副鼻腔炎で息苦しい

副鼻腔炎(蓄膿)の話は以前にも書きましたが、

同じような例を紹介します。

52歳の男性Wさんは1年ほど前から鼻が詰まり息苦しく、蓄膿のため鼻上部(副鼻腔)に違和感がありました。舌診では紅舌、黄膩苔の典型的な<湿熱体質>でしたので、このような方によく使う<鼻炎丸>や <排膿散及湯> などをお使いいただきました。

2週間後、予想通り鼻の通りは良くなり、時に飲み忘れても息苦しさがでることがなくなりました。当然完治までは時間がかかりますが、鼻が通ると気分は良いようで、1日2回の服用で続けていくことになりました。

同じようなケースはたくさんあり、漢方薬はこの種のトラブルには即効性が期待できます。

胃が重い

秋になって胃の不調を訴えられるケースが増えています。夏の間に冷たいものでお腹を冷やしたとか、夏と同じペースで水分を摂り、水分がオーバーするために軟便になるなどです。

33歳の女性Nさんは、胃が重くて動いていない感じがする、口内炎が長引いている、食後に胃が痛む、時にフラッとするなどを訴えられました。暑い時期に水分を摂りすぎ、胃腸の機能が低下していると思われたので、食滞や水滞に使う<半夏瀉心湯>を使っていただいたところ、10日ほどでスッキリし、口内炎も治ってきました。その後1ヶ月使っていただきこの薬は終了し、今後の予防のために<六君子湯>をお使いいただきました。

半夏瀉心湯は漢方では「湿困脾胃」、すなわち胃腸に水分が滞留していて動きが悪いときに使うもので、早い効果が期待できる漢方薬です。

なんとなく倦怠感

38歳のHさん、頭がボーとする、朝起きられない、集中力がない、食後眠くなる、などよく聞かれる症状を訴えられます。つい気分の問題でしょと言いたくなるような相談ではありますが、当のご本人はそれが辛くて、わざわざ相談に来られているわけで、気分だけではないのです。

Hさんの場合は胃腸機能が低下しているようでしたので、<半夏瀉心湯>や<補中益気湯>をお使いいただきました。

2週間後、寝起きが良くなり、食後の眠気も無くなり、お薬がぴったし合ったようです。まだ完全とは言えませんので、しばらく続けて胃腸をしっかりとすることで、疲れない身体になると思います。

漢方薬はこのような漠然とした訴えにも対応できるのが特徴です。

偏頭痛のご相談

62歳のMさん、10年以上偏頭痛に悩まされ相談に来られました。

元々考え込み、落ち込みやすい性格のため、ストレスで頭痛が悪化することから、医師もストレス性頭痛と言うだけで特に治療はされていないとのこと。頭痛は目の奥から痛くなったり、側頭部が痛くなるようです。

そこでまずは目の奥の痛みをとるため<清上蠲痛湯>をお使いいただきました。2ヵ月後、目からくる痛みはなくなり、少し楽になったのですが、側頭部の痛みは変わりませんでした。

偏頭痛は西洋医学でも漢方でも難しく、10年来の痛みですのでまだまだ時間が必要なようです。また、薬だけでなく、生活環境や運動、ストレス解消なども重要なポイントとなりますので、様々なアドバイスを行っていく必要がありそうです。

またその後を、報告したいと思います。

自律神経失調の漢方

以前に耳鳴りと耳閉感が改善した例を書きましたが
https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2008/06/post-689.html

このTさん、その後様々な症状を訴えられ、自律神経失調の様子が伺えました。

その中で、頭がボーとしたり、急に身の置き所がなくなるような倦怠感などがありましたので、従来の漢方薬に加え牛黄製剤の<清心丸>を少しの期間併用いただきました。そうすると、短時間で気分がよくなり、身体が楽になったとのことでした。

このような変化の多い症状には良く使う漢方薬ですので、次回が楽しみです。

蕁麻疹が短期に改善

55歳のUさん、2年前に蕁麻疹が出るようになり、皮膚科に通院しておられましたが、良くならず漢方相談に来られました。

蕁麻疹は紅く、全身に出て痒みが酷くなるが、時には引くときもあるとのこと。また暑がりで流れるような汗をかき、少し肥満気味、血圧が高く降圧剤を使われているような状況でした。顔も赤ら顔で、身体に熱がこもっている状況を現していました。

そこで、便秘もあるのでまずは清熱通便の<清営顆粒>をお使いいただきました。1週間後、蕁麻疹の発生頻度は低下し、痒みはほとんど無くなったと喜んで来られました。
2年間悩んだことが1週間で改善の傾向が明らかに見られたのです。

まだまだ熱が身体にこもっていますので完治までは時間がかかりますが、これによって血圧も少し改善するのではと期待しています。

漢方薬はひとつの症状に効くだけでなく、他の症状まで併せて改善できるのが特徴です。

繰り返す腰痛

61歳のKさんは以前から慢性腰痛があり、7月下旬にはギックリ腰を起こされ、相談に来られました。

まずはギックリ腰や神経痛に使う<疎経活血湯>をお使いいただき、2週間程度で楽になったのですが、まだ股関節に痛みがあるので継続いただきました。

その後旅行に行くことがあり、心配しながら行かれたのですが、幸いにも途中で痛くなることも無く、元気に帰ってきたとお電話をいただきました。この薬がぴったり合ったようで、これからも継続してしっかり治したいとのことでした。

この<疎経活血湯>は、特に坐骨神経痛や股関節痛に使っていただき喜ばれます。漢方でも痛みの疾患には適するものもたくさんあり、体質や症状で異なりますので、ご相談ください。

色紙のことば

先日岡山のホテルで泊まったとき、部屋にあった色紙の言葉

『人生山あり谷ありといいますが上から見るとただの1本の道。ウームムムム・・』

いろいろな意味に解釈できるとおもいますが、私は『人生に限らず、物事は見る方角を変えれば、また違って見えるものだ』という勝手な解釈をしました。 困ったときは違う面からみると解決方法が見つかるかもしれないし、人生も小さなことに一喜一憂することなく歩けばよいということでしょうか? ちょっとした言葉に考えさせられました。

不整脈が改善

66歳のTさん、20年前から時々脈が飛び、最近その頻度が増してきたので病院で検査を受けられたところ期外収縮との診断で服薬しておられました。しかし改善の傾向がないため漢方を求めてこられました。

Tさんは血圧100/60程度で脈拍は50回程度。自分でも脈が飛んでいるのがわかると言われていました。そこで体質に合わせて<炙甘草湯>と、牛黄製剤の<牛龍黄>をお使いいただきました。

そして40日後、病院で再検査を受けられた結果、不整脈もなく、心電図も正常、医師も全く問題ないとの判断をされたとのことでした。こんなに早く効くとは! と驚き、喜んでいただきました。また、最近は脈拍も70近くに上がってきて、血圧も安定しているとのことです。

牛黄製剤は、比較的即効性があり、よく使う漢方薬のひとつです。

抑肝散の話

先日のNHK番組「ためしてガッテン」では「アルツハイマー病制圧3原則」というテーマで放映されました。

その概要は、

1、有酸素運動をすること、

2、話し相手を持つこと

3、生活習慣病にならない食生活

が予防の3原則ということです。

さらに漢方薬が紹介され、「抑肝散」に、妄想や興奮などの周辺症状を抑える効果が確認され、2週間~1ヶ月飲み続けると効果が出てくると言われていました。そのため、放映直後からお問い合わせが入ってきましたが、テレビの内容は説明不足を感じましたので、少し補足します。

まず紹介されていました<抑肝散>は、主に興奮や妄想や暴力的な方に用いられますが、その他<帰脾湯>は貧血傾向の方や虚弱な方で、物忘れや不眠傾向の方に用いられます。

その他東洋医学会の発表などでも様々な処方が発表されています。例えば、<釣藤散>、<六味丸>、<補陽還五湯> <牛黄製剤>なども認知症に使われます。いくら認知症に使われるといっても、その方の症状と体質に合う必要があります。ご相談ください。