梅雨時期の漢方 1

今朝の新聞によると、私の住んでいる地域でも食中毒が発生。1件は宅配弁当業者から、もう1件は市役所の食堂からということでした。

この時期の温度と湿度が、菌の繁殖を促進するので多発します。清潔にするなど気をつけることですが、完全な予防は難しいです。漢方では

1、下痢や食欲不振を改善する「参苓白朮散が有名です。

2、お茶はスベリヒユが主成分のハーブティ<五行草>が適します。

人体ですので使用時と不使用時の比較はできませんが、予防的に使えるのは漢方の特徴です。『備えあれば憂いなし』です。

ガンの症例 2

11年前に乳ガンで手術をされたMさん、その後8年目に肺ガンが見つかり再び入院。検査の結果、既に肺に複数の転移があり手術はできず、また年齢は72歳ということもあり、積極的な治療はせずに経過を観察していこうということになりました。

その後当店に息子さんが来られ、少しでも楽になり、普通の生活が送れたらということで相談を受けました。当時は食欲もなく、たくさんのものは飲めないので、量も少なく飲みやすいキノコの健康食品を飲み始められました。しばらくして骨転移やリンパ浮腫などの様々な症状が現れましたが、幸いにも変化は穏やかで、漢方薬を補いながら日常生活は元気に自宅で過ごされていました。

今年に入ってから来られないので心配していたところ、1月末に息子さんが来られて亡くなられたとのこと。お正月を過ぎてから少しだるい、眠いという日があり、1月中旬に入院され、3日後になくなられたとのことでした。

肺ガンで、特に風邪や肺炎には注意が必要と病院から言われていたが、2年間風邪を引くことなく、また辛い思いをすることもなく、最後は静かに眠るようでしたとお話をお聞きしました。激しい痛みで辛い思いをされる方や、麻薬で意識もうろうになる方が多いと聞きますが、Mさんは大往生でした。

2年余りのお付き合いでしたが、感謝の言葉をいただいたとき、少しでもお役に立てたかと思い、この仕事をやっていて良かったと思う時でもありました。

ガンの方の症例 1

昨年2月にはじめて来られたTさん。口中にできた黒色腫(メラノーマ)というガンで、近日中に手術をする必要があり、それまでの間に何かできることがないかと相談に来られました。

少しでも免疫のことを考え健康食品Tを、飲める間は使っていただきました。そして手術後は、口腔の切除のため飲食が不自由になり、飲みやすいものをということでキノコ含有健康食品に変更して続けられました。病院では当然のこと抗癌剤治療が続けられ、白血球の低下がひどくなったため、漢方薬は、牛黄と人参製剤を使っていただき、回復を早めて治療が継続できました。

それから1年余り、口腔は少し不自由な状態ですが話されることもわかり、顔色もよく、元気な姿を拝見することができました。医師も回復が早くて、今のところ再発の心配もないので、近日中に「口腔再建手術」をしようということになりました。一時はうつ病のようになったが、体力の回復とともに元気になり、そして気持ちも前向きになったとのこと。今はいろいろな方への感謝の気持ちを大切にして生きているとお話されていました。

この次の手術も成功し、早く回復されることを祈っています。

特異な症状3

5月のブログに「心の病」を連載していましたが、その後も「うつ病」や「不安症」の方が来られます。これらの方は当然西洋医学の治療をされてはいますが、薬が増えてきて不安になり、少しでも減らせないかと漢方を求めてこられます。しかし、時には漢方薬だけで改善を期待されて来られる方もあります。

  

25歳男性、関東でひとり住まい、親が電話した時うつ病のように思われたので気になり、息子さんが京都に帰ってこられた時に連れて来られました。

  

話していると、ごく普通の真面目な、やや神経質な青年でしたが、話の途中でこれはおかしい!と思うことが出てきました。「人がいないのに人の声が聞こえる」 「夜にだれかが来て話しかける」など・・・。

   

これは精神分裂症(今は統合失調症といいます)の症状で、漢方の範囲ではないと思い、お母さんに説明してすぐ精神科に行ってもらいました。その後の経過はわかりませんが、注意深い観察が必要なことを実感した良い経験でした。

特異な症状2

これも少し前の話で、67歳の男性が相談にこられました。

   

立っている時、突然に足から背を通って上に何かが走り、ゾーっとして立っていられなくなる。しばらくすると治ってしまうが気味悪いということでした。

  

これは漢方の古典「傷寒雑病論」に出てくる「奔豚病」といわれる状態、現代医学でいうと自律神経失調症にふくまれるものと思われました。あちこちの医者に行ったがわからなく、治療できないと言われ、漢方なら方法があるのではとこられました。

   

既成のエキス剤では使える処方が無く、煎じ薬で対応できるのですが、金銭的に合わないので帰られました。今から思えば珍しい症状で自分の勉強にもなり、タダでも使ってもらったほうが良かったかな?などと思い、残念な気持ちです。

特異な症状 1

少し前のことになりますが、特異な症状で相談に来られた方を紹介します。

  

この方は64歳男性、『のどに虫』が住んでいて、こめかみ、後頭部、額など、頭のあちこちに動きまわる、温かい時やビールを飲んだときは特に動きが激しくなるとのことでした。

      

病院の検査では『虫』も『感染症』も見つからず、治療方法なし。ここで漢方を少し知っている方なら、<蟻走感>とか<水滞>とか<梅核気>とかを思い浮かべられるでしょうが、しかしこれらの改善を図っても一向に変化なく、3ヶ月位で諦めてしまわれました。

  

それ以降もこちらは気になる症例でした。いったい何だったのでしょうか??

もっと肥えたい!

ダイエット希望の方が多い季節ですが、逆に体重を増やしたい、もっと肥えたいという悩みの方もおられます。

33歳女性、165cm44kg、以前は52kgの時もあったが、仕事が忙しく食事も不規則な状態が続いている。医師からは胃下垂と診断を受けていて、食べようと思うが少し食べると満腹になる。便の量が少なく、便秘気味。最近は不正出血が月1回あるという、色白で乾燥肌傾向の方でした。

漢方では気血不足+脾気虚といい、この方には補血作用の婦宝当帰膠と香砂六君子湯を使ってもらうことになりました。1ヶ月後の改善が楽しみです。

免疫学・安保先生の講演3

ストレスと病の関連は、漢方では昔から重要視しています。

「病は気から」とも言いますね。しかしその言葉に科学的根拠があまり無かったのですが、安保先生の免疫理論でそれが明らかにされてきました。つまり・・・

ストレスが交感神経の緊張を生み、アドレナリンが分泌されると白血球中の顆粒球が増えて、リンパ球が少なくなります。そのため免疫が低下し、感染症やガンが増えるというのです。

白血球中の顆粒球とリンパ球のバランスが大切で、それらは自律神経によって影響を受けています。通常は顆粒球60%、リンパ球35%、マクロファージ5%程度が良いと言われています。

また10代の方に潰瘍性大腸炎やクローン病が増えています。これはストレスが緊張を生み、顆粒球が増え、腸粘膜に集まり、活性酸素を多く発生し、腸粘膜を破壊するという流れが考えられます。

口内炎のような軽いトラブルには漢方薬Sがお勧めですが、それ以外の粘膜や消化管のトラブル、また免疫や自律神経などにも、クマザサは広い効果があるのではとさらに研究が続けられています。

免疫学・安保先生の講演 2

低体温の話の続き。

体温を高めることは様々な治療に見られます。ガンの温熱療法では39.5℃以上でガン細胞が死滅するのを利用します。また、砂風呂や温泉による民間療法もあります。

自分で体温を高める方法としてはお風呂が簡単です。最近はシャワーだけの方も多いようですが身体を温めることで血流が良くなり、気分もリラックスしますので湯船につかるよう習慣づけてください。

次に大切なのは運動と食事です。特に食事療法では玄米菜食によって食物繊維を多くとることで、腸内環境をよくすることが大切です。また消化管は副交感神経の働きにつながりますので、食物繊維ような吸収されないものを取ることで消化管の働きを促進し、リラックス状態を生み、血流がよくなって身体が温まります。他にもたくさんの方法がありますが、続けられることが大切です。

免疫学・安保先生の講演1

昨日は漢方薬Sの全国大会が東京であり、メインイベントとして、免疫学で有名な安保先生の話を聞く機会を得られました。とても素晴らしい話でしたので、そのポイントを紹介します。興味ある方は新刊の「体温免疫力」を読んでみてください。

 

まずは低体温が病気を生むということ。現代社会は生活が豊かになり、子供はのんびり育ち、且つ運動量が少なくなっているため、交感神経の興奮状態が少なく、代謝が低下して低体温になっています。

 

一方大人は、ストレスが増えて常に交感神経の緊張状態が続くために血管が収縮し、血流が悪くなって低体温を招いているということです。低体温の原因は生活環境や食習慣にも原因があると思います。

 

結果、低体温は身体の免疫を低下させ、外部からの感染や、ガンなどの内部からの病気になりやすいのです。昔は36.5℃が普通と思っていたのですが、最近はお客さんに聞いても35℃以下の方が多くおられます。運動不足を解消し、身体を温め、代謝を高めることが肝心です

 

漢方は身体を温め、代謝を高めるものがたくさんあります。これらは予防薬として常用できるのも特徴! 改めて漢方の素晴らしさに自身をもちました。