もっと肥えたい! 2

夏になるとダイエットをする方が増えますが、逆にもっと肥えたい方も増えてきます。この夏バテないようにしたい、普段でも食が細いのに、さらに痩せるのではと心配されるようです。

33歳女性で調理をされている方、胃痛、胃もたれ、めまい、頭痛、耳鳴りが時々、食後は眠いなどの症状がありました。身長157cmで体重38kg、色白でかなり細身のタイプ。完全な気血両虚=血液とエネルギー不足の状態でした。
まずはしっかり食べられるようにすれば諸々の症状は改善するのではと、補血作用の<婦宝当帰膠>と補気健脾の<補中益気湯>を併用していただきました。

その後2ヶ月くらいでほとんどの症状は消え、食欲が出てきたとのことでした。体重はまだ増えませんが、これから改善すると思われます。

漢方薬Hはポピュラーな処方ですが、食欲増進だけでなく、倦怠感など、補気剤の王様? とても良い薬ですね。

<もっと肥えたい!> 方は先のブログにも書きましたので参考にご覧下さい。https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2005/06/post-23.html

ながびく咳

風邪の後に咳だけ残ることがあります。4~5日で消えるケースが多いですが、こじらせてながびき、病院に行っても治らないので相談にこられます。

4才の女の子、昨年秋に咳が出始め、どんどん酷くなって咳と共に嘔吐することが多くなってきました。病院では咳止めの薬をもらうが改善の兆しなく、6月に来店されました。子供の舌を見ると、白膩苔で「湿困脾胃」、胃腸に水分が過多状態のように思われました。

そこで上気を抑え、咳を収める【蘇子降気湯】を使っていただきました。3週間ほどで咳はかなり減り、嘔吐は全くなくなり、1ヶ月で咳はほとんど消えました。あわせて、水の取りすぎをしない、冷たいものを控えるように注意していただきました。

咳も風邪とは関係なく、体質から来ているものが結構あります。漢方独特の見方で判断することで、半年以上苦しまれた子供さんが1ヶ月でほとんど改善し、喜んでいただきました。

クーラー冷え

連日の暑さで事務所内はクーラーがガンガンきいているところが多いですね。先日、新幹線に乗ったら異常なほど冷えました。

元々冷え症の方は中から温める方法をとりますが、『冷えよりクーラーの風がいや!』という方があります。

58歳女性、クーラーの風が当たるとゾクッとするが、それが背中や首周りに当たると風邪症状になり、鼻水が出てくるという相談でした。

漢方では表虚といい、皮膚の防衛力が弱く、『邪気』が皮膚から入りやすいのです。昔から有名な処方<玉屏風散>というのがあり、風に対して屏風を立てるという働きです。さらに皮膚の働きを強め、免疫を高める働きで効果を発揮します

目の痛み

眼科で検査を受けても特に病気でないのに、目の奥が痛い方は多くあります。

20歳男性、大学の受験を目指して勉強しているが、最近目の乾燥がひどく、目の奥が痛い、耳の後ろから後頭部にかけて頭痛がある、朝夕は手が痺れる時があるなどの症状で相談に来られました。

これらはストレスによるものと思われ、漢方では「気滞血お」といって、気分の欝滞が血の流れを悪くしている状態と考えました。

そこで漢方薬は止痛作用の【清上蠲痛湯】と目の症状に【枸菊地黄丸】を使っていただきました。ストレス源は当分無くならないので、完全な解消は難しいですが、1ヶ月位で少し改善すると思われます。

光線過敏症 2

前回に引き続き日光アレルギーの話です。

40歳女性、2年前の2月に初めて来店。10年来首から上が痒く、顔はいつも痒い、この2年間に悪化する傾向があり、治してほしいとの相談でした。

アレルギー体質でもあり、<柴胡剤>を使ってもらったところ、2週間で痒みはかなり軽減しました。更に続けていると、時々出ていた膨疹もでなくなりました。6ヶ月間使って症状は消えたので廃薬。以来再発もなく過ごしておられます。

このような例は他にもあり、ほとんど同様の経過を見ています。

光線過敏症

夏の日差しが強くなると、日光蕁麻疹や光線過敏症(日光アレルギー)の相談が増えてきます。3年前の症例・・・

23歳女性、元々アレルギー体質があり、夏になると光線で皮膚が痒くなるといって相談にこられました。このとき5月から<柴胡剤>を飲み始め、6、7月と症状が出ず順調に経過しました。8月にはハワイへ旅行、以前は強い光で水泡が出来ることがあり心配されていましたが、事前に頓服として<麻黄剤>で発汗促進も考え、全くトラブルなく楽しまれました。

以後しばらく続けられて、完全に治ってしまいました。

蕁麻疹

蕁麻疹の原因はたくさんあり、アレルギー性、物理性、食事性、コリン性、接触性、心因性などに区分されるものから、原因不明のものまであります。

  

漢方では、発症部位、色、丘疹の状態と体質や経過を合わせて考えます。

  

19歳男性、大学受験の半年前に発症したが、受験が終わると治まってしまいました。その後予備校に行かれ、最近また再発の傾向があるとのこと。いろいろ話を聞いてみると、受験ストレスによる心因性と思われ、ストレスが交感神経の緊張を生み、免疫の異常を起していると考えられました。

  

ストレスによる過敏な反応をしないように柴胡剤をお使いいただきました。以前に専門学校生で、夏に国家試験を受ける前に蕁麻疹が発症し、柴胡剤で改善した例や、就職活動で発症した例などを参考にしました。

めまい 2

めまいは比較的中高年の女性に多くみられ、当店に相談に来られる方の9割が女性です。

73歳女性、忙しかったり、疲れたときにめまいが起こり、漢方薬を飲むと1日でほぼ治まる状況でした。真武湯や半夏白朮天麻湯などを使ってきましたが、どうもスッキリ、スカッときかないということで、薬を <加味逍遥散> に変更したところ、治りが今までになく早くなったとの事。

そういえばこの方は、ご主人に係わるストレスが多く、イライラを伴なっていたので、疏肝剤が適しているのは当然のことでした。

ついつい過去に実績のある漢方処方を使いがちですが、その方の状況にあわせて処方するという漢方の基本に立ち返ることの大切さを教えられました。なお、めまいに使う処方は20処方以上ありますので、よ~く相談されることが必要です。

めまい 1

めまいの相談はたくさんあります。比較的簡単なケース、例えば1~2週間で改善する場合と、半年かかっても改善しない例など様々です。

漢方的な原因で考えると、<水毒=頭部水分代謝の悪い状態> <血お=血の流れが悪い> <肝鬱=ストレスなど精神的要因> などが多いようです。

66歳女性、3年前にフワフワ、フラフラすると言って来店されました。顔がむくみ、頭重感があり、発作のときに吐き気がするなどの症状あり。これは「水湿」と言い、水分代謝が悪くて起こるもので、<苓桂朮甘湯> を基本に、2週間でかなり改善しました。以降も心配なので飲み続けるとのことで、標準の1/2量でしばらく服用を続け、さらに1年後からは1/3量で服用されました。以降全く起こらず快適に過ごしておられます。

声がかすれる

話すことを仕事にしておられる、学校の先生、各種教室の講師、講演をされる方、お坊さんなどから、よく相談を受けます。

話しはじめはスムースだけど、後半には声がかすれ、咳が出始め、止まらなくなるときもあると悩みは共通しています。

33才女性、施設の職員の方、仕事で大きな声を出す機会が多く、夕方になると声がかすれてきて、咳がではじめる、最近ひどくなって治る様子がないと相談に来られました。

また、44才男性のお坊さん、お経も読むときや、他の教室の講師をされていて話す機会が多い人で、長時間になると咳が出始めて困るとの相談でした。

いずれも漢方では『気陰不足』といって、エネルギーの低下と咽の潤い不足が原因と捉えます。そこで、長時間話せるためのエネルギー増強の「人参」と、乾燥を防ぎ潤いを維持する「麦門冬」、そして鎮咳作用の「五味子」が含まれる、補気補陰作用の<麦味参>という処方を使っていただきました。事前に飲んでおくと効果があり、楽だとの評価を得ています。