の変わり目で自律神経トラブルの方も増える時期です。

70歳のHさん、2年前にご主人が亡くなった後、ストレスにより食欲が低下し、少量しか食べられない、食べるとムカムカする、咽がヒリヒリする、などの症状が出始めました。
そのため食べ物は流動食がメインで、アルコールはよく飲むようです。

そこで原因は漢方で言う<胃気上逆>の状態と考え、気を降ろし胃の働きを助けるように、半夏厚朴湯や香蘇散をお使いいただきました。

また、舌のピリピリ感や咽のヒリヒリ感に対しては、逍遥顆粒などの疎肝剤をお使いいただきました。

1ヵ月後、吐き気も治まり食事が摂れるようになりました。

Hさんの場合は原因が明らかでしたが、春先は陽気が高まるとともに<気>が昇り、吐き気などの症状が出やすい時期です。

自律神経に伴う胃腸症状はご相談ください。

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カテゴリー: 喉の痛み・つまり, 嘔吐, 食欲不振・拒食 タグ: 嘔吐, 胃気上逆, 自律神経, 食欲不振

IgA腎症による蛋白尿

2026年2月19日 by 健伸堂

IgA腎症は風邪などの感染症の後に見られる、免疫グロブリンのIgAが腎臓の糸球体に沈着し慢性炎症を起こす疾患です。
症状はほとんどなく、検査で血尿や蛋白尿が見られ、進行すると慢性腎臓病になります。

35歳のTさん、数年前の検診で蛋白尿と尿潜血が見つかり、その後治まらないので漢方を使ってみたいとお越しになりました。

発症の原因は不明で、自覚症状もなく検査でわかったとのこと、体質は冷え症、神経質気味、緊張しやすく、睡眠は浅い、抜け毛や白髪があるとのこと。

そこで過剰免疫を抑制するものや免疫調整作用のもの、止血作用のあるもの、冷えや白髪があるので補陽・補腎薬、などをお使いいただきました。

3か月後、尿中蛋白は127㎎/dl から11mg/dl に減少、潜血反応は変わらず3+でした。

その後も尿中蛋白は正常範囲を維持し、尿潜血は2+に低減しました。
一般的に潜血反応が消えるまでは時間がかかりますが、尿潜血による貧血などの症状がない場合は時間を要しても問題ありません。

Tさんの場合はかなり早い改善でしたが、IgA腎症の改善は個人差があり、もっと時間がかかることもあります。

いずれにしても、慢性腎臓病や腎不全にならないよう、早く治めることが大切です。

 真っ白な水仙

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カテゴリー: 腎臓病 タグ: IgA腎症, シベリア霊芝, 免疫抑制, 八味地黄丸, 尿潜血, 柴胡剤, 蛋白尿, 補腎陽

肩関節の痛みに漢方

2026年2月13日 by 健伸堂

85歳のFさん、1月の雪の降る日に屋外作業をした後に肩関節と腕が痛み始めました。
特に夜間や睡眠時に横になった時などに痛みが強くなるようです。
また風呂で温めると痛みは軽減しました。

Fさんは少しやせ型、冷え症、舌診では淡舌で貧血傾向がありました。

これらから風寒による血於(血流悪化)が原因と考え、去風湿活血の疎経活血湯や、散寒止痛薬の桂枝加朮附湯などをお使いいただきました。

2週間後、肩や腕の痛みは軽減し、睡眠も楽になりました。
その後も時々同様の症状が出ることがありましたが、この薬を常備薬として必要に応じてお使いになっています。

高齢者は元々陽気が少なく、冷えると痛みを生じやすいことや、血流悪化を生じやすいので、冬に痛みの疾患が出やすくなります。

身体を温め、血流を良くすることで早い改善が可能になります。

蝋梅の季節

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カテゴリー: 手・脚・膝の痛み タグ: 寒湿, 桂枝加朮附湯, 疎経活血湯, 肩関節炎, 高齢者

高齢者の皮膚掻痒症

2026年1月31日 by 健伸堂

漢方で考える皮膚掻痒症の原因はいくつもあります。例えば、

表虚(皮膚が弱い) 
血虚(皮膚への血液不足) 
陰虚(潤い不足)
肝鬱(ストレスなどが影響)

など様々ですが、冬の時期の痒みの多くは、寒さによるものと乾燥によるものです。
特に高齢者に多く、老人性皮膚掻痒症と言われます。

70歳のYさん、最近冬になると首筋や腰付近がかゆくなるとのこと。
元々アレルギー体質があり、皮膚炎は起きやすい方でした。

体型はやや小太り、舌診では燥苔で身体は乾燥傾向、身体が温まった後に痒くなる、着替えをして冷えたときにも痒みが出る、時々紅斑が出る、冬が酷く夏は軽減する、などでした。

そこで原因は陰虚体質による乾燥と考え、身体を潤す<滋陰剤>を使いました。
2週間後、肌の潤いは少し改善しましたが、痒みは変わりませんでした。

そこで再度状態を聞くと、温かい日はましになる、元々体温が低い、とのことでしたので漢方薬を変更し、<温陽去寒剤>を用いました。

そして2週間後には痒みが軽減してきました。
結果、この方は腎陽虚体質で、身体の芯が冷えているために生じたようです。
現在はすっかり治まりましたが、予防的に少量の服用で継続されています。

高齢者の皮膚掻痒症は、陰虚体質や血虚体質による皮膚の乾燥のケースがよく見られますが、陽虚体質による冷えが原因の場合も時々見られます。

陽に輝く法隆寺の五重塔

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カテゴリー: 湿疹, 蕁麻疹(じんましん) タグ: 乾燥肌, 皮膚搔痒症, 真武湯, 老人性, 腎陽虚, 附子理中湯, 陰虚体質, 高齢者

会食恐怖症や社交不安症の漢方

2026年1月17日 by 健伸堂

他人と外食するときに過度の緊張状態が生じて、食べられない、飲み込めない、吐き気がする、動悸がする、などのトラブルでお困りの方は意外に多く見られます。

西洋医学では会食恐怖は社交不安症に分類されます。

23歳のAさん、以前から咽が詰まる感覚があり、慣れない場所や人込みなどで不安感が生じてパニック症状が出ることもありました。

他人と食事をするときは緊張感が生じ、食べられなくなり、途中で吐き気がすることもあり、漢方相談をお受けしました。

Aさんは体重が少なく、元々食が細く、食後に胃もたれすることが多く、腹部は硬く緊張気味、便秘気味でした。

そこで漢方薬は、抗ストレス作用の<エゾウコギ配合食品>を基本とし、咽の緊張を緩和する<半夏厚朴湯>や、胃気を下げるために<香蘇散>をお使いいただきました。

さらに日常的に胃の機能を高めるために健胃薬を少量併用しました。

約3か月後、外食のも少しずつできるようになり、吐き気も減少してきました。

完治には<大丈夫>という自信をつけるまで時間がかかると思いますが、少しづつ慣れてきて改善するものと思われます。

色鮮やかな山茶花

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筆者 プロフィール

古村匡崇(薬剤師)
古村学(登録販売者・国際中医師)

漢方専門の薬局として、永年にわたり漢方相談を行ってきました。
日本漢方と中医学の両方の特徴を活かしながら、日々研鑽を積み重ねています。
少しでも多くの方に喜んでいただけることを目標に。

漢方の健伸堂薬局(京都)

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