子供の喘息

文部科学省が公表した「平成19年度学校保健統計調査速報」によると、満5歳~17歳までの児童・生徒の健康診断の結果、子供の喘息が過去最多になったということです。

その結果、2007年度の喘息にかかっている子供の割合(被患率)は、幼稚園では2.2%、小学校3.9%、中学校3.1%、高等学校1.8%で、10年前の2倍になっているそうです。また、蓄膿症やアレルギー性鼻炎の子供も増加しています。

原因は様々で、環境汚染や食物の添加物、食事内容の変化などが考えられると思いますが、漢方の立場でから見ると一番気になるのは<冷飲・冷食> <クーラーなどによる冷え>が一番気になります。

そして、相談に来られた子供さんには、衛気を高める<衛益顆粒>や <荊芥連翹湯> <麻杏甘石湯>などを使い、滞った水分を減らし、身体を温め、アレルギー体質改善することで改善していきます。あわせてお母さんに対して、水分摂取を制限し、冷たいものを止めるように生活改善するよう話します。その方の環境によって原因様々でしょうが、結局ご両親が気をつけてあげることでかなり改善、または予防ができると考えます。

便利な生活が病気を生んでいますので、昔の生活を見直すことも必要ですね!

治りにくい咳

風邪の後に咳だけ残ることはよくありますが、風邪に関係なく咳がいつまでも続いて治らないというケースが最近多く見られます。

59歳の女性Oさん、以前に比べ最近咳が治りにくくなったと相談に来られました。状況をお聞きすると、痰はなく乾燥の咳で、朝方は楽なのに昼から夕方にかけて酷くなり、咽の痛みはないが乾燥感があるとのことでした。年齢的にも身体の<津液>が失われて乾燥しやすい体質<陰虚>になると考え、乾燥咳の代表処方の<麦門冬湯>にあわせて<養陰清肺湯>をお使いいただきました。

その後1週間ほどで咳はほぼ改善しましたが、薬がなくなると再び咳が出るようですので、しばらく継続していただくことにしました。このような咳には漢方薬はほぼ即効性があります。

ポリープができやすい

85歳の女性Oさん、足取りもしっかりとし、顔色も良く、その年齢には見えない元気な方です。3年前に大腸ポリープが見つかり、2回にわたり内視鏡で切除されたのですが、85歳という年齢のこともあり、手術せずに治らないかと2年前に相談にこられました。

それ以降、クマザサエキスをお続けいただき、また便秘がありスッキリ出ないとのことでしたので、穏やかな便秘薬の<麻子仁丸>に加え、腸内をきれいにし、便をスッキリ出させる食物繊維の健康食品をお使いいただきました。

その後便通は良くなり、便秘薬も半分で、時々使うだけでよい快便になり、今回大腸検査をされた結果もポリープは小さいものがあるだけで切除は不要との結果でした。

ポリープに対しては以前からクマザサエキスをお勧めしてきましたが、いつも期待に応える結果をもたらしてくれます。また、食物繊維の健康食品の併用が良かったのかもしれません。

いずれにしても高齢の方の場合は、できるだけ身体に傷をつけることなく改善できるのが望ましいと思います。

子供が風邪をひきやすい

風邪が流行っています。特に子供はちょっとした気候の変化で風邪を引きやすく、学校でもらってくることも多くなります。

風邪を予防するために、この季節には大人も子供も<板藍根含有健康食品>をお勧めしていますが、根本的に風邪を引かない身体をつくるため子供には胃腸を丈夫にすることを優先します。

7歳の女の子Hちゃん、元々風邪を引きやすく、体重は18Kgで平均値23Kgを下回ります。寒がりで、食も細く、食後に時々胃痛も起こるので相談にこられました。そこで子供の漢方薬として昔から使われ、風邪を引きにくい体質をつくるため虚弱体質改善の<黄耆建中湯>を使っていただきました。

1ヵ月後、胃痛は起こらなくなり、2ヵ月後減少していた体重も元に戻り、元気になってきました。

子供は冷たいものを欲しがりますが、おなかが冷えると胃腸機能も低下しますので、これから寒い季節は特に冷たいものを与えないよう、親が気をつけるべきです。最近は様々な点で子供に対する厳しさが低下しているように思われますので、店頭では努めて親に注意するよう話しています。

リウマチ様症状が増えています

寒くなってくると特有の相談が増えます。

一番は冷え症と風邪や咳ですが、その他頻尿、膀胱炎、神経痛、頭痛、そしてリウマチに見られるようなこわばりや関節炎です。

リウマチの診断基準は次の6項目の内の3項目が該当すればリウマチと判定するようです。

①3つ以上の関節の圧痛と運動痛
②2つ以上の関節の腫れ
③朝のこわばり
④リウマトイド結節(皮下結節)
⑤CRP陽性・血沈値が20mm以上
⑥血液検査でリウマトイド因子がある

しかし、最初からリウマチの検査に行かれる方は少なく、冷えによる関節炎と思われて漢方相談に来られます。

漢方ではこれらの原因の多くが<寒湿>と捉え、身体を温めることと湿気の滞留をなくするような漢方薬を使います。例えば<桂枝加朮附湯>や<薏苡仁湯>など、症状と体質にあわせて使いますと、短期間で症状改善は望めます。しかし、リウマチであるか否かは判断できませんので、合わせて専門医の診断を受けるよう薦めています。

昨今、冬の時期になっても若い女性の間ではショートパンツをはいている方を多く見かけますが、冷えが様々な病気の原因になっていることに気づいてほしいものとつくづく思います。

慢性腰痛の原因は?

先日の新聞記事で慢性腰痛の話が書いてありました。

福島県立医科大学の紺野先生によると、従来腰痛の原因は腰椎の変形や異常によるものと考えられてましたが、異常がなくても腰痛がある人が7割、MRIで異常が認められたのが3割とのことです。そして異常のない腰痛の原因は、不安やストレスなど、心理的、社会的要因が関連しています。また、椎間板ヘルニアの人でも、手術をしなくて治る人が約半数あるようです。こういった整形外科の疾患でも、ストレスが大いに関連していることを再確認できました。

実は、漢方では以前から腰痛やギックリ腰はストレスに関わるとしてよく知られていて、漢方医の故・相見三郎先生は気分の病(現代の言葉では、自律神経失調症に相当する病)による腰痛には<桂姜棗草黄辛附湯>という漢方薬が即効性があるといわれ、以来漢方界ではよく使われて実績があります。

昔から行われていた漢方の智恵が、西洋医学でますます明らかになっていくことは喜ばしいことです。

そういえば先日から当店のスタッフも腰痛を発症していましたので、このブログを読むように言わなければ!

乾燥による咽痛が増加!

先日から咽痛の相談がふえています。

いずれも、最初は風邪と思い市販の風邪薬を飲んでいたが、治る様子もなく、ますます痛くなるので漢方薬を求めて来られています。詳しくお聞きすると、乾燥によるものとわかり、<麦門冬湯>や<養陰清肺湯>を使っていただき、すぐに改善します。

原因は暖房機にあります。快適生活を求め、最近は石油ストーブから電気暖房に変わった家庭や事業所が増え、加湿器を置いていないところは肌も咽も乾燥します。

さらに当店では、乾燥のため静電気が起こり、錠剤分包機でお薬を作った時、静電気によって薬がくっつき、錠剤の入り数が狂ってしまうというトラブルも発生し、早速加湿器を入れました。

インフルエンザの予防のためにも<乾燥を避ける>ことが大切です。咽痛の方、再度家庭環境を見直してみてください。

お血による腹痛

先日書きました、便秘と腹痛の話の続きです。

便秘と腹痛でお困りのKさんに<桃核承気湯>をお使いいただいた後、便通は2日目から調子よくなり、また腹痛は4日目からなくなりました。そしてその後はすっかり快調を維持しています。

Kさんは20年前からご家族の問題があり、大変苦労されていて、長い間抗精神薬を服用され、そのため便秘になり、また漢方で言うところの<気滞血お=気の滞りが血の流れを妨げ、血流を悪くする意味>があり、左下腹部のお血点に血液が鬱滞して痛みを生じていたのです。この場合は単に便秘薬では改善せず、血流を良くする漢方薬を用いると改善します。

検査を受けて原因不明と言われた<下腹の痛み>の場合は、これに該当することが多いようです。

おなかが張る!

おなかが張るケースは、以前のブログで整理して書いていますが、食べすぎとか、便秘などによるものでなく、食べていないのにおなかが張るというケースもよく見られます。

37歳の女性Mさん、長い間おなかが不快で、意識がいつもおなかに行くとのこと。胃がポチャポチャして、空腹感もなく、すっきりしないようです。整体では胃が固い言われたそうです。

そこで、まずは胃の水分をさばき、もたれ感をとるため<半夏瀉心湯>をお使いいただきました。1ヶ月して、胃のポチャポチャは少なくなりましたが、おなかはスッキリしませんでした。次に<気滞>すなわちストレスが影響していると考え<半夏厚朴湯>をお使いいただきましたが、やはり変化がありません。

そこで再考し、ストレスだけでもなく、水分による機能低下だけでもないので、両方を考え合わせ、<半夏瀉心湯>と<柴胡疎肝湯>を使っていただいたところ、しばらくして胃の張りが改善し始めました。

この処方は漢方で<気滞湿阻>に対応するもので、気のめぐりが悪く胃の機能低下を起こし、水分が溜っているのを改善するもので、ようやく先が見えてきました。まだ少し時間がかかりそうですが、徐々に改善するものと思われます。

疲れると頭痛

ストレスによる緊張性頭痛の話は以前にも書きましたが、今回は疲れとともに出てくる頭痛の話です。

28歳の女性Tさん、神経を使う仕事をされていて、疲れてくると肩がこり、首から後頭部にかけて頭痛がするとのことでした。めまいも月に2~3回はあり、座っていてもクラッとするので相談にこられました。

血圧は低く血流が良くないタイプで、漢方では<気滞血お>と捉え活血作用の<冠元顆粒>を少しと、緊張を緩和する平肝作用の<釣藤散>を使っていただきましたところ、2週間余りで頭痛はすっかり消え、めまいも今まで全く起こらず、喜んでいただきました。

肩こりからくる頭痛には、通常<葛根湯>を用いますが、血流が悪いとか緊張が連続する方には、異なった対応で改善することもよくあります。漢方は体質によって決めるものなのです。