皮膚掻痒症

冬に相談に来られるアトピーや皮膚病の方は、ほとんどが乾燥で悪化するタイプで、特に睡眠時に身体が温まると痒くなるという方が多いようです。先日も同様の症状の方が2人相談がありました。

45歳男性Mさん、特に目立った発疹があるわけでもないのですが、夜間の睡眠時に急に痒くなり目が覚めるといいます。掻いた後は膨疹といって、みみずばれになり、しばらくしたらひくが、睡眠障害になるという。このような膨疹が出るタイプは<血熱>体質と言い、身体にこもる熱を去る薬を使います。

Mさんの場合は乾燥による痒み改善するため<当帰飲子>と、熱を去る清熱通便の<清営顆粒>を使っていただきました。1ヵ月後来られ、痒みが出る部位が少なくなり、掻く回数も減ったとの事。しかし元々は辛いものや香辛料を好んで食べる方で、血熱を生みやすい体質になっているので、体質改善には今しばらくの期間を要すると思われます。

オリンピックと冬虫夏草

待望のトリノ冬季オリンピックが始まりました。日本の選手団も強くなり、楽しみがいっぱいですね。

さて、オリンピックと言うと、1990年代の中国女子陸上選手のめざましい活躍が思い出されます。このときの馬コーチが率いる馬軍団は、強化策として冬虫夏草を食材として選手に使い、記録が向上したということで有名になりました。

冬虫夏草は、チベットの高地などで採れるコウモリガの幼虫に寄生する菌類の1種で、日本でもよく使われるようになりましたが、漢方では昔から肺系の疾患に使われて来たものです。

当店の場合は、肺疾患の予後などの健康維持に食品として使っていただいています。

生理不順

昨年5月に生理不順で相談にこられた30歳のNさん、仕事のストレスで生理が止まってしまい3ヶ月以上経過していました。

早速補血作用の<婦宝当帰膠>、疎肝作用の<逍遥丸>、活血作用の<桂枝茯苓丸を服用していただき、その後すぐに生理が来て、多少期間に変動があるものの、10月まで順調にきました。もう大丈夫と思われて薬をやめられ、<漢方薬F>だけを続けておられましたが、その後は再び生理が止まってしまいました。

先日再度相談に来られ、うまくいっていた最初の薬を使っていただくことになりました。この方は元々血圧が低く、脈拍も少ないため、血流量が極度に少ない体質で、半年では体質は変化しなかったようです。

疾患にもよりますが、漢方薬は症状が改善すると徐々に減量し、廃薬するのが普通なのですが、体質改善には時間を要するケースも多く、薬の減量の仕方も個々人にあわせて工夫がいるのではと思った症例です。

シックハウス症候群?

シックハウスによる皮膚トラブルの相談は時々あります。

生活環境が変わると改善するのが判りますので、お客様に対し、試しに実家に休養をかねて帰ってみたら、などと勧めることもあります。それで改善すれば明らかになり、対策も打てるということです。

38歳女性会社員、昨年春に転居してこられてから繊維にかぶれ易くなったとのこと。また、その室内も臭いが気になっていたとのことでした。

その後秋頃から発疹が出始め、ジクジクしたり、かさぶたになったりしながら、全身に増えてきました。皮膚科で検査したのですが、特定物質のアレルギー反応は見つからず、ステロイドを投与されるだけでした。

不安になり、昨年末に相談にこられました。原因は特定できませんでしたが、湿潤、赤み、痒みなどの出ている症状から判断し、柴胡剤Sや<消風散>を服用し、漢方軟膏を外用していただきました。2週間後にはジクジクが減少し、赤みも治まって来ました。寝ていて身体が温まると痒みが出るというので、さらに眠前に清熱作用の<清営顆粒>を追加し、これも楽になってきました。

1ヶ月過ぎで、新たな発疹は出なくなり、赤みもなくなり、暗紅色の湿疹跡も色が薄くなって消えてきました。現在1,5ヶ月経過し、さらに改善しています。

発症の時期や状態からしてシックハウスが疑われるのですが、いずれにしても皮膚症状から対処方法は明らかであり、短期に結果が出て喜んでいただきました。

声がでにくい

声が出にくいという方が時々あります。

来店される方は、ほとんど耳鼻咽喉科で検査を受けておられますので、咽頭ガンなどの明らかな病気でない場合は体質等から生じるものです。漢方的にその原因はいくつかありますが、多いのは咽頭部の乾燥によるものです。

73歳女性Mさん、本の朗読をされているのですが、途中で声がかすれて話しにくくなるとのこと。また、咳がでたり、息切れして疲れやすいという事でした。

年齢的なこともあるようで、漢方では『気陰両虚』という状態と考えます。つまり大きな声を出すエネルギーの低下(気虚)と、乾燥し水分がうまく行き渡らない(陰虚)という意味です。

これを改善するために、気虚と陰虚を改善する<麦味参>をお薦めしました。

<麦味参>は前述のような方には最適な漢方薬で、講演をされる方が事前に飲んでおくと楽に話せるという実績があります。

子供の湿疹

湿疹などの皮膚病の相談は、実際に皮ふの状態を見ないと判断できません。

原因が単にアレルギー症状から生じたものか、胃腸が原因なのか、自律神経に係わることなのか、様々考えられますので、これらのことも正確につかめないとうまくいきません。

16歳高校生のTくん、昨年秋の運動会以降、掻き傷の後が化膿し始め、足から腕などあちこちに湿疹が広がってきました。皮膚科では感染症を起したのだろうと、抗アレルギー剤やステロイド剤などをもらっていましたが、長期の服用が心配で相談に来られました。

聞いたところでは確かに感染症で炎症を起しているようでしたので、清熱解毒作用の<黄連解毒湯>や、<消風散>、板藍根含有ハーブティを用いました。

1週間して、赤い炎症は治まり、溜まった膿も減少し、湿潤部も乾いてきました。さらに1ヵ月後には、新しい発疹は出ることなく、赤みは消えて乾燥していました。この次は湿疹のあとを消す漢方に切り替える予定です。

サプリメントの乱用

最近はサプリメントブームで、「手軽に必要な栄養素がとれる」とか、「食品からではとれない成分が簡単にとれる」とかの文句で、売上げは伸びる一方のようです。

今日来られた女性は20種類以上のサプリメントを摂っているとか! その理由は、ダイエットのために通常食は1食にし、あとは必要なものをサプリメントで補っているという事です。そのため体重は低値で維持できているが、カロリー不足のため冷えがひどく、冷えのためイライラなどの神経症が出ているようです。

当然、食事によてtカロリーを補充し、サプリメントを減らすように話しておきました。

そして漢方薬は、身体を温め、補血する<婦宝当帰膠>と、リラックスティといわれるハーブティーを使いました。

サプリメントだけで必要な栄養を補えるという誤った理解は、その方だけの問題でなく、メーカーや販売店の問題でもあります。将来は、昔と異なった栄養失調や自律神経失調の人が増えるのでは考えると、恐ろしくなります。

漢方の入浴剤で痛み改善

リウマチの方や足腰の痛みがある方には、この時期は冷えて痛みが増し辛い季節です。

漢方薬で中から温めることで少しは改善しますが、すっきりと治まることは難しいです。

このとき漢方の浴剤を使いますと、芯から温まり痛みが軽くなります。それも一般的な粉末状の<○○温泉>とかいう入浴剤でなく、漢方の生薬が入ったものが最も温まります。

65歳女性Yさん、華道の先生で、仕事柄か坐骨神経痛で痛みがひどく、昨年末から漢方薬を使っていただきました。その時紹介したのが、生薬でできた入浴剤です。漢方薬もさることながら、入浴剤で温まるとすごく楽になると喜んでいただきました。その後、お知り合いの方が来られ、温まって汗が出るととてもスッキリするとのことでした。

この浴剤には8種類の生薬が入っていて、その内の<当帰>や<川きゅう><紅花>が血流を良くし、肌をすべすべにし、<香附子>の香で気分がリラックスします。

医薬部外品で、しもやけ、肩こり、リウマチ、神経痛、腰痛などの効能が表示されている、とても優れた浴剤です。ぜひ試してみて下さい。