目の充血
この時期は花粉症で目が痒く、充血している方が多くみられます。
この場合は、咳や熱っぽい症状を目安に<銀翹散>などをお使いいただきますが、花粉症とは関係なく繰り返し充血する方がみられます。
最近ではパソコンなどで目を酷使するため、中医学で<熱欝血滞>といいい、血流が悪くて目に熱がこもり、充血するというケースも多いです。
56歳の女性Mさん、冷えのぼせが強く、年になんどか結膜下出血をし、目の赤い時がみられました。年齢から考えて<肝胆実火>による強いのぼせで起きるものと考え<竜胆瀉肝湯>などをお使いいただきましたが改善しませんでした。そこで<杞菊地黄丸>や、田七人参含有健康食品にしたところ出血はとまり、その後発症する回数も減ってきました。
目を酷使する時代に活用できる優れた処方のひとつです。
女性の春の病
春の陽気が高まるにつれて現れる症状がいくつかありますが、そのひとつが気分のイライラ感や不安定になる方です。
陰陽論で冬から春に変わる時期は、陰気が少なくなり陽気が増える、その変化に身体がついていかないことで起こります。西洋医学的には季節の変化によるホルモンの変化が原因と考えます。
39歳のAさん、以前よりストレスを受けやすく、頭痛、不眠、蕁麻疹などの症状が時々ありました。そして、先日からはさらに症状がひどくなってきて、寝込んでいるとのことでしたので、昨年の同時期にも使っていただいた血の道症に使う<加味逍遥散>をお送りしました。
このようなケースはホルモンの影響を受けやすい女性に生じるのが特徴です。しばらくしたら落ち着くことと思います。
子供のてんかん
「てんかん」というと痙攣を起こして倒れるというイメージがありますが、実はてんかんにはいろいろな症状があります。
原因は脳の一部が異常に興奮状態となるため起こるもので、診断は症状や脳波、あるいは脳の画像によって行われます。
8歳のKくん、3才のころからてんかんと診断を受け、治療していましたが様々な症状が変化して出てくるので相談に来られました。聞くとことによると、病院によって診断が変わり、薬を使うと改善するが、しばらくしたら薬が効かなくなるのを繰り返しているとのことでした。そして今回は腹痛が一晩に数回起こり、治まらないとのことでした。
そこで、胃腸薬ではなく神経の興奮を抑制する目的で<抑肝散>のエキス剤を使っていただいたところ、1ヶ月で腹痛はかなり減り、喜んでいただきました。
西洋薬では薬に対する<慣れ>が生じるとのことでしたが、漢方薬ではどのような結果になるのか・・しばらく継続していただいています。
増える低体温
最近若い方の体温は平均的に低く、35度台が多いようです。
以前は平熱というと36,5度と思っていましたし、私もその程度を維持しています。しかし、若い方ばかりでなく、先日中年女性の低体温の相談がありました。
一人は54歳の女性Kさん、とにかく身体が冷えて、手足だけでなく朝方は胸もゾクゾクするとのことでした。病院からは<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>をもらったが変化ないということで、当店では補血・温補の<婦宝当帰膠>をお使いいただきました。
1週間過ぎて来店され、身体全体が温まり、楽になったが、もう少し下半身が温まるものを追加したいということでしたので、<桂枝茯苓丸>をお使いいただきました。
もう一人の方は64歳の女性Aさん、見た目は元気で声も大きく、低体温には見えないしっかりした方ですが、36度になることがない低体温で、いつも全身が冷たいとのことでした。この方にも同様に<婦宝当帰膠>をお使いいただきました。
低体温は放置するとガンになりやすいとのデータもあり、漢方薬による改善にあわせて食事や生活の改善も大切なのです。
煎じ薬がおすすめのケース
またまた心臓病の話ですが、心臓やその周辺に浮腫が生じる疾患があります。
例えば、うっ血性心不全、胸水、肺水腫など様々で、これに対して西洋薬ではラシックスなどの利尿剤などが使われますが、口渇を生じたりする割りに効果が低いことが多々あります。
57歳の男性Kさん、心臓カテーテルの検査で、バルーン治療を行った際に治療ミスで血管が破れ、それが原因で心膜炎を発症しました。そして心臓の周りに水がたまり、心臓の位置が動くたびに強い痛みを生じました。
そこで、早くこの水を引かせることが必要と考え、防已や茯苓が含まれる煎じ薬を飲んでいただきました。病院からは消炎鎮痛剤を勧められましたが、胃腸に負担がかかるので使わず、漢方だけでやってみることにしました。
2日分をつくりましたが、1日を過ぎたところで痛みはほとんど消え、2日目に再検査に行ったところほとんど改善してもう心配ないとの事でした。
漢方薬も証と症状に合っているときは効果が早いようです。
子供の花粉症
花粉症の季節を迎え、1年ぶりにお電話をいただく方が増えてきました。
その方の花粉症の症状は毎年同じ状態が発症しますので、漢方薬も例年どおりでよく、『いつものをお願いします』ということになります。
大人の場合は西洋薬を使われる方もありますが、子供の場合は漢方薬を求めてこられるケースが多いようです。処方は大人も子供も大差なく、体質と症状によって決め、衛気を高める<補気薬>や咳に<銀翹散>や<菊花のハーブティ>などを使います。
今日もお電話いただいたTさん、東京に転居されたのですが以前に使っていた子供の漢方薬を送ってくださいと連絡をいただき、懐かしく思いました。これからも長~いお付き合いになりそうです。