病が病を生む

扁桃炎の相談にこられた女性Kさん、今年1月からの扁桃腺炎になり、耳鼻科で治療を受けられてはいるが、いつになっても治らないとのこと。

よーく話を聞いてみると、咽の奥に白い斑点がついていて、少し痛みがある、その後舌が赤くなり、味覚異常がでてきたとのこと。検査データでは味覚異常があるわけでなく、境界値程度です。医師からそういわれたので、そうなったようです。

そこで舌を見せてもらうと、舌の両側の広範囲に苔が無く、中医学で言うところの地図舌で、「気陰両虚」を示していました。心配性で、少し自律神経失調気味ということがわかります。

結局心配が心配を生んでいるだけですので、疎肝剤と、咽の痛みに使う<銀翹散>をお勧めしました。もしかすると薬はなくても、カウンセリングだけでも良くなるのかなとは思ったのですが、薬があるとご本人は安心されるので使ってもらうことにしました。

この経過を振り返ると、風邪⇒扁桃腺炎⇒舌炎⇒味覚異常⇒歯科という順に病気を作っているのです。最初の時のフォロー、患者に安心感や信頼感を与えることが出来なければ、不安になり、そして次の病気を生んでいくという悪いサイクルに陥っていくのです。

病気の方にはとにかく安心感を与えるようにすることが、薬以上に大切なことだと改めて考える機会でした。

ニキビ・吹き出物

オフィス街であり、繁華街でもあるという場所がら、若い方のニキビや吹き出物の相談が多くあります。

圧倒的に女性の方が多いのですが、このとき一番困るのがお化粧されていることです。顔を見てもニキビがどこにあるのかわからないとか、赤くて痛いんですと言われても、状態がつかみにくいのです。丘疹で化膿してクレーター状になっているのも、よく見ないとわからないほどの厚化粧もあります。あまりじろじろ見ると嫌がられますので、適当に聞いていますが判断ミスを生む原因です。

ニキビや吹き出物につかう漢方薬はたくさんの種類がありますが、女性の場合は生理周期の関係やストレスの状態に関連することが多く、男性では食生活に関連する場合がよくあります。早く改善する場合もありますが、難しいものは1年を超える方もあり、簡単な疾患のようであって、なかなか奥が深い?疾患です。

25歳男性Tさん、高校を終える頃から吹き出物が多くなり、ますますひどくなってきたとの事で相談に来られました。化膿し、クレーター状態がアゴ周辺に多くありましたので、まずは化膿ををとることから開始。

<十味敗毒湯>や<黄連解毒湯>などを入れかえながら使い、暫くして化膿はなくなり、赤みも軽減しました。その次は荒れた肌の修復を考え、<桂枝茯苓丸>や<ヨクイニン>などに変更し、肌の凹凸も少しずつですが改善しました。現在も気長に継続しておられます。

ヨクイニンはこのほか背中のニキビ跡をとるのに良いと、お客様から教わりました。毎日が勉強の繰り返しです。

若者の事件に思う

先日来テレビで報道されていました学習塾講師の殺人事件は、当店のすぐ近くの出来事でした。

当日朝、電車に乗ろうと道路を歩いていると、けたたましいサイレンを鳴らしながらパトカーが暴走?していて、付近走行中の運転手も驚くほどでした。そして後で知ったのがこの事件。学習塾で大学生のアルバイト講師が小6の女児を刺殺した、それも計画的な犯行だったとか。

その後来店されたお客様の話で、息子さんが日ごろはおとなしいが、突然暴力的になることがあり、自分の子供と重なって見えると言われていました。

この息子さんは30歳過ぎで、仕事はまじめで、頭も良くて、国家試験を受けようと勉強している方なのですが、家では話の中のちょっとした言葉で急に激高して暴力を振るうときがあるといって、2ヶ月前にお母さんが相談に来られたのです。そして、本人も治したいと思っておられましたので、漢方薬の漢方薬Y>を使っていただきました。

そして1ヶ月経過したころから暴力はなくなり、2ヶ月後には中断していた勉強を再開しようという気になり、ずいぶん落ちついてこられました。

最近の20~30代の方によくみられるケースは、まじめで、外部でストレス発散ができず、家庭で大声をあげ、暴力をふるう、泣き喚くなど、友達や同年代とのかかわりが少なく、母親の過保護が続いていて、独り立ちや成長が出来ていないという方が男女ともに多いことです。

こういった事件をきっかけに、スクールバスの増加や、家庭の過保護、遊び場の減少、登下校時の子供どおしの遊びがますます減ることにより、この子供らが大人になった時に人間関係をうまくもてない人間になるのではと心配されます。

昔のように、子供が安心して遊べる社会を取り戻したいものです。

水分の取り過ぎ

「1日に2Lの水分をとって下さい」、という話をテレビや医師から聞いて実行している方は以外に多いです。

しかし、人によって必要な水分量があるので、一律に2Lというのは問題があると考えます。夏は発汗するので多くとりますが、冬は少なくて良いのは自然の道理です。

漢方では水が身体に滞っていることを『水滞』とか『水湿困脾』とか言い、どこに溜まったかによって対応も変わります。

23歳女性、冷え症と脚の浮腫が悩みで相談にこられました。まずは水の量を聞くと、やはり2Lを飲んでいるとのこと。整体の先生から言われているということで、水を減量するよう説明してもなかなか信じてもらえませんでした。

70歳男性、暑い仕事を長年されていて水も多く飲む習慣ができていました。そのためか、鼻水やくしゃみが多く、ひどいときだけ<小青竜湯>をつかっておられました。また糖尿病もあり、眼の検査を受けたところ、白内障以外に、眼底に白い斑点があるのが見つかりました。さらに再検査により、眼底の腫れ物と水滴?が付いているという診断を受けました。そういえば少し前から涙が出るのがひどくなって来ていました。

これらはまさに水が身体からあふれている状態です。出る部位は異なりますが、水分の改善でよくなる症状は多々あります。もう一度見直してみて下さい。

漢方だけですべて治る??

ホームページをご覧になって、毎日様々な相談があります。

その中でも、西洋医学で病気とされないもの、例えば冷え症などは漢方が得意とする分野です。また、病院の治療を受けているが、症状が改善されないものは、漢方を併用することでよくなるケースが多々あります。

しかし、病院の検査を受けず漢方だけで治したいという方もあります。胃痛や胸痛の方は、単に痛みだけ改善すれば良いというものでなく、その裏に隠された疾患、例えばガンや心臓疾患を見逃さないように、必ず検査を受けていただいています。癌の相談も多くあり、漢方や健康食品だけで治らないですかという方もありますが、先ずは西洋医学的治療が優先するものと考えます。

最近、中国から漢方薬や食品を通販で買っておられる方の話を聞くことが多いのですが、みなさん『西洋医学の治療はやめて、これだけにしてください』とか『○○さんがこれだけで良くなりました』とか言われているとのことです。それだけで治る保障もないのに、無責任な発言をするものだと怒りを感じます。

中国の中医薬大学附属病院でも、ほとんどが<中西医結合>といって、中医学と西洋医学の特徴を生かし、補い合う治療をしています。日本でも<東西合作医療>といって、漢方と西洋医学の両面から考えるのが基本と思います。

漢方や健康食品だけですべて治るという幻想は捨てて、理性的な対応をされることが肝心です。

口臭の話

口臭の相談を時々受けます。

この悩みは他人に聞きにくく、せいぜい聞けるとしたら子供程度でしょうか?そのため一人で悩んでいるという方が多いのです。

ところが実際は気にしている人ほど口臭がなく、逆に他人を気にしない人ほど、実は口臭がするというケースがあるのです。

気にしておられる方が来店されて話を聞いていると、ほとんどの方で口臭がしません。他人に言われたとか、周りの人がなんとなく避けるとかで、すごく神経質になっておられるのです。

まずは「大丈夫ですよ」からはじまり、体調をお聞きし、他に問題がなければ<クマザサ・エキス>を飲んでいただきます。これは、効能書きでは口臭・体臭・疲労回復などがありますが、それ以上に『これを飲んでいると良くなるんだ』と納得してもらうためです。

何も使わなければ、お客様はかえって不安になりますので、長期に渡って安心して使えるものとしては、クマザサのように自然のものがオススメです。

サージの効果

最近、雑誌かチラシで見られたのか、サージ(サジーともいう)の問合せがあります。内容はサージで代謝を上げてダイエット効果があると聞いたのですが、どれくらい減量できますかというもの。

サージは天然のグミ科の植物の実で、ビタミンやミネラル、アミノ酸などが豊富な食品で、当店でも人気の商品なのです。なぜ人気かというと、ビタミンが豊富で肌が美しくなる、またフラボノイドが多く、スポーツや山登りのときにお勧めなのです。

こういった使い方はするのですが、ダイエット効果は疑問に思っていました。そこで詳しく聞いたところ、この商品を買うときに他のダイエット関連商品を一緒に買わされたとか! 占めてウン十万円らしいです。

サジーの目新しさでダイエット食品を売るというやり方はひどいものですね。これからのボーナスの時期、<売ればよいという商売>にくれぐれもご注意ください。

風邪のご相談

昨日から雨混じりの雪が降っていたのですが、京都市の北部では今朝で5センチの積雪がありました。

京都の街中は名物?『京の底冷え』状態です。そのため風邪の相談が続いています。

不妊症の治療中のHさん、現在は卵胞期でそろそろ排卵の時期になり、人工授精を予定されているのですが、あいにく風邪をひかれ相談に来られました。前回も風邪のため不妊治療がうまくできなかったので、今回はすぐに治したいとの事。しかし大事な時期なので、西洋薬は使いたくないのです。

Hさんの症状は、鼻水がでて、咽がチクチク痛く、少しゾクゾクと寒気がするというので、<麻黄附子細辛湯>を3日分使っていただくことにしました。

不妊治療中の女性の場合、月経後期や排卵期前後に体調がくずれやすくなり、風邪症状がよく出ます。また、妊娠中の女性は、西洋薬が使えないケースが多く、風邪には漢方薬が安心してお使いいただけます。

ホルモンの働き

今日は恒例の社内研修会、著名な内科医を講師に「内分泌=ホルモン」の勉強をしました。

人間の生命を司るのは心臓のように思いがちですが、すべての臓器の働きをコントロールしているのは実はホルモンなのです。そのコントロール・センターが<視床下部ー脳下垂体系>で、脳のど真ん中にあります。

この小さな器官から分泌される各種刺激ホルモンが、副腎や甲状腺や卵巣などの<ホルモン分泌器官>を刺激し、それぞれのホルモンが分泌され、全身の働きを調整しているのです。目には見えないところで大変な仕事がなされていることに人体の神秘を感じます。

高血圧、低血圧、肥満、むくみ、不妊、発達成長、血糖値、心拍などなど、ほとんどの作用にホルモンが関わっているのがわかりました。

漢方では西洋医学的なホルモン分泌をあまりを意識しませんが、部分的な治療でなく、全身の状態を捉える漢方の考え方は、結果としてホルモンバランスを整えているように思います。部分的治療でなく全身の調整の大切さを学びました。

そんな勉強をしていたら、久々にホルモン料理を食べたくなりました?!。

甘草による偽アルドステロン症

漢方の副作用?で時々起きるのは、甘草による<偽アルドステロン症>です。

一般的には甘草を含むものを大量、または長期に服用すると、成分のグリチルリチンによって全身に浮腫が生じ、体重も増えて、血圧が上昇するというものです。

漢方薬に配合されている甘草の量は、1日量3g(グリチルリチンとして120mg)以下がほとんどで、標準量の使用で問題が発生することはほとんどありません。しかし、まれに甘草アレルギーを持っている方は、例えば風邪で<漢方薬K>を少し飲んだだけでも浮腫を生じるという場合があります。

気が付いた時点で服薬をやめれば、浮腫は徐々に引いていきますし、また利尿剤を使えば早く改善します。当店では過去に3例の経験があり、いずれも<漢方薬T>などでスムースに改善しました。

漢方薬も使い方を自己判断しないで、必ず薬局などで相談の上お使いになることが必要です。また何か変化が生じたときは早く対応することが肝心なのです。