咳払い

痰が絡んでもいないのに、なんとなく咳払いをする方がよくおられます。

ご本人は無意識のうちにしているのでしょうが、周囲は気になるものです。それが酷くなると「カーッ!」という大きいな音で、痰を取ろうとされるのですが、実際に痰は出てこず、咽にへばりついているようです?   と言うのも、実際に痰があるのかどうかが明らかでないのです。

58歳Nさん、上記のように、いつも咽に痰がたまったようで息苦しく、『ガーッ!』と大きな音で痰を取ろうとされます。しかしなかなか取れず、相談にこられました。

最初は痰がねばってとれにくいのかと考え<麦門冬湯>を中信に、痰の粘りをなくして痰が動きやすいようにと考えました。しかしこれでは改善せず、今度は精神的な要素があるのかと考え、<抑肝散>を使ってもらうも、改善の兆しなく、その他柴胡剤や疏肝剤をつかうも改善せず、その後中断してしまいました。

経過からみるとストレスが原因で始まったものですが、自律神経にかかわるものは簡単には改善しないケースも多々あります。

民間薬と伝承薬

民間薬は、古くから民間で使われてきた薬草を言い、お茶として手軽に使われつつ、且つ健康維持に大切な役割を果たしてきました。

店頭ではよく 『○○草はある?』 などと聞いてくる方がおられます。昨日も「カラスノマクラ」は扱っている? とのこと。初めて聞く名称ですので調べてみると「カラスウリ」の実で、秋に赤い果実ができ、それのことらしいです。キカラスウリの根や種は漢方でも使うのですがマクラというのは初めて聞きました。

各地に伝わる薬草や植物の名称は地域特有のものが多く、正規の植物名でないとほとんどわからないのです。これらが民間薬といわれるものです。

一方、伝承薬は生薬を組み合わせたいわゆる薬で、江戸時代にはたくさんの種類があり、庶民の健康維持の中心となっていましたが、その殆どが西洋薬に追われ、また製剤許可が厳しくなって製造できなくなったものもあります。現在残っていてよく知られるものは、龍角散や養命酒、六神丸、奇応丸などがあります。

また漢方薬は、いくつかの生薬を組み合わせたものですが、その処方が古典に基づくものやそれを変化させたもので、最も歴史と臨床経験があります。

一般には、これらをすべてを<漢方薬>と言われることが多いのですが、正しくは以上のように異なるものです。

最近ブームのハーブとかサプリメントというと、自然からとれたものというイメージがあるのですが、化学薬品であったり、特定成分を抽出したものであったりして、天然物とはかけ離れたものが多くあり、今後健康トラブルが出現するのではと危惧されます。

そして昔ながらの民間薬や伝承薬が見直される時期がくるのではと思います。

脳の老化予防法

今日はインターネット関連団体の勉強会に参加し、最新のネット動向の一端を学ぶことが出来ました。

参加者は80人近くで、その平均年齢は30歳代でしょうか?。 私のような50歳代は高齢者の部類に入り、人数も少なかったようです。

日常は忙しくて、なかなか新しい技術を理解することが出来ないのですが、少しでもついていこうと参加しているおかげで、ネット社会が大きく変わってきていることが見えてきます。またこの会に参加すると20歳代の方と話す機会が多く、若くても一生懸命に考え、自力で進めようとする方々の姿勢に勇気と希望を与えられます。

そうです! <脳の老化予防の最高の方法>は、自分より若い人と話す時間を多く持つことです。脳に刺激があって、気分も一挙に若返ります。

漢方薬では血流をよくする活血作用の<冠元顆粒>などを用いますが、脳神経に刺激を与えるのは、五官をしっかり働かせることです。

50歳代以上の方は自ら進んで若い人の場に参加してみてください!

長期の微熱症状が改善

風邪をひいてるわけでもないのに微熱が続き、特に午後から夕方にかけて出るという方があります。

68歳女性Kさん、2月中旬にインフルエンザにかかり、その後微熱が出るようになりました。午後から夕方にかけて37度を超えることがしばしば、高いときは37,5度になり、だるくなるとのこと。

この方は体重が40Kg程度で痩せておられ、食欲もなく、貧血もありました。これは中医学で<脾胃気虚>の状態で、胃腸が元気になれば熱が下がると考え、<六君子湯>などを合わせて使っていただきました。

2週間後の昨日来られ、食欲が出て、食べ物が美味しくなり、熱が出ることも少なくなってきたと喜んでいただきました。もう暫く続けると、解決すると思います。

この熱は体の元気が低下したために体温を高めようとする体の自然な反応によるもので、中医学では<虚熱>といい、西洋医学では不明熱にあたります。この方も医院に通っておられたのですが、熱は改善せず、漢方に気づかれたとのことでした。

微熱が続く原因はこれ以外にもありますので、その方の体質、経過を詳しく知って対応する必要があります。

山菜は神経安定食材です

ゴールデンウイークも過ぎ、京都では<タケノコ>は終盤を迎えていますが、代わって<セリ>や<ミツバ>がシーズンに入りました。

あまり知られない秘密の場所!へ山菜を採りに行くと、今年もいっぱいに広がって大きく伸びていました。さっそく摘んできて、お浸しにして食べると山の香りが広がります。

セリはビタミンや鉄分があり、貧血や血行改善に効果があります。

また、ミツバもビタミンAが豊富で、目にも良い食物です。

いずれも香りのある山菜で、気分をめぐらせ、神経を安定させます。日頃イライラ、バタバタしている人(私もそうですが)にはおすすめの山菜です。

女性の肌荒れ

今日は肌荒れ専門相談日?でした。肌荒れにもその原因やタイプがいくつもありますが、今日の3タイプの方を紹介します。

33才女性Mさん、生理の前になると肌があれ、皮膚がめくれたり、目の周りが赤くなる、全身が乾燥傾向があるとのことでした。ホルモンの変化と関連するもので、補血作用の<婦宝当帰膠>と、疎肝作用の<加味逍遥散>を1ヶ月使っていただき、今日お越しになった結果は大変良好でした。目の周りの赤みは少し残るものの、乾燥や荒れは改善していました。

もう1人は38歳のMさん、関節部や頬にアトピーがあり、手指にも丘疹ができて痒みがあり、全身は乾燥状態で、ストレスで悪化しやすいとのことでした。3ヶ月前から主に補血潤燥の<当帰飲子>と疎肝作用の<加味逍遥散>を使っていただき、全身はほぼ改善し、指の痒みだけが残っている状態まできました。

もう1人は36歳のKさん、吹出物が多く<十味敗毒湯>や<消風散>などを使っていただき、きれいになったのですが、跡形が残っているため<ヨクイニン>のエキス剤を使うことにして1ヶ月余り、黒い跡形がわずかずつ色が薄くなってきました。

同じ肌荒れでも、原因や体質により、使う漢方薬は当然異なるのです。他人が効いたからといってもだれでも効くというものではありません。

子供の中耳炎

滲出性中耳炎は子供に多い病気ですが、子供には抗生物質を長期間飲ませたくないということで漢方薬を求めてこられます。

この疾患は、よく冷たいものを飲み、花粉症の症状が出るような水毒体質のお子さんに多いように思います。そして漢方薬がよく効く分野でもあります。症状や病程により、漢方薬も異なりますが、いずれも水分代謝を促進するようなものを使います。

2歳のAちゃん、風邪を引き、鼻水が出ると、中耳炎を起こすという繰り返しで、長期間抗生物質を使っておられましたが、いつまでも使うのも心配なので、漢方を求めてこられました。

少し食が細く、虚弱なタイプで、子供でも飲めるものを考え健脾作用の<黄耆建中湯>を使っていただきました。その後2ヶ月で中耳炎を起こすことがなくなり、現在も継続されています。

このお薬は、元気をつけ、風邪を引きにくくすると同時に、お腹を温め、胃腸機能を高める薬で、虚弱体質の子供さんにはよく合い、飲みやすいのも特徴です。
子供の様々な疾患は、胃腸を丈夫にして、体力をつけ、正常な発達を支えることが肝心なのです。

自家中毒症

4月から新しい学年が始まり、子供も楽しい一面、ストレスも多い時期です。これが原因となって自家中毒の症状が現われるケースがあります。

3年生のTくん、4月から転校して新しい学校、新しい友達の中にはいりました。5月になって、激しい嘔吐を発症し、病院で診察を受けたところ、特に問題なく、精神的なものとされました。

そこで以前から漢方薬には慣れている子供さんでしたので、肝気を抑える<抑肝散>のエキス剤と、嘔吐や胃腸の状態を考え健脾作用の<六君子湯>のエキス剤を使っていただきました。以前にもこの漢方薬を使って良かったことがあり、しばらくすると安定するものと思います。

自家中毒症には、嘔吐時は利水作用の<五苓散>を使い嘔吐を鎮めるのですが、神経の高ぶりが酷いときには、このほか<苓桂甘棗湯>なども使います。子供には安定剤のような薬より、漢方薬がおすすめです。

クーラー冷えの始まりです

京都ではゴールデンウィークを境に、急に暑くなってきました。

電車では早やクーラーが入っていて、乗ったときは気持ち良いのですが降りる頃には足が冷えています。暑がりの私ですら冷えるというのですから、冷え性の女性は辛いことと思います。事務所でもクーラーが入り始め、今日来られた女性はひざ掛けを使っていると話しておられました。

冷え症にはこの冬も多くの方に<婦宝当帰膠>をはじめ漢方薬を使っていただき喜んでいただきましたが、液体であるため持ち歩きができません。そこで夏のクーラー冷えにたいしては温中散寒作用の<人参湯>を使っていただいています。錠剤タイプで分包されているため、持ち歩きには最適です。

構成生薬の人参は補気剤で、身体に力をつけ、乾姜は温める力が優れます。
夏の必携品は<日焼け止め>と<クーラー冷え予防薬>を準備しておいて下さい。

季節の変わり目の咳

季節の変わり目のトラブルは様々ありますが、そのひとつに喘息や咳があります。

空気が乾燥するためと、陽気が昇って身体にも熱がこもり上衝するために、夜間の咳き込みが生じやすいようです。

20歳の女性Sさん、この2年間、春と秋の季節の変わり目に咳が出て、布団に入ると酷くなり寝られないとの相談でした。

息を吐くのは大丈夫だが、吸い込むのが苦しく咳を伴うとのことです。病院の鎮咳去痰剤を飲むと、朝方に手が痙攣するので使いたくないため、漢方だけで治したいとのこと。
タイプは血虚に腎虚を兼ねる方で、滋陰清熱の<滋陰降火湯>1週間使っていだきました。この薬は身体に潤いを持たせ、のぼせ(上衝)をとり、痰をとり、咳を鎮めるというものです。

結果、1週間ですっかり治ったのですが、その後漢方薬を中止していて再び痰が出てきたので、さらに1週間継続することにしました。咳のトラブルは短期間で改善するものが多いようです。