花粉症の肌トラブル

今年は天候が不順で、朝夕がいつまでも寒く、雨も多いように思われますが、今日はすっかり桜日和です。京都ではこの2~3日がちょうど桜満開の時期で、観光客もいっきに増えています。

それに伴い花粉の飛散もふえ、今日は激しい咳の方や肌荒れの方がこられました。

元々アトピー体質の38歳女性、乾燥が激しく、指がひび割れし出血するほどの状態でしたが、しばらく<当帰飲子>を使っていただいたところ、乾燥は改善しステロイドを使うことなく過ごせるようになりました。

しかし花粉症の時期になり、顔が赤く、カサカサして痒みが強くなったため、従来の薬に衛気を高める漢方薬を加えて使っていただきました。結果、痒みと肌荒れは改善状態を保っています。

今日は同様の、乾燥して顔がかゆい、顔が赤くなる、耳がかゆい、などの相談が相次ぎました。

花粉の飛散のため、この時期は肌トラブルの方にはいやな季節です。

甘茶と花祭り

4月8日は花まつりの日で、正式には潅仏会(かんぶつえ)といって、お釈迦様の生誕を祝う行事です。

生誕の時に甘露の雨が降ったという言い伝えがあることから、花で飾られた簡単なお堂(花御堂)の中におかれたお釈迦様の像に甘茶をかける風習があります。

毎年この時期になると、お寺さんが甘茶を求めて当店に来られますが、今日は施設の方が来られました。施設におられる方々に振舞うらしく、花まつりも日常の中に生きているのだと思いました。

この甘茶とは、ユキノシタ科のアマチャを乾燥したもので、麦茶に似た色をしていてとても甘くておいしい飲み物です。

子供の時代はお寺さんで日曜学校というのがあって、そこで子供たちが集まり、法話を聞き、お菓子を食べて甘茶を飲むというのが、結構楽しみであったことを思い出しました。

宗教的な意味でなく、昨今子供が集まって遊ぶという機会が少なくなり、こういった行事も一般的でなくなるのではと感じています。

脳梗塞の予後

糖尿病や高血圧などから脳梗塞を発症した方の相談もよくあります。

梗塞の程度や位置によって予後は様々で、完全な治癒は難しいですが、リハビリにより早期改善を目指されます。

漢方でも身体の中からのリハビリとして、いくつかの処方が使われます。<補陽還五湯><続命湯><解語湯>などがありますが、いずれも気血の流れを良くし、身体に回復力をつける生薬が含まれます。

すべての疾患に共通しますが、発症後の早い対応が大事です。漢方でどこまで改善するかはわかりませんが、ずいぶん経過してから来られるケースが多く、残念な気持ちです。

また、梗塞の方は必ずと言っていいほど再発しますので、その予防として血流をよくする活血作用の<冠元顆粒>なども西洋薬と併用していただいています。とにかくいろいろな方法があることだけを知っておかれたらと思います。

高齢者の頻尿

年をとるにつれ、夜間の頻尿で困る方が増えてきます。

77歳女性Kさん、2年前に膀胱下垂で手術され、それ以降に頻尿の時が多くなりました。残尿感もあり、すっきりしないとのことでしたので、定番の<牛車腎気丸>と、少し尿の出を良くしてすっきりするため<猪苓湯>を半分量で使っていただきました。

1週間で、かなり改善し、2週間目からは1日2回服用でも大丈夫なほど楽になりました。やめると心配なので、1日1回~2回程度で継続されています。

高齢者の場合は、このほか補気升提の<補中益気湯>を使うと早期に改善することもあります。

ブログ 1周年です

メルマガを書き始めてすでに1年が過ぎました。

この間、漢方薬の使い方や症例のみならず、鍼灸治療、食養生などなど、思いつくままに幅広く書いてきました。そして、これらを残しておかないともったいない!いうことでブログ<漢方でイキイキ人生>を立てました。

それならついでに、毎日店頭で相談したことも参考にしていただけるのではと思い、<漢方で1日1善>のブログも立てました。

そして当店が専門的にとりくんでいます不妊症のブログ<集まれ!ぷれぷれママ>も生まれ、現在3本のブログを継続しています。

この間、これらの内容を見てお問い合わせをいただいたり、コメントをお書きいただいたり、少しずつですがふえてきました。そしてお客様に教えられることや気づきもあります。

毎日書くというのは、実は大変な作業なのですが、自分たちの勉強と整理にもなることですので、今後も継続したいと考えます。ぜひご覧いただきますように! 

春の皮膚病

この時期は花粉症に次いで皮膚トラブルが多いようです。

季節が変わり陽気が増すために身体に熱がこもりやすく、また空気も乾燥しているので痒みが酷くなるのです。

60歳のTさん、2年前の5月に初めて皮膚病で相談に来店されました。身体がのあちこちに貨幣状の乾燥性湿疹があり、温まると痒みがまし、掻くと膿汁が出る、そして後がかさぶたになるというものでした。

漢方で<血熱>といって、熱がこもっていてうまく発散しないために起こるもので、食生活やストレスなどが原因の場合があります。

この時は清熱解毒作用の<黄連解毒湯>と、清熱瀉火の<竜胆瀉肝湯>を使い、1週間で痒みが楽になり、その後2ヶ月ほど継続されました。昨年は1月に来られ、1ヶ月間使っていただき、治まりました。そして今年は本日来られ、清熱通便の<清営顆粒>を加え、同様の処方を使っていただきました。

毎年同じような時期に発症し、漢方薬で楽になり来られなくなり、また次の年に来られるというケースは、花粉症と皮膚病に多いパターンです。いずれも体質が大きく変化しなければ、同じ処方で改善するものです

寝汗の改善に漢方

慢性の疾患を患っている方や病院に入院している方で、寝汗がひどく夜中に肌着を着替えないといけないくらい出るという相談があります。

医師に相談し検査を受けても何も問題ないので、少し暑いのでしょうと言われるだけで、点滴を受けるというだけの方があります。

症状は、倦怠感があり、口が渇き、手足のひらがほてりなどを感じることが多く、漢方ではこのような状態を<気陰両虚>といいます。原因は体力の低下で、汗腺がうまくコントロールされないためと考えます。

79歳Yさん男性、現役で会社に勤めておられ、少し血圧が高いとか、皮膚掻痒症があるとかのトラブルはあるものの牛黄製剤の<清心丸>を継続して使っていただき、元気に過ごしておられます。

最近睡眠中に汗をかくことが多く、夜間に2回肌着を代えるので大変とのこと。これは年齢から考えても「気陰両虚」があり、無駄な汗をとめる<五味子>と、潤いを補充する<麦門冬>の含まれる、補気・補陰作用の<麦味参>を使っていただきました。

このような例はたくさんあり、短期間に汗が改善されるケースがあります。西洋医学では考えられない、生薬の作用のすばらしさを改めて感じています。

子供の花粉症

すっかり春めいて、さくら情報が聞かれるようになりました。京都の御所も既に開花し始め、今週が見ごろです。

花粉症も本格的になりご相談もふえています。特に子供の花粉症には西洋薬が使えず対応に苦慮されていますが、こんなときこそ漢方の出番です。とは言うものの、粉薬が苦くて飲めないとか、錠剤が大きすぎて飲めないとかいった問題もあります。しかし、小さな子供さんが目をこすって真っ赤にしているのを見ると、ジュースに混ぜても、何でも良いからとにかく使ってみて!と言っています。

子供さんが使いやすい花粉症の漢方薬は、鼻水が多い方には、少し小粒の錠剤の<小青竜湯>や、鼻閉の時の<鼻淵丸>は丸く小さいので問題ありませんが、それでもダメな場合は割って使うなど工夫が必要です。

生薬を上手に使う

日本では昔から、<どくだみ(ジュウヤク)>や<ゲンノショウコ>、<めぐすりの木>、<ガイヨウ>などは民間薬として使われています。
また漢方薬としては生薬を合わせて処方された<煎じ薬>が使われてきました。

中国では、歴史の違いもあり、医療機関が少なかったため、生薬を自分で選んで煎じて飲むというのが日常的に行われているようです。中国へ行くとあちこちに<生薬市場>があり、また食品市場の中にも生薬を売る店があります。

そして、日本に住んでおられる中国出身の方は、当店のような専門店に生薬を指定して買いに来られます。例えば、冷えや頻尿の時に<補骨脂>を、咳や口の渇きに<麦門冬>、また汗が多く出るときは<五味子>などです。最近は衛星放送で中国の番組が見られますので、それで得た漢方情報を参考にされているようです。

生薬が日常生活にしっかり入りこんでいるのは、医療不足の歴史によるものと思われますが、『人に頼らずわが身を守ること』が大切なことを教えてくれます。

赤ら顔

赤ら顔の相談も多いのですが、改善に時間がかかるケースや、また改善しないケースもあり、難しいと感じています。主なタイプで分けますと

1、いつも赤い

2、緊張するとすぐ赤くなり汗が吹き出る

3、のぼせで赤くなる

4、季節の変わり目、特に春先に赤くなる

5、肝臓や血圧の影響で赤くなる

など、様々な原因があります。

漢方薬も、熱を冷ますものから、血流を良くし熱を発散させるもの、過緊張を抑制するものなど様々です。このうち難しいのは1、2、で、3と4は比較的短期間で改善します。

先日相談に来られた40歳の女性、春や秋の季節の変わり目に顔全体が赤くなり、特に目の周りが赤く腫れて乾燥し、酷いときは皮膚が剥落するようになるとのことでした。肌全体も乾燥気味で、アレルギー体質もあり、季節の影響を受けているのは明らかでした。

そこで、乾燥をとる<当帰飲子>と、目の周りの炎症を鎮める<梔子柏皮湯>をお使いいただきました。

2週間後来店いただき、赤みはほとんど消え、痒みもなくなりました。予想以上に短期間での改善で喜んでいただきました。

漢方で<春は肝の病を生じやすい>と考えます。そのため、肝の影響を受けやすい目の周りに症状が強く出たり、自律神経のトラブルが出やすいのです。西洋医学ではあまり季節を重視しませんが、漢方(正確には中医学の五行説)では、季節や自然の変化と人体が受ける影響をいつも考えているのです。