生薬・民間薬
小豆粥
先日、1月7日は七草の節句、お正月の締めくくりになる「七草がゆ」の日、最近は「七草セット」が販売されていて簡単に手に入りますが、ご家庭で作られましたか?もし忘れた方は・・・この次は<小豆粥>です。
昔から小正月(15日)には、14日の夜にはずしたお飾りを15日の朝に燃やし、その火で小豆粥を炊き、お餅を入れて食べる習慣がありました。これで1年の邪気を払い万病を防ぐという意味が込められています。
小豆は生薬名<赤小豆>といい、その効能は、利尿消腫(小便を出しむくみを去る)、解毒排膿(瘡瘍などを治し、膿を排出する)などで、むくみ、脚気、黄疸、化膿症などに使われます。
七草粥とは一味違った小豆粥をお楽しみください。
甘草による偽アルドステロン症
漢方薬に含まれる<甘草>によって、まれに高血圧や浮腫を生じることがあります。
今年初めてのこの症例を紹介します。
43歳の女性Yさん、冷え症や疲れで相談を受け、<婦宝当帰膠>と、<加味逍遥散>をお使いいただきました。10日ほどして、急に体重が5Kgほど増え、おかしいと思って病院で検査を受けられましたが原因不明で、当店にこられました。
詳しくお聞きすると、明らかに<偽アルドステロン症>で、すでに漢方薬は中止しておられましたので、代わって浮腫をとるため<漢方薬T>をお使いいただきました。
Sさんは中医学にも明るい方ですぐに中止されていましたが、やはり驚かれたことと思います。
この漢方薬に含まれる甘草成分は1日量1,6gで少ないのですが、それでも発症する場合もあり、特に腎機能低下の方や疲れが酷い方のばあい注意が必要です。また、漢方薬以外にも健康食品、市販胃腸薬、醤油、のど飴、など食品の甘味料として使われているため、その分と重なると1日の摂取量が増えますので、それが原因となる場合もあります。
回を重ねるたびに慎重になります。
ステロイド剤と漢方薬
ステロイドホルモン剤は様々な疾患に使われますが、その副作用軽減のためとして<柴苓湯>が病院から出されることがあります。
<柴苓湯>とは<小柴胡湯>と<五苓散>という薬を合わせたもので、効能は「和解半表半裏+利水」といいます。この意味は、病邪が身体に入ってきて、身体の防衛能力(正気)が負け気味な状態で出現する症状、例えば悪寒と発熱が交互にでる、食欲がない、ムカムカする、胸騒ぎがする、めまいがするなどを改善するというものです。
しかし、この薬がステロイドと併用すると良い結果が出ているので、『ステロイドには漢方薬S』のような誤った使い方がされる傾向にあります。お客様からもステロイドを使っているので漢方薬Sをくださいと言って来られることもあります。
○○病に○○湯という『病名漢方』は漢方の信頼を落とす場合がありますので、必ず相談の上でお決めください。
熊胆の味は?
熊胆はクマノイともいわれ、熊の胆嚢・胆汁を乾燥したもので、昔から大切に使われてきました。昨今は動物保護の関係から流通量も少なく、高価なものになっています。
熊胆の効能は、中医学では清熱(胃熱をさます)・明目(目の腫れや炎症に)・解毒(解毒作用)・止痙(ひきつけや痙攣に)に使われますが、日本では古来より万能の胃腸薬として使われてきました。
天然ものだけに、使われるロットによって味が異なるのですが、長い間熊胆を愛用されているOさんは、甘い味がする熊胆は飲んでも胃がすっきりしないが、苦味が強いものは飲んですぐに効果が現れ、食欲が増し元気になるといわれます。
生薬は一般的に、成分分析の結果だけでなく、味や香りも大切な要素なのです。