抗精神薬と漢方薬

抗うつ剤や安定剤を服用している方は、薬の副作用のため口渇が強くなる場合があります。そのため、水分をたくさん摂り、おなかがジャブジャブ、胃腸機能が低下し、下痢気味になり、睡眠も悪くなる、というコースをたどることがあります。

29歳のYさん、複数の安定剤を服用されていて、口渇がはげしく、よく水を飲んでおられました。長期に渡るとおもわれましたので、漢方薬の併用をすすめ、補気補陰の、虚労に使う<麦味参>をお使いいただきました。

その後、口渇が楽になり、水の量が減るとむくみも少なくなり、身体も楽になったとのこと。

漢方薬は西洋薬の副作用軽減に役立ち、時には薬を減量するように使える場合もあります。

ステロイド剤と漢方薬

ステロイドホルモン剤は様々な疾患に使われますが、その副作用軽減のためとして<柴苓湯>が病院から出されることがあります。

<柴苓湯>とは<小柴胡湯>と<五苓散>という薬を合わせたもので、効能は「和解半表半裏+利水」といいます。この意味は、病邪が身体に入ってきて、身体の防衛能力(正気)が負け気味な状態で出現する症状、例えば悪寒と発熱が交互にでる、食欲がない、ムカムカする、胸騒ぎがする、めまいがするなどを改善するというものです。

しかし、この薬がステロイドと併用すると良い結果が出ているので、『ステロイドには漢方薬S』のような誤った使い方がされる傾向にあります。お客様からもステロイドを使っているので漢方薬Sをくださいと言って来られることもあります。

○○病に○○湯という『病名漢方』は漢方の信頼を落とす場合がありますので、必ず相談の上でお決めください。

精力剤を求めて

当店はビジネス街あるので、精力剤を求めてこられる男性が多々あります。しかし取り扱いは漢方薬に限定していますので、即効性のものを求められても適切なものはなく、漢方で時間をかけて<補腎>したり、全身の元気をつけて初めて効果が現れるものです。

その中で比較的高齢の方に喜ばれるのが<霊鹿参>です。
成分は鹿の角<鹿茸>と<人参>が粉末で合わさっているもので、効果は優れていると言われます。ただし、人参や鹿茸は補陽剤で、血圧を上げる作用がありますので、高血圧の方には使えません。

いくつも種類がありますので、体質に合わせ紹介しています。

おみやげはヤマビル?

昨日はスタッフとともに雨の中、渓流釣りに行ってきました。

さすがに、雨の中で山中に入っている人は見かけませんが、実はこういう日こそイワナが警戒心をなくし、貪欲に食いつくのです。水量が減り、天気の良い日は人影や足音に敏感で、岩の下にかくれて出てきません。人と魚の知恵比べです。

さて、この湿気る時期は<ヒル>の活動期で、渓流を歩く間にたくさん衣服につき、時には血を吸われます。ヒルは血液の凝固を阻害する酵素を出すため、吸われた後も血液がなかなか止まりません。ヒルは満腹になると自然と落ちますが、あとは血だらけ状態です。

この作用を利用したのが生薬の<水蛭>です。水蛭は漢方で「破血・消痞=末梢血流をよくし、血栓予防をし、塊をとる」という目的<抵当湯>などの処方に使われます。日本での商品としては<水快宝>という健康食品があります。

また昔は、古血を出させることで血液の流れをよくするものとして、肩こりなどに使われました。なお、生薬として用いられるのはチスイビルなどで、山にいるのは小型のヤマビルです。

昨日のおみやげ? は<イワナ>と<ヒル>でした・・・。

クーラー冷え対策

昨日の話の続きです。

お客様からよく聞く話で、『なぜか冷え症の女性の席がクーラー近くにあり、暑がりの男性の席が遠くにあるので困ったことです』というのが多いです。当店も同様の状態だったので、ちょっと工夫してみました。

クーラーの吹き出し口の下に大きなパネルボードを置き、風の流れを変えてみると、結果は予想以上に良好で、冷風は遠い位置にまで届きました。ルーバーで風向調節できる範囲は限られていますが、簡単な方法で冷風が室内循環します。ぜひ応用してみてください。

足の冷えに温灸がおすすめ

梅雨に入っているはずなのに、なぜか京都は猛暑です。そしてどこに行ってもクーラーがガンガン状態で、冷え症の相談が始まりました。

身体全体の冷え症の場合は<婦宝当帰膠>や<人参湯>を紹介していますが、足だけが冷えて何を飲んでも温まらないという方には<温灸器>がお勧めです。

温灸器はヘルパーという木枠の真ん中に中国温灸という太い棒灸を取り付けて使うもので、ポカポカして気持ちよく、通常のお灸のように熱くなく跡がつきません。単に温まるだけでなく、温灸の薬用成分が皮膚吸収され、効果を発揮するのです。ただし煙が少し出ますので、もぐさの香りが気になる方は、換気扇の付近で使ってください。

お灸をする部位は説明書にありますのでご安心ください。不明な方には当店の鍼灸師がお教えしています。

生理が来ない!

急激なダイエットや強いストレスで生理が乱れたり、止まる方がよくあります。

23歳のNさん、ダイエットをされて以降、4ヶ月間生理が来ませんでした。そこで心配になり婦人科でホルモン治療を受けられたところ、すぐに1度だけ生理は来たのですが、また止まってしまいました。

その後3ヶ月経過しても来ないため、今回は漢方で根本的に改善できないかと相談に来られました。

手足が冷え、疲れやすく、ストレスを受けやすい方でしたので、補血作用の<婦宝当帰膠>、疎肝作用の<加味逍遥散>、そして冷えにも使う<双料参茸丸> という、このような相談の時によく使う組み合わせで始めていただきました。

そして6日目、早速に生理が来たとのこと!あまりの速さに当店も驚きでした。

これから周期が安定するまでしばらく時間がかかるとは思われますが、漢方を信じていただいて本当によかったと思っています。

心身症による子供の下痢

学校でのトラブルや、友達関係がうまく創れないために学校に行きにくい子供さんはたくさんおられます。登校できたとしても様々な身体的トラブルがあり困っておられます。

15歳の女の子Tさんも、ストレスを抱えていて、学校に行こうとすると胃痛になったり、学校に行ってから下痢になったりで辛い思いをされていました。

そこで少しでも力になれたらと思い、ストレスの緩和に安神薬の<桂枝加竜骨牡蠣湯>を、下痢には<桂枝加芍薬湯>を使っていただいたところ、少し気分も楽になり、胃痛も少なく、下痢は改善されました。

すべてが解決したわけではありませんが、トラブルが減り、少し楽になっただけでも本当によかったと思います。

ご相談はやっぱりご来店を!

7年来のめまいとフワフワ感がとれないため、今年2月に東北地方より京都までお越しいただきましたTさん、その後もますます改善し、最近は薬を飲み忘れるほど調子がよいとのことで喜んでいただきました。

めまいの状況は少し前のブログに書きましたが、やはり最初に店舗に来られて、体質を正確に知ることができたため、3ヶ月あまりで7年のトラブルが解決できたのです。

近くにお住まいの方でも、時間がないためかメールでお問い合わせいただきますが、やはり一度だけでもお会いすることが一番です。当然のことですが・・・・!

白衣高血圧

高血圧の原因はたくさんあります。

その中で白衣の人が測定すると緊張によって一時的に自律神経が影響を受け、血圧が上がるということがよくあります。しかし、白衣に限らず、自動血圧計によって計った場合でも、血圧が高いのでは・・と思うと高くなることがあります。

63歳の男性Mさん、もう4年来高血圧の予防などで漢方を続けてこられたのですが、今年になって少し高くなってきました。

そこで従来の処方を変更し<黄連解毒湯>や<三黄瀉心湯>などをお使いいただきましたが、下がる傾向があるものの変動が大きいので、日常的にどうなっているか知るため、自宅で2週間血圧測定をしていただきました。その結果最高血圧は150以下で、夕方は130程度とわかり、ご本人も安心されました。

その後来店され測定してみると、最高血圧130台で正常値でした。結局、『測定時に高く出るのでは・・・』という心配が血圧を上げているようでした。

心因性の高血圧はわかりにくいものです。