高血圧のはなし

まだ朝夕寒い日が続きますが、日差しはもう春の雰囲気です。

冬の寒さで血管が収縮し血圧が上がる方もあれば、春先の陽気で血圧が変動する方もあります。

64歳の男性Mさん、3年前に初めて高血圧の漢方薬をお使いいただきました。最初の頃は最高血圧160程度、最低血圧95程度で、食事や運動に気をつけつつ漢方薬の<冠元顆粒>やその他の漢方を使って130/80程度まで下がっていました。

その後は冠元顆粒を1~2包を使い安定していましたが、退職されて運動も減ったためか、この冬は少し高めになり、久しぶりに他の漢方を併用することにしました。

昼間は<釣藤散>を使い、夜はビールをのむ時が多いとの事で、眠前には化痰し睡眠をよくする<温胆湯>を使っていただきました。2週間後の状況では145/72で、最低血圧は良好でした。もちろん自宅でも測定されていて、良い傾向にあることはわかっていたようです。

今まで、長く漢方をお使いいただき体質も傾向もわかっていますので、漢方薬の効果も予測できます。細く長~いお付き合いの方は、双方がよくわかっているので効果も早く安心です。

月刊誌 Leaf に掲載されました

毎月新鮮な京都の情報をたくさん提供する、人気の月刊誌「Leaf」の4月号に当店が大きく紹介されました。

今月の特集は 《編集部ガチンコ勝負11本  噂のダイエットにチャレンジ!》 で、そのうちの《漢方で体質改善》のコーナーです。

美しくやせるには、まず自分の体質を知り、それに合った方法が必要です。取材いただいた女性記者の方が実践し、元気になることを実感していただきました。

         

なお、Leaf は<リーフ・ドット・ネット株式会社>が発行する、京都のグルメ、シネマ情報からホテル、観光情報まで盛りだくさんのタウン情報誌です。

Leafさん ありがとうございます。http://www.leafkyoto.net/

こじれた咳と痰

風邪のあとに咳や痰が残り、ひどい場合は喘息のようになり、長引くことがあります。

このような症状に、西洋医学では鎮咳剤や去痰剤が使われますが、それ以上に漢方がよく効きます。それも早い時期なら1週間以内に改善しますが、こじれてくると1ヶ月程度かかります。今回、大人と子供で同じような症例がありましたので紹介します。

48歳男性会社員、昨年から咳や痰が続いていましたが、1月から喘息のようにゼイゼイ言い出したので身内の方が相談に来られました。病院ではお決まりの薬が出ていたのですが、一向に改善せず、ひどくなって来ているとのことでした。検査では特に異常がなく、単に気管支炎との診断でした。

そこで、咳をとり痰をとる<麻杏甘石湯>と<蘇子降気湯>を2週間使っていただきましたところ、咳も痰も減少し、以前のように咳き込んで嘔吐することもなく、楽になりました。

また、水分を控えてもらい、痰を減らそうと指示しておいたのですが、効を奏して一時減少していた味覚も回復してきました。痰の多い方は間違いなく水分摂取過多なのです。

そして、あと少し粘る痰をとりたいとのことでしたので<竹葉石膏湯>をお使いいただきました。通して1ヶ月ですっかり改善するものと思われます。

冷え症がすっかり改善

この冬も冷え症の相談はたくさんありましたが、若い女性の場合には貧血やめまいを伴うケースが多く、補血作用の<婦宝当帰膠>をよく使います。しかし冷えの漢方薬はたくさんあり、それがピッタリ合うと大変喜ばれます。

34歳主婦Kさん、冷えが強く、指先が青くなり、冷えのぼせもありました。お腹も冷え、腹巻をすることも。便秘もあり、冷えの代表のような症状でした。

そこで<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>と<桂枝茯苓丸>を1ヶ月使っていただき、先日再来店されました・・・

結果、冷えはすっかり無くなり、身体も楽になり、便秘も改善して喜んでいただきました。あとは調子を見つつ、薬の量を減量して継続すことになりました。また、のぼせも<桂枝茯苓丸>によって血流がよくなり、熱のバランスがとれて解消しました。

Kさんのように、末端の冷えには<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>がよく効きますし、お腹が温まれば腸の動きも良くなり、便秘も解消するのは見えていました。この薬に限らず、体質や症状により処方の選択肢がたくさんあるのが漢方の特徴でもあります。自己判断せずに、かならずご相談ください。

睡眠時のトラブル

睡眠に関する相談は、不眠や中途覚醒、夢をよく見て寝た気がしないなどはよくあります。

先日、少し変わった症状で、睡眠中に唸る、大きな声を出す、息が荒くなる、という相談がありましたので紹介します。

60歳の男性Nさん、現在は特に大きなストレスはないのですが、会社に勤務している頃はいろいろなストレスがあったようで、本人は意識はしておられないのですが、その記憶が睡眠中に出てきているようでした。

そこで交感神経の興奮状態が原因と考え<抑肝散>と<温胆湯>を使っていただきました。1週間後、奥様の話では少し減ったとのことでしたが、2週間経てかなり改善しました。ご本人も夢を見なくなって、熟睡感があるとのことでした。その後は1日1回だけ服用していただいています。

抑肝散は古くから子供の疳の虫に使うことで有名な漢方薬です。子供でなくとも、神経の興奮状態を鎮めるには最適の薬です。

また、夢をよく見る方は、水分がお腹に残っている状態で睡眠についているというケースが多く、このような方に<温胆湯>を使いますと、化痰作用によって水分がさばかれ、熟睡できるようになります。ビールをよく飲む方には、むくみがとれ、血液をきれいにする薬にもなります。

高齢者の下痢

下痢に用いる漢方薬はたくさんありますが、高齢者の場合は西洋薬の止瀉薬より漢方薬が適します。止瀉薬を使うと、下痢が止まったと思えば便秘になるなど、調節がうまく行かないというケースがありますが、漢方薬はおなか全体を整えますのでその心配もありません。

85歳女性Kさん、ほぼ寝たきりの方で、先月より下痢が続き、時々腸が痛むとのことで家族の方が相談に来られました。医師からは薬をもらって2週間のんだが改善しないので、漢方の方が適しているのではと思われたそうです。

詳しく話をお聞きすると、腹部の冷えや年齢的なことが影響しているようでしたので、温腎利水の<真武湯>と<人参湯>を1週間分お使いいただきました。

今日再び来られ、結果は良好で、下痢は止まり、少し軟便程度になったとのことでしたので、漢方薬を調整し、また1週間使っていただくことにしました。

<真武湯>は身体を温め、元気をつけます。朝力の下痢にはよく効きます。また、<人参湯>も腹部をあたため、胃腸の働きを良くします。2種類をあわせたものを、とある医師が便宜的に<真理湯>と名づけられていて、私も活用させていただいています。

病が病を生む

様々な相談を受けるとき、お客様の心の状態を考慮して話す言葉を選ぶのですが、とにかく元気をつける! 良いほうに解釈する! ことに努めています。

私どもは結構時間をかけて話をしますが、病院などでは忙しいため、しっかり話をされる医師が少なく、患者に誤解を与えているようなケースもあるようです。

今日こられたお客様の話・・・。

めまいを起こして気分が悪く、食べられなくなったので、いつもの医師のところに行かれました。そこではこれは脳梗塞の前兆だといわれ、様々な検査を受けられたのですが問題はなく、不安感だけが残りました。

それ以降、血圧が高くなるときがあり、気になって医師に相談したら、毎日2回測って記録するようにとのこと。そして、血圧を測ろうと思うとドキドキし、血圧も不安定になりがち。

このデーターを医師に持っていくと、降圧剤を使いなさいといわれると思うと苦しくなってきたとのこと。

当店に来店され、血圧を測り、話を色々と聞いてあげると安心されて帰られました。

忙しいといえども、患者を不安に思わせるような話し方をされるのは感心しませんね。

花粉症スタート!

スタートといっても良いスタートでなくてすみません!

京都では今週、2月14日頃から花粉が飛散し始め、熱がないのに鼻がグズグズして、風邪みたいだという相談に来られています。

例年花粉症でお困りの方はいつも同じ漢方薬を使っていただいていますので心配ないのですが、初めての方は風邪と花粉症の区別がつかないようです。まだ初期の段階ですので殆どの方が衛気を高める漢方薬ででおさまると言われています。

原典処方を<玉屏風散>というこの漢方薬は、生薬の<黄耆>が衛気を補う=表皮のバリアーを強め、<白朮>が消化機能を高め、水分代謝も良くする、<防風>が風邪の深入を防ぐという組み合わせです。

これによって風邪を引きにくい体質をめざしますが、ちょうど花粉症の症状にもピッタリ合います。

田七の作用

健康食品の田七人参は、中国雲南省で採れるウコギ科の植物で、その根を漢方薬として昔から使われてきました。最近は健康食品で多用され、飲みやすい顆粒や錠剤になっています。

田七の産地として有名な雲南省の文山県は、以前に訪問しましたので、キレイな景色をご覧下さい。

https://www.kanpou.info/travel/002.html

この田七の作用は<活血=血流を良くする> と、<止血=出血時に血を止めること> の、相反するような作用がある、変わった植物です。その他の効果としては、<肝臓の保護作用>があります。

この止血作用を確認できるようなケースがありましたので紹介します。

38歳女性Yさん、生理周期の排卵期前に毎月出血するとのことで、低温期が始まると同時にこの田七人参>を使っていただきました。不妊症の周期療法もしておられるので、その他の漢方薬と合わせて使っていただきました。

使い始めるとすぐに効果あり、その周期は出血が止まりました。そして暫く続けておられたのですが、年明けと共に仕事が忙しくなり、漢方薬も中断されていたところ、再び不正出血がありました。

漢方では、出血の原因を探し、そうならない様にするのが目標でも、出血しているときはまず止血をするのが基本的な考え方なのです。

アガリクスの安全性について

昨日のニュースで、アガリクス製品の発ガンプロモーション作用が認められたとの報道がありました。この中では、3社の製品を対象に試験が行われ、そのうちの1社に問題があったとのことで、他の2社は発がん性はないが、その他の継続試験中のようです。

アガリクスは日本でも使用の歴史は古いほうで、多分30年弱使われてきたと思います。当店も最近は使用量が少なくなりましたが、現在はブラジル産の乾燥品のみ扱ってきています。しかし最近は健食ブームで様々な形のものが販売され、元の形のままのものが少なくなりました。

漢方薬でも同じことが言えますが、飲むのが便利な錠剤が普及していますが、薬効を考えるとやはり煎じ薬がお勧めです。加工することによって生薬の効果が変化するだけでなく、各種添加物も使う必要が発生します。

今回のアガリクスの問題は、その原因がどこにあるか容易には突き止められないと思いますが、考えられることはアガリクスそのものの問題より、

アガリクスの栽培地

栽培環境、

錠剤などへの加工方法

加工時の添加物

などに問題があるのではと、個人的には考えます。

産地や栽培条件が安全なアガリクス乾燥品を使うこと、すなわち原点に戻る、昔に戻ることが安全の近道ではないでしょうか。