左下腹部痛の原因は

左の下腹部に痛みがあり、病院で検査を受けても特に異常がないという相談が時々あります。これは漢方では<お血>による圧痛点ととらえ、血流の悪い方の特徴を現しています。このときは便通と血流をよくする漢方薬を用います。

45歳の女性Mさんは、この痛みを感じたため、病院で大腸ファイバーによる検査などを受けられましたが全く異常がありませんでした。ところが、この検査のために下剤で腸内を洗浄された時に痛みが消えたので、原因は便秘と関係があることがわかったと言われます。

そこでご相談の結果、食物繊維健康食品と、便秘薬<ハーベルシー>を併用いただきました。その後毎日便通があり、痛みも全く無くなり、とても順調になったと報告をいただきました。そこでしばらく続けていただき、便秘体質を改善することとしました。

便秘は様々な疾患の元にもなりますので、最初は便秘薬を使ってでも毎日の排便を習慣つけることが大切であると思います。思わぬ結果でしたが、Mさんに喜んでいただきました。

慢性の貧血

貧血は女性によく見られる症状ですが、一過性で無く慢性的な鉄欠乏性貧血もよく見られます。

30歳の女性Kさんは色白で、見るからに貧血という感じを受けます。
今年2月に吹き出物で相談に来られたのでしたが、そのとき<鉄欠乏性貧血>で病院から薬をもらっているとのことでしたので、
吹出物の原因である胃腸機能の低下を改善するべく香砂六君子湯>をお使いいただきました。
また冷え症もあり<婦宝当帰膠>を併用いただきました。

その後しばらく空いて先日来店され、最近は週1回鉄剤の注射を受けておられ、注射を受けなければすぐにヘモグロビンの値が下がってしまうとのことでした。そして、このままいつまでも注射を受け続けることも出来ないので相談に来られました。

そこで今回も同じく、<婦宝当帰膠>と<香砂六君子湯>をお使いいただきました。

漢方薬は鉄成分ではありませんが、身体全体を整えることで鉄欠乏性貧血にも効果を発揮するものと考えます。1ヶ月後の検査結果をお聞きするのが楽しみです。

口中の泡

口に泡状のものが溜まるという症状があります。原因はお腹の冷えやストレスなどが良く見られます。

53歳の女性Sさんは3年ほど前からストレスを受けることがあり、昨年には身内に不幸があり、それ以来口中に異常を感じるようになりました。胃が不調、口渇があり、お腹が冷え、疲れやすいとのこと。舌は厚白苔で、明らかに水分がおなかに滞留しているような状態でした。

そこで 温中散寒・補気作用の<人参湯>や、和胃・消痞の<半夏瀉心湯>を用いて、お腹を温め、水分代謝を改善すると、泡は少なくなり、食欲も出てきてすっかり楽になりました。

口中の泡にはこれ以外に神経性のもの、過敏で緊張しやすい方の場合の泡はなかなか簡単には改善せず、苦労するケースがあります。

耳鳴り、耳閉感、その後

以前40歳の女性のストレスによる耳鳴り・耳閉感の症例を書きましたが
その後、化痰安神作用の<温胆湯>や、補気血・安神作用の<帰脾湯>などもお使いいただき、1ヵ月半経過した頃にすっかり改善し楽になったとのことでした。
さらにこれとともに鼻炎や鼻水、目の下の痙攣や聴力低下も改善し、驚かれました。漢方はひとつの症状だけでなく、関連して発生している様々な症状までが治っていきます。

結局Tさんの場合はストレスが引き金となり、気滞が水分や血流を悪化して生じたものと思われます。このような症状は40代~50代の女性によく見られます。

イチジクを収穫しました

趣味で少しずつ育てている当店の薬草園で、イチジクが収穫できました。今年初物ですが今までになく大きく、中身もしっかり熟していて大変甘かったです。

イチジクが薬草? と思われるでしょうが、イチジクの生薬名は<無花果>といい、漢方では<清熱解毒>や<潤腸>の作用があり、咽の痛みや声がれ、便秘などに用います。乾燥した実を煎じる場合と、実をそのままで食べる場合があります。

イチジクは栽培された果実としては世界で一番古い種目であり、歴史上の果実なのです。また、日本には江戸時代に伝わってきたと言われます。イチジクの葉も神経痛などの入浴剤に用いられます。

もちろん、それを目的に作っているのでなく当然食用です。無精者にとって、手入れなしでも出来るのがうれしいですね。

 

子供の水いぼには

プールが始まるこの時期、子供の水いぼの相談が増えます。水いぼがあるとプールに入れないので早く何とかして欲しいと言われます。

水いぼはウイルス性で次々と増えていきますが、病院で取ってもらってもまた出てきます。それより子供にはピンセットで取られる時の痛さは我慢できるものでないようです。そこで漢方の出番です。

先日も2歳の男の子の相談があり、病院で<ヨクイニン>をもらい2ヶ月飲んだが治らないとのこと。もちろんピンセットで取ってもらったが次々とでるので、プールがはじまるまでに改善できないかとの相談を受けました。

そこでヨクイニンで効かない時に使う漢方薬と、板藍根ハーブティを使っていただいたところ『1ヶ月余りですっかり消えて今年のプールに間に合いました』とお礼のメールをいただきました。子供さんも痛い思いをするより、少し苦い漢方を飲む方が良かったようです。

まもなく祇園祭です

7月に入ると京都市内では<祇園祭>の様々な行事が始まります。

当店のある四条烏丸界隈では<コンチキチン>の音色に代表される、お囃子を練習する音も聞こえて、雰囲気を盛り上げてくれます。最近は動画サイトが使いやすくなり、お囃子練習風景もアップされていましたので紹介します。

http://jp.youtube.com/watch?v=-dZKaje69P0

この祭りは<鉾町>や多くの市民、企業の寄付によって成り立っています。そして寄付のお礼にと毎年、八坂神社や祇園祭協賛会から色紙をいただきます。今年は<鶏鉾>の絵で、京都精華大学の渡辺信喜先生の献筆です。当店でもこの時期、何枚かを店内に飾り雰囲気を楽しんでします。

民間薬・メグスリノキ

日本の民間薬はたくさんありますが、その中でもよく問合せを受けるのが<メグスリノキ>です。かすみ目や疲れ目などにお茶として使っていただいていますが、最近は白内障や網膜症などの予防効果も言われています。

この植物はカエデ属カエデ科の落葉広葉樹で、東北地方に多いと聞きます。この樹皮に含まれる成分のロドデンドロールが、肝機能を高め、解毒作用があると言われいます。漢方では肝臓と目は強く関係していると捉えますので、メグスリノキも肝臓に働いて目に作用するということがわかります。

当店で一番長くお使いになっている58歳の男性Kさんは、今から13年前に野球をしていてボールが目に当たり、病院では網膜剥離寸前の状態との診断を受けました。その後<メグスリノキ>と<杞菊地黄丸>を13年間根気よく続けられ、現在も全く異常なく過ごされています。

メグスリノキが効いたのか、漢方薬Kが効いたのか、あるいはKさん自身の治癒力によるものなのかはわかりませんが、結果として失明することなく元気に過ごされていることは本当にうれしいものです。民間薬は作用は穏やかでお茶として使われますが、長期に続けることによって効果を発揮するものもたくさんあります。先人の知恵を活用したいものです。

不定愁訴と漢方薬

様々な症状が次々と現れる不定愁訴は更年期の症状として知られますが、必ずしも更年期だけでなくストレスを受けやすい女性にもよく見られます。

以前からお越しの32歳のAさん、最初は全身倦怠感で相談に来られ、貧血傾向もあったので、補気補血の<婦宝当帰膠>をお使いいただきました。その後、頭痛、肩こり、背中の痛み、などを訴えられ、<桂枝茯苓丸>などをお使いいただきました。

そして今回は、クーラーで冷え、夕方になると脇痛が出るとのことで、肩こりにも使う、疎肝作用の<逍遥丸>をお使いいただきました。1週間もしないうちに楽になり、飲んでいると痛みは取れるとのことでした。ストレスを受けやすい方に良く見られ、柴胡剤が適応する症状です。

病院へ行くほどの状態でもないこのような変化する症状は漢方が得意とする分野で、Aさんにはうまく活用していただいています。

梅雨時期のめまい

お腹がゴロゴロ鳴る、微熱が取れないなどで以前から漢方薬をお使いいただいていた69歳のKさん、7月になって急にめまいが発症、外に出られないので電話で相談をいただきました。

症状は、下向いたり横になるなど、姿勢を変えるとめまいがするとのこと。Kさんは昨年5月~6月にも同様のめまいがあり、その時は<沢瀉湯>や<苓桂朮甘湯>などをお使いいただきました。いわゆる水毒が原因のめまいです。梅雨時期は湿度が高く、体内でも水分が滞ってむくみやめまいを生じやすいものです。

Kさんは幸いにも昨年の薬が手元に少し残っているようでしたので、早速服用していただきました。めまいを起こす方は、自分に合った薬を持っておかれると早く対処でき、改善も早くなりますので、常備薬を持たれることをお勧めしています。