自然のめぐみ 3

今日は花を愛でる植物を紹介します。

<イカリ草>

雑木林の明るいところに、小さな紫色の花を咲かせているイカリ草を見つけました。

大きくなった葉を集めて乾燥したものを生薬<インヨウカク:淫羊かく>として用います。漢方では補腎壮陽、筋骨を強めるものとして使われ、また民間では滋養強壮のための薬用酒材料に用いられていて、当店も常時在庫しています。

自然のめぐみ 2

先日のワラビ収穫に続けて山中を放浪してきました。様々な草木が芽を出し、花を咲かせて植物が判別しやすくなっています。山菜として食べて楽しむものを紹介します。

【カンゾウ】

ユリ科のワスレグサ属の植物で、河川敷や湿気たところにはたくさん生えています。

カンゾウには<ヤブカンゾウ>と<ノカンゾウ>があり、どちらも食べられます。ノカンゾウはベニカンゾウとも言われ、夏には橙色の一重の花を夏に咲かせます。その頃にどこにあるか見つけておいて来年の春先に採取します。

茹でて刻んで、酢味噌あえにすると、シャキシャキしてさわやかです。なお、漢方で使う<甘草>とは全く関係ありません。

【タラの芽】

トゲのある細長い樹木の芽で、樹皮は民間薬として昔から糖尿病の方のお茶に使われています。

【コシアブラ】

ウコギ科の植物で、白い色をした樹木です。新芽はタラの芽に似ていますが、樹木にトゲはありません。天ぷらにすると香りも味も格別で、タラの芽とは一味ちがいます。なお、コシアブラと若木のウルシは樹皮がよく似ていますので、調べてから採ってくださいね。

カンゾウ
コシアブラ
タラノメ

今年もジオウの花が咲きました

春眠暁を覚えずといわれるように、春先は眠いものです。なんとなくだるくて、ボーっとするのもこの時期ですね。

そのため朝方起きられない方にお勧めしているのが<瓊玉膏>です。

滋養強壮剤となっていますが、漢方では<肺腎陰虚>に使うとされ、主成分の麦門冬や天門冬には肺の滋潤作用があり、地黄には補腎効果があります。また、人参や地黄には血糖降下作用もあり、様々な効果があわさって、身体を元気にしてくれます。

そして、今年も地黄(アカヤジオウ)の花が咲きました。

自然のめぐみ

暖かくなって山菜が芽を出し始めました。

休日は山菜採りに出かける方が多いため、私は平日の早朝に山に入り、仕事時間までに戻ってくるようにしています。最近は山菜も栽培物がありスーパーに並んでいますが、自然生えのものはアクも香りも強く、味もおいしいものです。

なおワラビには発がん性物質のタキロシドという物質が含まれていますが、その量は微量であり、水に溶けやすいので、あく抜きをすると問題はありませ ん。ワラビは油揚げと一緒に煮るのが最高!

 自然の恵みに感謝です。

先天の本と後天の本

中医学で<腎>を先天の本といい、生まれながらにして持っている生命力・エネルギーを意味します。

また、<脾胃>を後天の本といい、脾胃すなわち消化器系による消化吸収の働きによって気血が生まれ、生命が支えられているということを意味します。

そこで、心臓も肝臓ももちろん大事ですが、胃腸系はその元として最も大事なのです。

68歳の女性Mさん、風邪を引きやすいといって昨年秋に相談にこられました。話をお聞きすると胃腸が弱いとのことでしたので、風邪の予防薬ではなく、胃腸の働きを高める<香砂六君子湯>をお使いいただきました。その後今年4月までまったく風邪を引かなかったとご報告いただきました。

風邪の予防にお勧めしている健康食品も使われず、また準備されていた風邪のための漢方薬も使うことなく元気に過ごしてこられました。

後天の本、すなわち胃腸を丈夫にすれば風邪をひきにくくなるという、根本治療の大切さを学びました。

中医学研究会で勉強

今日は中医学の研究会に出席し、鬱証(うつ病)や更年期障害に関する勉強をしました。

春先は昔から木の芽時といって、気分が不安定になる時期で、この種の相談も増えます。

鬱証の進行した状態に<肝風内動>という状態があります。この意味は、身体の中の陽気の変動が、身体の動きに影響するというもので、症状としては、めまいや手足の痺れ、締め付け感、震え、ひどい場合は痙攣状態や歩行困難まで起こします。

西洋医学ではすぐに脳のMRIをとって検査する対象です。しかし、検査をしても、何も異常がない場合には漢方の出番で、陽気を鎮めて安定させる漢方薬があるのです。

医学が発達していなかった時代から、こういった症状があり、且つ解決策もあったことに歴史の奥深さを感じます。

肝斑のご相談

肝斑は褐斑とも言われ、顔や目鼻の周囲にできる点状のもので、多くは<気滞=気分の滞り>によって生じるといわれます。

つまり、ストレスによるものや、年齢的な原因などによってホルモンのアンバランスを生み、皮膚への滋養がうまくいかないためで、漢方では<肝の疏泄の失調>とも言います。

このような時に血の道症の薬<加味逍遥散>をよく使います。しかしこれだけで良くなることは少なく、貧血傾向や乾燥肌の方には<婦宝当帰膠>を、血流悪化の方には<冠元顆粒>などを併用し、皮膚の新陳代謝をはかります。

肝斑といえども、その方によって漢方薬の種類は変わります。なお、肝斑はストレスやホルモンだけでなく、様々な原因がありますので相談が必要です。

年に一度のかすれ声

人それぞれ体質的に弱い箇所をもっているため、季節の変化に伴い毎年同じ時期に同じ症状が出る方があります。

その典型が花粉症です。昨年使った漢方薬が良く効いて花粉症の時期が楽に過ごせたので、今年も同じものがほしいといって、年に一度だけ来られるお客様もあります。

昨日お越しの73歳女性Mさんは朗読をしておられるのですが、昨年のこの時期に<息苦しく、声が出にくい>との相談を受けました。声がかすれるのは<肺陰虚>といって気管支系が乾燥しているためで、乾燥を改善する<麦門冬湯>や、補気補陰作用の<麦味参>をお使いいただきました。

その後来られなかったのですが、昨日1年ぶりに来店され、昨年のが良く効いたので今年もほしいと求めてこられました。年に一度のお客様ですが、覚えていただいていることはとても嬉しいものです。

潰瘍性大腸炎

38歳の主婦Wさんは、潰瘍性大腸炎のため20歳代から時々血便や下痢があり、それに伴って貧血もひどく立ちくらみなどがありました。また体重も少なく体力も低下気味でした。

そこでまずは出血を止め、貧血を改善することから考え、<婦宝当帰膠>や<ウコギ含有健康食品D>をお使いいただきました。また、小康状態を保っているときは健脾薬や、補気補血薬などに変更し、2年以上継続されています。

昔からステロイドは使わないと決めておられ、漢方薬だけお使いですが順調に経過しています。クローン病や潰瘍性大腸炎で症状が強く下痢や痛みなどがひどい方の場合も漢方薬が症状改善に有効ですが、Wさんの場合は比較的症状が軽いケースです。

JEUGIAカルチャーを担当しています

今月4日から、JEUGIAカルチャーKYOTOさんが主催するカルチャー教室にて、当店が『わかりやすい漢方教室』を担当することになりました。

最近は週刊誌や女性誌などで漢方が特集されることもあり、若い人々の間に広く知られ、多く使われるようになりました。そして今回の教室も、当初は熟年や高齢の方が多いかなと思っていたのですが、開いてみると20代から50代まで、比較的若い方が会場上限の16名参加いただきました。

漢方が病気にならないための予防医学として、さらに普及することを望んでいます。なお、当日は講義のほかに、おいしい<甘茶>や<漢方薬H>の試飲で体感していただきました。