水毒による頭痛
頭痛の原因はたくさんありますが、そのひとつに水毒によるものがあります。中医学では<痰濁頭痛>といいます。
特徴は、身体の水分滞留のために頭が重く、めまいがあり、ムカムカする、あるいは嘔吐するなどの症状があります。
60歳の女性Mさん、以前からお越しになっていたのですが、今回は頭が張るような頭痛とめまいがあり、ゲップをし、ムカムカする、胸が詰まるような感じもするとの相談を受けました。
舌は白苔があり、胃腸が弱くて水分がオーバーしているようでしたので<半夏白朮天麻湯>を使っていただきました。1週間後、飲んでいると調子が良いとのことでしたので、しばらく続けることとしました。
これから梅雨時期に入ると湿気が多く、身体にも<湿>が溜りやすくなりますので、このようなトラブルも増えるかと思われます。
五月病に森林浴?
連休中は山へ入り、渓流魚や山菜を求めて散策しました。例年行く秘密の場所で、ミツバやセリ、タラの芽などしっかり収穫し、自然の香りを存分楽しみました。さらに、食べ物だけでなく森林浴ができて、今日は爽快な1日でした。
先週テレビでも放送していたようですが、森林浴の効果として、
☆植物が出す香り物質「フィトンチッド」にリラックス効果がある、
☆免疫力を担うNK細胞が活性化される、
☆さらにはNK細胞活性率は、森林浴を2日間行った 1カ月後! も持続している
とのことです。
これらは林野庁や日本医科大学の研究結果です
なお、森林浴の効果を高めるのは<フィトンチッド量が多い針葉樹に> <雨上がりの午前中に> 入ると最も効果的とのことです。
五月病を感じたら、山に入ってください、きっとさわやかになれます。
なにもないのにイライラ感
ちょっとしたことでもイライラする方はありますが、思い当たる原因が何もないのにイライラするという方があります。
よく見られるのは更年期の症状を伴うケースです。このような場合<加味逍遥散>がよく使われますが、体質や状況によっては様々な漢方薬を使います。
49歳の女性、Iさん、わけもなくイライラし、のぼせがあるため鼻血が出るときもあるとのこと。当然<加味逍遥散>は以前からお使いいただいていましたが、あまり効果がはっきりしないとのことでした。
そこで、いわゆる陰虚による<虚火上炎>ととらえ、<滋陰降火>を基本にした<瀉火補腎丸>を使っていただきました。更年期と捉えるより、年齢とともに身体の水分のめぐりが悪くなり、身体の上と下の間で熱のバランスが崩れて、のぼせやイライラがでるケースと考えています。
肩こりとめまい
肩こりの話やめまいの話は何度も書いていますが、この2つの症状ともある方は、ほとんどが血流の悪化が原因となっているようです。
54歳の女性Tさん、血圧が高く、肩こりがひどく、時々めまいがする、睡眠時にザーという耳鳴りがするなどで相談に来られました。体格は少し小太りで、この10年間に7Kgも増えて血圧も上がってきたようです。また、めまいの状態は『フーッと気が遠くなるような感じ』とのこと。
そこでめまいの原因と思われる脳血流の悪化を改善するよう、活血作用の<冠元顆粒>と、肥満の改善をはかるため<防風通聖散>を使っていただきました。
その後1週間程度で症状は改善し、2ヶ月経過した現在は全く症状が出ないとのことでした。肩こりの方のめまいは、この方のようなケースが多いようです。
便がスッキリ出ない
便秘でも下痢でもないのですが、便がスッキリ出ず、気分がわるいという相談があります。漢方では<腹部の気滞>といい、ストレスを受けやすく神経質な方で腸の動きが悪く、便がスッキリ出ないで、何回もトイレに行くというケースです。
このような時、気滞に効く漢方薬の<通導散>を使います。
Mさんは以前から<食物繊維>をお使いいただいていましたが、Mさんのお嬢さんもスッキリ出ないとのことでしたので、ジュースのようで飲みやすく、且つおいしい食物繊維製品を送ってあげたところ、今までにないほどたくさんの便がでてスッキリし、朝1回トイレに行くとそれで済むと喜んでいただきました。
漢方薬を飲むことには少し抵抗があったようですが、食物繊維は気楽に、安心して続けられるとの報告をいただきました。
幻聴や幻覚の漢方
高齢者や認知症の方に幻聴や幻覚が見られるケースはたくさんありますが、若い方にも見られます。
31歳の男性Mさん、ずいぶん昔から、ストレスがかかったときに幻聴があり、周囲の人の声が気になるという症状がありました。見た目はすごく元気な好青年ですが、ストレスには過敏に反応し、緊張しやすいように見受けられました。
そこで平肝作用の<抑肝散>を中心にいくつかの漢方薬を続けていただきましたが、半年ほど経過した時処方を<甘麦大棗湯>に変更したところ、周囲の声が気にならなくなり、すっかり良くなりました。
個人差や生活環境の変化なども要因にはありますが、<甘麦大棗湯>はとても不思議な薬であることを実感しました。難しい病気だけに喜びも一層増します。