女性の春の病

春の陽気が高まるにつれて現れる症状がいくつかありますが、そのひとつが気分のイライラ感や不安定になる方です。

陰陽論で冬から春に変わる時期は、陰気が少なくなり陽気が増える、その変化に身体がついていかないことで起こります。西洋医学的には季節の変化によるホルモンの変化が原因と考えます。

39歳のAさん、以前よりストレスを受けやすく、頭痛、不眠、蕁麻疹などの症状が時々ありました。そして、先日からはさらに症状がひどくなってきて、寝込んでいるとのことでしたので、昨年の同時期にも使っていただいた血の道症に使う<加味逍遥散>をお送りしました。

このようなケースはホルモンの影響を受けやすい女性に生じるのが特徴です。しばらくしたら落ち着くことと思います。

低体温の話 続き

先日書きました<増える低体温>の続きです。

54歳のKさん、陰陽利水作用の<真武湯>よりもっと温まるものがないかとのことで、その後、補陽作用の<麻黄附子細辛湯>をお使いいただきました。すると、飲んだその日から身体の芯が温まり、楽になってきたと喜んでいただきました。

通常四肢の極度の冷えには<四逆湯>が良いのですが、エキス製剤がないため煎じ薬になってしまいますので、代わりに<麻黄附子細辛湯>を使うことがあります。この薬は風邪などで背中がゾクゾクする時に使うとすぐに効き、常備薬としてお持ちいただく優れた処方です。

子供のてんかん

「てんかん」というと痙攣を起こして倒れるというイメージがありますが、実はてんかんにはいろいろな症状があります。

原因は脳の一部が異常に興奮状態となるため起こるもので、診断は症状や脳波、あるいは脳の画像によって行われます。

8歳のKくん、3才のころからてんかんと診断を受け、治療していましたが様々な症状が変化して出てくるので相談に来られました。聞くとことによると、病院によって診断が変わり、薬を使うと改善するが、しばらくしたら薬が効かなくなるのを繰り返しているとのことでした。そして今回は腹痛が一晩に数回起こり、治まらないとのことでした。

そこで、胃腸薬ではなく神経の興奮を抑制する目的で<抑肝散>のエキス剤を使っていただいたところ、1ヶ月で腹痛はかなり減り、喜んでいただきました。

西洋薬では薬に対する<慣れ>が生じるとのことでしたが、漢方薬ではどのような結果になるのか・・しばらく継続していただいています。

赤ちゃんの湿疹

メールでのお問い合わせをたくさんいただきますが、その中で乳幼児の相談もよくあります。特に赤ちゃんで薬が使えないときは入浴剤や軟膏を使います。

軟膏では<紫雲膏>や<タイツコウ>、入浴剤では<桃の葉>を使いますが全身の乾燥と痒みには生薬の

当帰>と<地黄>をあわせた煎じ薬の入浴剤がお勧めです。

生薬の作用で保湿と消炎効果があり、また元々飲み薬ですので安全なのも特徴です。以前からアトピーの方の入浴剤として知られており、たくさんの実績があります。

増える低体温

最近若い方の体温は平均的に低く、35度台が多いようです。

以前は平熱というと36,5度と思っていましたし、私もその程度を維持しています。しかし、若い方ばかりでなく、先日中年女性の低体温の相談がありました。

一人は54歳の女性Kさん、とにかく身体が冷えて、手足だけでなく朝方は胸もゾクゾクするとのことでした。病院からは<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>をもらったが変化ないということで、当店では補血・温補の<婦宝当帰膠>をお使いいただきました。

1週間過ぎて来店され、身体全体が温まり、楽になったが、もう少し下半身が温まるものを追加したいということでしたので、<桂枝茯苓丸>をお使いいただきました。

もう一人の方は64歳の女性Aさん、見た目は元気で声も大きく、低体温には見えないしっかりした方ですが、36度になることがない低体温で、いつも全身が冷たいとのことでした。この方にも同様に<婦宝当帰膠>をお使いいただきました。

低体温は放置するとガンになりやすいとのデータもあり、漢方薬による改善にあわせて食事や生活の改善も大切なのです。

煎じ薬がおすすめのケース

またまた心臓病の話ですが、心臓やその周辺に浮腫が生じる疾患があります。

例えば、うっ血性心不全、胸水、肺水腫など様々で、これに対して西洋薬ではラシックスなどの利尿剤などが使われますが、口渇を生じたりする割りに効果が低いことが多々あります。

57歳の男性Kさん、心臓カテーテルの検査で、バルーン治療を行った際に治療ミスで血管が破れ、それが原因で心膜炎を発症しました。そして心臓の周りに水がたまり、心臓の位置が動くたびに強い痛みを生じました。

そこで、早くこの水を引かせることが必要と考え、防已や茯苓が含まれる煎じ薬を飲んでいただきました。病院からは消炎鎮痛剤を勧められましたが、胃腸に負担がかかるので使わず、漢方だけでやってみることにしました。

2日分をつくりましたが、1日を過ぎたところで痛みはほとんど消え、2日目に再検査に行ったところほとんど改善してもう心配ないとの事でした。

漢方薬も証と症状に合っているときは効果が早いようです。

田七人参の働き 2

バイアスピリンや血管拡張剤の副作用で出血傾向が現れた場合に田七人参含有健康食品を併用することがあります。

Kさんがこれを飲み始めてから8日ほど経過後、様々な変化がありました。

以前は少しでも手足がぶつかると内出血を起こしていたのが、その後は内出血がおこらない、

歯磨きをしたときの口中出血が減った、

病院で痔が再発したのですが、その出血が改善した、

その後の採血時の止血が早くなり、内出血を残さない

など、たくさんの症状が改善されととのことです。

田七人参は健康食品ですが、不思議な作用をするようです。

子供の花粉症

花粉症の季節を迎え、1年ぶりにお電話をいただく方が増えてきました。

その方の花粉症の症状は毎年同じ状態が発症しますので、漢方薬も例年どおりでよく、『いつものをお願いします』ということになります。

大人の場合は西洋薬を使われる方もありますが、子供の場合は漢方薬を求めてこられるケースが多いようです。処方は大人も子供も大差なく、体質と症状によって決め、衛気を高める<補気薬>や咳に<銀翹散>や<菊花のハーブティ>などを使います。

今日もお電話いただいたTさん、東京に転居されたのですが以前に使っていた子供の漢方薬を送ってくださいと連絡をいただき、懐かしく思いました。これからも長~いお付き合いになりそうです。

足がピクピクする

高齢者で夜間に足がピクピクするとか、痛みが出る、こむら返りや痙攣が起こると言う方があります。これらの多くは末梢血流の悪化により、筋肉が滋養されないために起こるようです。

74歳の女性Hさん、以前から頭痛、目の奥の痛み、不眠など、自律神経に関わる多くのトラブルを訴えておられ、漢方薬を使っていただいていました。気分が安定するものや気の流れを良くするもの、血流を良くする漢方などではあまり改善せずにいました。

最近は足がピクピクすることが増えてきたので、今までの漢方薬に変えて、補血活血作用の<疎経活血湯>だけを使っていただきましたところ、10日ほど過ぎた頃から、足のピクピクも軽減し、合わせて目の奥の痛みも楽になったとの報告を受けました。

この<疎経活血湯>は末梢に血液を送り、栄養を与える働きがある漢方薬で、こむら返りにはよく使われるものです。

多くのトラブルを訴えられていたので、ついつい自律神経に原因があると捉えてしまっていましたが、結果から考えると高齢化による血液不足が原因であることを教えていただきました。

セカンド・オピニオン

NHK番組の<プロフェッショナル>や、<世界のスーパードクター>などの番組、また<よい病院ランキング>などの本が出ていて、医療に係わる情報はあふれるばかりあり、利用者にはとても良い傾向です。

しかし、いざその病院やレベルの高い医師に依頼しようと思うと、現実は地理的、時間的な問題、人的なコネなどの障害があり難しいものです。

そこで以前から言われている<セカンド・オピニオン>の制度により、少しでも適切な医療を受けられるように、制度の充実が望まれますがこれも現実は充分機能していない、知られていないようです。

現在セカンド・オピニオンを受けられる公的機関としては

<国立病院機構>http://www.hosp.go.jp/    

があり、受診している病院から<診療情報提供書>などの資料を持ち込んで、有料で専門の医師の相談が受けられます。私も今回始めて知りましたが、地方自治体は独自の制度充実をするとともに、これらのことを一般の方に広く知らせ活用されるものになるよう、努めてほしいものです。