こわい夢

怖い夢を見て目が覚めるという話を以前に書いたかもしれませんが・・・改めて書きます。

強いストレスを受けたときや、過去にストレスが継続していたときに、その記憶が残っていて夢に出てくるという事はよくあることです。しかし、その程度が強い場合、睡眠中に唸ったり、無意識のうちに腕を振ったり、起き上がったりすることもあります。

通常は睡眠中は副交感神経が優位なのですが、この場合は交感神経の興奮状態になっているようで、朝目覚めたときも「寝た気がしない」ので、身体も疲れが残ります。

63歳男性、現在は退職されてストレスも感じないのですが、昔働いていたときのストレスがかなり強かったためか、睡眠中に上記のような症状がでるため相談にこられました。

1月下旬に来られたときに痰湿タイプの体質改善と安神作用の<温胆湯>と肝気の興奮を抑制する<抑肝散>をお使いいただいたところ、1週間で少し改善し次の2週間ですっかり症状はとれました。その後漢方薬の服用を1日1回にして継続されていますが、全く起こる様子もなく完治したようです。

西洋医学ではこのような場合、睡眠剤系が使われると思いますが、漢方はこのような「変わった症状」に適するものはたくさんあるところが漢方の特徴でしょうか。

舌炎の痛み 2

先日舌炎の男性の話を書きましたが

同日に舌の辺縁部が痛むという女性が相談に来られていました。

43歳女性、会社員の方、1年ほど前から痛くなり始め、医院で抗生物質をもらっていましたが、痛みは改善せず困っておられました。状態は、舌の辺縁部に赤みはなく、炎症が明らかでなかったのですが、痛みがあるとのことでした。

比較的色白で、冷え性、少しヤセ気味の方で、発症した時期は忙しく、ストレスも多かったとのこと。中医学では「気血両虚」のタイプで、補血を中心に考えようと思ったのですが、疎肝を優先し、血の道症に使う<逍遥丸>をお使いいただきました。

そして2週間過ぎた今日来店され、かなり楽になってきたとのことでした。今回は粘膜の修復作用を目的にオウギ製剤を加えました。1年間抗生物質を使って、胃腸も負担になっていると思われますので、胃の調子も整える必要があります。

飛蚊症の漢方

漢方薬は目のトラブルにもよく使います。中でも多いのが白内障、緑内障ですが、その他に飛蚊症、閃輝暗点症などにも効果があります。

今日お問い合わせのあった方は33歳の男性で、飛蚊症があり、眼科では治らないといわれ、不安になったとのことでした。話をお聞きすると、漢方的な捉え方による原因がはっきりしていて、まだ若い方ですので、改善の見込みは充分ある旨をお伝えしました。

実は、私も飛蚊症があり、パソコンと1日中格闘した時や、疲れが激しいと出てきます。休養して治まる場合はよいのですが、なかなか消えないときは<杞菊地黄丸>を使いますと改善します。

これは中医学で<肝腎両虚>といい、エネルギー低下状態になっていることが原因なのです。飛蚊症の中医学的区分は、これ以外にも<気血両虚=元気不足と血液不足>や<痰濁><湿熱>などがあり、体質判断により漢方薬は変わります。そして、若い方は早く改善し、高齢者ほど時間がかかるように思います。

舌炎の痛み

口内炎のように舌が炎症を起こし、痛みや潰瘍状になることがあります。

中医学では、胃熱(食べ過ぎなどで胃がオーバーヒートしている)、陰虚(身体の水分代謝が異常)、心火(ストレスなどでのぼせ気味の状態)などを原因とすることが多く、体質も考慮して漢方薬を選びます。

短期の口内炎は治療しなくても改善しますが、慢性的な炎症や潰瘍は漢方が得意な分野です。

55歳男性Bさん、舌が歯にこすれるためか、舌の辺縁部が潰瘍状になって痛く、話しにくく、その後は咽も痛くなり相談にこられました。

口腔部全体に炎症があり、話すたびに舌が歯に触れて痛く、食事も辛いようでした。早速、炎症を鎮めるための清熱解毒作用がある喉の痛みの薬<銀翹散> と 粘膜の改善のためにオウギ製剤を使っていただきました。1週間後来店され、痛みはかなり改善し楽になったとのことで、そのまま継続服用していただいています。

舌炎の場合も、発症の原因となったこと、例えば食生活やストレスなどの改善も合わせてしていただくようにアドバイスしています。すべての病は、生活の中に原因やその病になった引き金があるので、それを本人に気づいていただき、改めていくことが症状改善の近道なのです。

しゃっくりには漢方が一番

外科や重い精神疾患になどには西洋医学のほうが優位ですが、耳鳴りやしゃっくり、体質改善などは漢方が得意とする分野です。

しゃっくりも時々起こるものは病的ではありませんが、連続してとまらないしゃっくりは食事もできず大変です。しゃっくりの相談に来られる方のほとんどが入院しておられるか、重い疾患を持っておられる方で、その原因は胃の冷えや水毒、気の上逆(ストレス)によるものです。

民間薬としては昔から柿のへた(生薬名:柿蒂)を煎じて飲む方法が知られていますが、漢方ではこの<柿蒂湯>以外にも<芍薬甘草湯>や<呉茱萸湯>などの処方があります。いずれも胃を温め、気の上逆をとるなどの作用によるものです。

子供のしゃっくりは冷たいものを飲んだときに起こることがありますが、これは熱い砂糖湯でも改善します。

66歳Nさん、肝ガンで入院中にしゃっくりが始まり、止まらないため、担当医師から漢方を探してみてくださいとのアドバイスを受けて、当店に来られました。

詳しく聞くと、ガンによって腹水がたまり、気分的にも落ち込んでいるとのこと。最初は柿のヘタを希望されていましたが、<柿蒂湯>の煎じ薬をお使いいただきました。

結果、2日後にはかなり楽になり、3日後にはしゃっくりは止まりました。その後腹水の改善のため、他の煎じ薬を使っていただきました。なお、肝臓病の方はしゃっくりが出やすいのも特徴です。

しゃっくりを改善する処方はいくつかありますが、早い場合は1日でとまります。これは西洋医学では対応できない、漢方が得意とする分野です。

慢性鼻炎の改善

花粉症の時期になりオウギ製剤を頻用していますが、慢性鼻炎の方に長い間使っていただき、期待以外の効果がでたので紹介します。

この方は関東にお住まいの45歳のMさん、京都に住んでおられるお父さんの紹介で、慢性鼻炎に使う薬として<オウギ製剤>を送ることになりました。

毎日点鼻薬を使い、抗アレルギー剤を併用しておられたのですが、その後症状は改善し、点鼻薬が不要になりました。

それ以上に驚いたのは、子供の頃から白血球が少なく、風邪をひきやすい体質だったのですが、漢方薬Eを飲みだしてから半年後、白血球が正常範囲を保つようになり、合わせて風邪をひかなくなりました。

それもあって鼻炎はますます良くなり、もう漢方薬も要らないほどになったとして、大変喜んでいただきました。その後も免疫維持のために、1日1包だけ継続してもらっていますが、それでも体調は良好で、血液検査もすべて正常になっているとのことです。

生薬オウギは外部からの風邪(ふうじゃ)を防ぐという作用があり、様々なことに使われます。

かすれ声

乾燥や花粉によるアレルギーで咽が炎症を起こし、声がかすれ、出にくくなる方があります。

咽をよく使う方に多く、以前にも書きましたが、謡曲や歌を趣味にしている方、セールストークをされている方、講演をする方、そしてお坊さんです。

50歳の女性Yさん、セールスの仕事をされていて時々声が出にくくなるとのことで来店されました。前回は補陰作用の<麦味参>を使っていただき改善しましたが、散剤は飲みにくいとのことで、今回は錠剤の<麦門冬湯>をおすすめしました。

謡曲をしておられる女性は、<麦門冬湯>を飲んでいるときは声の通りがよくなるということです。趣味でカラオケをしている男性も、使っていただいています。

いずれも生薬:麦門冬の滋陰・補肺による、乾燥の改善と呼吸器の強化作用によるものです。

花粉症が本格化!

花粉症が本格化してきました。京都は今日も良い天気で、多分多くの花粉が飛散しているものと思います。

花粉症の症状改善には様々な漢方薬を使いますが、やっぱり<オウギ製剤>が基本です。

昨年<オウギ製剤>初めて使っていただいた男性Tさん、今年は早めに使い始められたので、世間では花粉症がいわれているが自分は大丈夫といっておられました。毎年この時期しかこられない女性Hさん、これだけでは鼻水がとまらないということで<小青竜湯>を少し加えるとよく効くということで、3月上旬から始められています。

経験的に、花粉症の相談でこられる方の約半数はオウギ製剤でもほとんどの症状が治まります。

生薬<オウギ>は衛気を高める作用があり、風邪(邪悪なもの)の身体への侵入を防ぐという考え方です。

手荒れ・湿疹

主婦の水仕事で手が荒れたり、湿疹になるケースはよくありますが、それ以上に酷いのが美容師さんの薬品カブレです。最初は手のひらにひび割れや水疱が現れますが、酷くなると腕や全身に湿疹が出ることがあります。

27歳の美容師さん、手と腕に湿疹ができ、痒みもあって夜に目覚めてしまうほどで、相談に来られました。

手を見るとすぐに美容師さんという仕事であることがわかるほどです。ひび割れはひどく、一部は出血していて、とても痛そうでした。そこで、乾燥をとり潤いを得るため補血作用の<婦宝当帰膠>などの漢方薬をお飲みいただくことにしました。

また外用には、昼間の仕事中は臭いのあるものは使えないので、消炎と保湿効果のある漢方クリームSの薬用クリームを、夜間は寝る前に消炎と肌の再生効果のある<紫雲膏>を使っていただきました。

仕事をしながらですので、1ヶ月でどの程度回復するかわかりませんが、過去の例ではかなり改善しています。しかし、全身に及ぶ湿疹の場合は仕事をやめないと完全に治癒しないというケースもあります。美容師さんの職業病で、難しい問題です。

女性のニキビ・吹出物

ニキビや吹出物は、日常的で最も多い相談です。

特に女性にとっては大きな悩みです。原因は様々で対処方法もたくさんありますが、多いのは便秘やホルモン分泌に関連するもので、生理の前に悪化するタイプです。赤み、ジクジク度、圧痛の有無、出ている部位などで対応方法を考えます。

28歳女性Bさん、吹出物が続く。以前に医師から漢方薬をもらい、1年間飲んで良くなったが再び悪化したとのことで相談にこられました。頬部に赤みがあり、ジクジクするときもある、生理は不順で、生理の前はイライラし偏食をすることもあるとのこと。

皮膚の状態から<消風散>と、生理を整える<加味逍遥散>を服用していただき、2週間後の2月上旬に来店されました。結果、新しい吹出物が全くでなくなり、今までのものは赤みが引いていました。再度同じお薬を使っていただきました。

女性のニキビや吹出物には皮膚に使うお薬と、生理を整える<加味逍遥散>を併用することで、予想以上の効果を現すケースがよくあります。女性のお肌トラブルは、必ずホルモンバランスとの関連を考えることが大切です。