ストレスと頭痛

今日、明日は頭痛の話を2題です。

頭痛もたくさんの原因があり、たくさんの処方がありますので「頭痛にはこれ」とはいかず、体質や、発症のきっかけ、悪化する要因や時間などを尋ねて考えます。

男性Mさんは、ほとんど毎日肩こりから後頭部にかけて頭痛がし、ストレスを感じると酷くなり、こめかみも痛むときがあります。朝夕問わず発症するため、相談にこられました。

お聞きした症状からは緊張性頭痛と言われるもので、一般的には肩こりから来る場合は<葛根湯>が使われますが、この方には平肝作用の<釣藤散>を使っていただきました。

結果は、飲んでいると楽になるが、やめると痛むとのこと。ストレスという根本原因が取り除くことが出来ないので、完全に治まるには時間がかかりそうです。

当帰の花が咲きました

漢方の中でも重要な生薬<当帰>の花が店頭に咲きました。写真は真上から撮ったもので、プランタの狭い中でも立派な姿をしています。

<当帰>はセリ科の植物で、奈良県や北海道で栽培され、日本で自給できる生薬の中でも主要なものです。

漢方では補血(血を増やす)、活血(流れを良くする)調経(生理を整える)などの作用があり、女性のための基本薬として、昔から「血の道症」に使われてきました。日頃たくさんの方にお使いいただいています<婦宝当帰膠>の成分の7割が当帰ですし、その他にも<当帰芍薬散><当帰飲子><紫雲膏>など様々な漢方薬に含まれています。

生薬としては根を乾燥して刻んだものを使いますので、花を見る機会はほとんどないのですが、改めて『当帰を摂ると、当帰の花の様に きれいになれるのだ!』と思いました。

特徴的なめまい

めまいの話は以前にも書きましたが、漢方薬はめまいに対してとても効果があります。
但しめまいのタイプや、その方の体質によって漢方薬は異なりますので、上手に使い分けることがポイントです。

65歳の男性Oさん、耳の奥に腫れ物があり、以前から中耳炎をよく起こしていました。昨年12月に回転性のめまいを発症し、病院に行って薬をもらわれましたが、10日後に再びめまいを起こし、漢方薬を求めて来られました。

発症したときの状態を聞くと、ムカムカ吐き気がし、実際に吐いたらめまいは急に治ったとのこと。これは明らかに<水滞>で、頭部の水分が多く、あふれているいる状態で、<半夏白朮天麻湯>をベースにお薬を調合し、使っていただきました。

それ以来継続されて6ヶ月経過しましたが、一度もめまいや中耳炎は起こっていません。あとは耳の奥の腫れ物がどうなっているか、近日中に頭部CT検査を受けられる予定で、小さくなっていることを期待しています。

耳鳴り・耳閉感が改善

47歳Mさん、昨年9月に仕事に関連するストレスが引き金となって、耳鳴と難聴、耳閉感が発症しました。病院にではステロイドや循環改善剤などを投薬されていましたが、改善の傾向が見られず、今年4月中旬にネットでご相談をお受けしました。

症状や経過、体質等をお聞きすると、原因はストレスによって肝火が上に上昇し頭部の聴覚神経系に影響を与えていると思われました。また体質は<肝胆湿熱>タイプで<肝火上炎+心火>と考え、清肝瀉火<の竜胆瀉肝湯> と 清熱解毒の<黄連解毒湯> を組み合わせて使っていただきました。

1ヵ月後、良いときと悪いときを繰り返しながら、耳鳴りは気にならない程度まで改善し、6月上旬にはさらに調子良い日が増えたとの事でした。

そして一昨日には『医院では見放され暗い気持ちになっていましたが、漢方で改善傾向がみられ、何か前向きな気持ちになりますね。今日も調子がいいです。』とのうれしいメールをいただきました。

五味はバランスよく

当店の庭に<ゆずらうめ>の実がなりました。漢字では<梅桃>と書きます。

少し甘酸っぱくて、とても美味しいのですが、この小さな実にも種があり、現代っ子はだれも食べないと思います。なつめやぐみなども昔は貴重なおやつでしたが、昨今はトマト、オレンジ、パイン、スイカ、メロンなどのように大きくて甘い物ばかりふえてきて、このような酸っぱい味は食べられることなく忘れ去られるのです。

漢方では味を<酸苦甘辛鹹>の5種(五味)に分け、それぞれが身体にどのように作用するかにより生薬構成を考えるのですが、食物では自然の姿が失われてきています。フルーツではほとんどが<甘甘甘甘甘>になりましたし、最近酢を飲む方がふえてバランスが崩れ、<酸酸酸酸酸>になっています。

作られた食べ物が身体のバランスを崩しているのではないでしょうか。

糖尿病の研修会

本日は定例の社内研修会がありました。

いつもは内科の先生を講師に、各種疾患の病理や症状について学ぶのですが、今回は糖尿病に関する現況や治療、自己管理を学びました。

糖尿病は現在の患者数は700万人、予備軍を含めると1300万人と言われ、日本は糖尿病大国です。10人に1人の割合ですが、60歳以上では6人に1人で、あなたの周りには必ず糖尿の方がおられます。

糖尿病は血糖値の自己管理が重要で、運動や食事療法でどのように血糖値が変化するのか、医者任せでなく自分で知ることです。基準は、空腹時血糖が110mg以下または、糖負荷試験で2時後における血糖値が140mg以下の場合は正常範囲です。

最近は簡単に測定できる機器もでき、スタッフでやってみました。低い人は空腹時76mg でしたが、高い人は127mgで超えていました。これは私ですが・・・、他人に言う前に自分を正さなければと反省しました。

糖尿病を自覚と努力で改善

糖尿病の相談は多いのですが、初期から中期の段階では自覚症状がなく、根気良く続ける方が少ないのが実情です。しかし将来を健康に過ごすためには、早い段階でしっかり対応することが肝心です。

55歳男性Kさん、3年前の4月に、糖尿病で身体がだるいと相談にこられました。この時は血糖値も高く、HbA1cは13%で、入院を必要とするレベルでした。それでも自力で改善するとのことで入院せず、西洋薬と漢方薬を併用され、食事や運動もしっかり改善されて、HbA1cはその後に10%台、9月で7%台まで下がりました。

その頃からお茶で糖尿病に良いものをとのことで、昔から民間で使われている<グァバ葉>と<連銭草>を組み合わせて毎日のお茶として飲まれていました。当然、食事や運動も気をつけられているようですが、その後も薬を飲むこともなくデータは安定しています。

Kさんの《自覚と努力》の結果ですが、合わせてお茶も良かったのかと喜んでいます。

女性の貧血

女性は毎月の生理で血液が失われ、元々貧血になりやすいのです。病院では鉄剤などを処方されますが、胃腸の弱い方は負担になるため使われないケースもあります。漢方では補血剤のファーストチョイスは<当帰>という生薬です。

50歳の女性Oさん、病院の検査で貧血を言われていて、ときどきめまいがし、疲れやすいとの相談を受けました。10年前に潰瘍になり、胃を一部切除したこともあって胃腸が弱く、食べ過ぎるともたれやすく、舌が痛むときもあるとのことでした。そこであまり多くの薬は胃に負担になるので、補血作用の<婦宝当帰膠>だけを使っていただきました。

1ヵ月後の昨日お越しになり、疲れも貧血症状も改善し、体調は良好と喜んでいただきました。そして次に胃腸の働きを良くしたいとのことでしたので、今回は<婦宝当帰膠>と<香砂六君子湯>をお使いいただきました。

<婦宝当帰膠>は貧血の女性に対し、短期間で改善が期待できる優れたお薬です。

胃弱の方の漢方

元々胃腸が弱く、下痢や軟便になる方は多いようです。

これには昔から<ゲンノショウコ>が使われてきました。ゲンノショウコは健胃薬、整腸、止瀉薬で、しっかりと煎じると下痢止めとして効果があり、短時間煎じると穏かな下剤として働き、便秘にも使えるものです。

61歳女性Mさん、一人住まいで、健康には気をつけられていますが、胃腸は昔から弱いとの事。ゲンノショウコは昔から使われていたのですが、便通が良くなく、お腹ももたれやすいとのことで相談にこられました。

そこで、下痢しやすい方に適し、胃腸の働きをよくする<半夏瀉心湯>などを使っていただきました。1ヵ月後、便は正常になり、食欲も増してきたと喜んでいただきました。が! 少し食べ過ぎになってしまって体重が増え、また新たな心配事ができたと笑っておられました。

漢方薬は長期続けないと効かない、とよく言われますが、症状によって結構はやく改善が自覚できるケースが多いのです。

瓊玉膏と芍薬の花

瓊玉膏を主力製品とする<信州薬品研究所>さんから芍薬の花をいただきました。

到着したときは小さなつぼみだったのですが、明るいところに出すと見事な大輪になりました。良い香りが店内に漂っています。芍薬は漢方生薬の中でも重要な生薬にあたりますが、但し漢方薬Kには含まれていません。せっかくですので<漢方薬Kの故郷>から送られてきた<芍薬の花>を一緒に紹介します。

<瓊玉膏>は人参・地黄を主成分とする<肺腎経>に働く漢方薬で、風邪を引きやすい方、喘息、糖尿病、慢性疲労などの方に使っています。

お寺の和尚さんが隠れてこっそりなめる水あめのような「なめ薬」です。

これらの原料は長野県や北海道で栽培され管理されているもので、安心して使えます。

私は5年間この薬を続けた結果、10年以上一度も風邪を引かなくなりました。また、女性の方で、冷え性と疲労にお使いの方は飲んでいると元気なので「やめられなくなる麻薬です」と例えられ、中年男性の方は、最高の精力剤としてご愛用いただいています。

いろいろな使い方ができる優れた商品と実感しています。