おなかゴロゴロ

空腹でもないのにお腹がゴロゴロと音がするのでお困りの方があります。漢方では<雷鳴>といい、この場合によく使われるのが<半夏瀉心湯>で、お腹のなかの水分滞留を改善してゴロゴロをなくします。

71歳の女性Kさん、以前から頚椎症や食欲不振、おなかゴロゴロなどがあり、<半夏瀉心湯>や<苓桂朮甘湯>など、状況により使い分けていただいていましたが、最近お腹のゴロゴロが再び強くなったとのこと。そこで、冬でお腹の冷えもあるようでしたので<大建中湯>をお使いいただきました。1週間ほどして、胃のもたれる感じやゴロゴロも少し改善してきましたので、更に継続していただいています。

<大建中湯>は温中散寒といい、お腹を温め、胃腸の動きをよくする薬で、術後の癒着予防に良く使われるものですが、このようなゴロゴロ音にも短期間で効くケースもあります。

冷えのぼせ

先週から少し寒くなり、ようやく冬を迎えたという感じです。そして寒くなってくると、冷えのぼせの相談が増えます。

27歳の女性Tさん、毎年この時期になると顔が赤くなるとのことで、以前に医師から<桂枝茯苓丸>をもらって短期間で改善したということでした。冷えのぼせは本来は下半身を温めることでのぼせを取るものですが、3日ほど服用すると良くなるとのことでしたのでお使いいただきました。

冷えを改善するものとしては、<婦宝当帰膠>や<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>などを使っていただきますが、赤ら顔がひどい時は<桂枝茯苓丸>を短期間使うこともあります。いずれにしても冷え症を改善することが優先します。体質によって薬も異なりますので、ご相談ください。

男性の冷え症 Ⅱ

冷え症は女性だけのトラブルでなく、男性も最近増えているようです。

28歳の男性Kさん、痩せ型で色白、見るからに冷えやすいタイプの方でした。貧血傾向なら<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>を使うところですが、この方は胃腸も問題なく、貧血も無いので<海馬補腎丸>をお使いいただきました。

しばらくして来店され、少し足が暖まる感じがするとのこと、寒い季節ですのですっきりと改善はしていませんが、時間とともに良くなるのではと思っています。

海馬補腎丸は<腎陽虚>に使う薬で、代謝を活発にし、身体を温める薬ですので、元気が無いとか持続力がないような方の冷え症のファーストチョイスです。

不定愁訴

不定愁訴というと更年期の様々な症状を指すことが多いのですが、若い方でもデリケートな方、ストレスを受けやすい方に、様々な症状でお悩みの方が多くあります。

29歳の女性Mさんは、2年前におなかがゴロゴロすることや咽の違和感で相談に来られました。最初は定番の<半夏瀉心湯>をお使いいただき、少しずつ改善してきました。その後、耳閉感がする、便秘と下痢を繰り返す、耳が痛い、おなかが張るなど、ストレスに関連する様々な症状を訴えられ、その都度<逍遥丸> <半夏厚朴湯>などを使い分けてきました。

症状が軽いときは1日1回だけ服用されたりしながら2年間経過し、ほとんどの症状は改善しています。しかし、漢方薬を止めるのも不安なのか、少しづつ続けておられます。

ストレスに伴う症状は他にもありますが、あせらずに気長に取り組むことが改善のポイントであることを感じています。

生理がこない!

生理不順のご相談はたくさんありますが、時々高校生の相談もあります。不順な場合はまだしも、3ヶ月以上生理が来ないというケースもあります。

昨年のことですが、16歳のIさん、生理が3ヶ月以上来なかったので、お母さんが相談に来られました。体格は標準的なのですが、貧血・冷え症でのぼせが強いのが特徴的でした。そこで補気血作用の<婦宝当帰膠>と、<加味逍遥散>をお使いいただいたところ1ヶ月目に生理が来たのですが、その後再び生理がとまってしまいました。

今度は婦人科に行かれて、ホルモン療法を受けられました。そしてすぐに生理が来たのですが、ホルモン療法を止めると再び生理がとまってしまい、再度相談に来られました。

そこで、漢方薬は根本的に体質改善するもので、しばらく続けておられたらホルモン治療を受けなくても生理は来るはずであることを理解いただき、漢方薬を再開することになりました。

若い女性は生理が止まってもあまり気にしない方も多いようで、お薬を飲み始めても1回生理が来ると止めてしまうというケースもあります。何でも継続するということは難しいものですね。

小豆粥

先日、1月7日は七草の節句、お正月の締めくくりになる「七草がゆ」の日、最近は「七草セット」が販売されていて簡単に手に入りますが、ご家庭で作られましたか?もし忘れた方は・・・この次は<小豆粥>です。

昔から小正月(15日)には、14日の夜にはずしたお飾りを15日の朝に燃やし、その火で小豆粥を炊き、お餅を入れて食べる習慣がありました。これで1年の邪気を払い万病を防ぐという意味が込められています。

小豆は生薬名<赤小豆>といい、その効能は、利尿消腫(小便を出しむくみを去る)、解毒排膿(瘡瘍などを治し、膿を排出する)などで、むくみ、脚気、黄疸、化膿症などに使われます。

七草粥とは一味違った小豆粥をお楽しみください。

ぎっくり腰の辛さ!

新年おめでとうございます。

本年も皆様にお役に立つようなブログを綴ってまいりますので、宜しくお願いします。

私事になりますが、お正月明け早々にぎっくり腰を起こしました。一般的にぎっくり腰は、重い荷物を持ったときや不自然な姿勢が続いたときに起こる<急性腰痛症>ですが、繰り返す方は、<運動不足>や<座ったままの仕事>そして<年齢に伴う筋力の低下>などが原因と思われます。

今回は思い当たる原因がないのですが、もしかするとお正月の食べ過ぎ状態で胃の負担が大きくなり、背筋の緊張が引き金になったかと考えます。

ひどい場合は、寝転んでも寝返りが出来ない、起き上がれないほど辛く、経験した方でないと分からないものです。高齢者やその他の疾患でも、寝返りが出来ない方は多く、その辛さを改めて知ることができました。そして、立って歩けることがどんなに幸せなことかが分かります。

ぎっくり腰の時はマッサージは厳禁ですが、経絡に沿った<針灸治療>は効果が早いです。背筋の緊張をとる<芍薬甘草湯>や、アリ成分配合健康食品を使うことで改善が早くなります。

でも根本治療はやはり運動をして、背筋を鍛えることですね。

今年を締めくくるうれしいお便り

『声が出にくい』という相談を受けてから約1年間、Kさんとはメールでやり取りをしながらお薬を変えてきました。そして少ししずつ改善傾向はあったのですが、今日はずいぶん良くなって『まだ十分ではないですが、以前に比べると楽で、本当に嬉しいです。』とのご報告をいただきました。

Kさんは「話し始めに声が出にくく、力が入ってしまう」という症状で、漢方では<肺腎陰虚>の証ととらえ、滋補肺腎のお薬を使ってきました。

最初は<麦門冬湯>で口渇と咽のかすれが改善し、次の<響声破笛丸>で声の出やすさは少し良くなりましたが、スッキリしませんでした。

そこで滋陰清肺作用の百合が含まれる漢方薬をお使いいただきましたところ、一気に良くなり嬉しいメールをいただきました。

この症状の原因と対処法はわかっていても、使う処方によって結果に差が出ます。今回は最後の手段として煎じ薬を使っていただきましたが、これなら最初から煎じることをいとわず、お使いいただいたほうが良かったのかと思いました。

いずれにしても年末に良い報告をいただいたことが嬉しいです。Kさん、ありがとうございました。

これを食べてはいけない!

年末になると京都では、<京の台所>と言われる<錦市場>

http://www.kyoto-nishiki.or.jp/

にお正月の食べ物を買出しに行く人がふえ、今日もいっぱいの人で歩けないほどです。地元の新鮮なものや産地直送などが多く、安心して買えるのが特徴です。

話は変わって、先日から<これを食べてはいけない>という本を読みました。

今年問題になったニセモノ原料の食品や、添加物の問題などを書いたもので、以前には<食品の裏側>という同様の本もありました。

これらの本を読むと、食べてよいものが無くなるというほど、問題食品が氾濫していることがわかります。こういった添加物があって今の食品流通が成り立ち、恩恵をこうむっていることは否定できませんが、将来に食品公害といった禍根を残すことの無いよう祈るばかりです。漢方は3000年以上の臨床を積み重ねて安全性が検証されていますが、食品添加物はまだ数十年の歴史で、しっかり見ていく必要があると思いました。

お正月、飲んで食べての一時、退屈しのぎに?読んでみてください。

蓄膿症の再発

慢性鼻炎や蓄膿は体質が原因で起きることがほとんどで、体質が変わらなければ慢性化したり、再発を繰り返します。

40歳の男性Hさん、20年前に蓄膿の手術をしましたが今回再発し、相談に来られました。症状は鼻の周囲が腫れ、目の近くに蓄膿がある、熱っぽいとのこと。医師から手術をするよう言われているが、できればしたくないとの話でしたので、<荊芥連翹湯>と<排膿散及湯>を使っていただきました。

その後3ヶ月きっちり服用されたこともあり、痛みや腫れも治まり、手術も不要になったとの報告を受けました。Hさんは少し肥満気味で、漢方では痰湿タイプといい、水分が身体に溜まりやすい体質ですので、症状の改善後は体質改善に変えていくことになっています。