自律神経失調の漢方

以前に耳鳴りと耳閉感が改善した例を書きましたが
https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2008/06/post-689.html

このTさん、その後様々な症状を訴えられ、自律神経失調の様子が伺えました。

その中で、頭がボーとしたり、急に身の置き所がなくなるような倦怠感などがありましたので、従来の漢方薬に加え牛黄製剤の<清心丸>を少しの期間併用いただきました。そうすると、短時間で気分がよくなり、身体が楽になったとのことでした。

このような変化の多い症状には良く使う漢方薬ですので、次回が楽しみです。

身体が後ろに引かれる

様々な内容の相談をお受けしますが、西洋医学的に病名がつけられなし変わった症状が時々あります。

66歳女性Iさん、朝起きたときに頭がカーッとしてフラフラする、立っていると身体全体が後ろに引かれるようでゾーッとする、頭から水をかぶったようで気持ち悪くなる、というものです。自律神経失調のようですが、このような独特の表現が聞かれることがときどきあります。

このときよく使うのが清熱化痰・安神作用の<温胆湯>です。この薬は清熱作用と安神作用があり、気分を安定させてくれます。過去に70歳くらいの男性で、背中を電気が走るといって来られた方にも<温胆湯>をお使いいただきました。日本漢方では<奔豚病>といって『気が身体の中を突き抜けるような症状』もあります。

病名のつけようの無い不思議な症状は漢方の出番です。

薬を飲めない病気

自律神経失調症の方や、そこまで病的でないが神経質な方などで、どんな漢方薬をも飲めない方が時々あります。

まずは飲もうと思うと吐き気がする、とにかく飲んだが気分が悪くなり戻す、口が苦くなる、胃が痛くなる、などの症状です。

これは漢方薬だけでなく、健康食品でも味によって飲めないようです。

原因は、

飲むものに対し不安感があるとか、

味覚や胃が過敏で、反射的に緊張状態になってしまうのか

あるいは過去の服薬に対するトラウマ?かもしれません。

このような方の場合は時間をかけてカウンセリングが必要になりますが、現実はなかなか改善せず、薬局をたくさん巡られているケースが多いようです。とても難しい疾患です。

自律神経失調

漢方薬を使って良くなった話をよく書いていますが、今日は全く良くならない話です。

65歳の女性Yさん、6年前にうつ病になり、それ以降は心療内科にかかっておられたのですが、強い薬を使いたくないとのことで今年3月に相談に来られました。

症状は、考え事をすると頭にカーツと血が上り、フラツキが出て、動悸がし、不安感が出るとのこと。また、身体全体が後ろに引っ張られてゾーッとする、しかし横になるとすべての症状が消え、全く問題ないというものでした。

漢方では<肝気上逆>と言い神経の興奮で気が上衝するものや、<奔豚病>といって<気や血>が腹部から頭にかけて突きあがるという病などが考えられ、これらの漢方薬を使ってきました。すでに半年を越えているのですが、症状は全く変わらず、解決の糸口が見つからないまま経過しています。

しかし、Yさんは何とかしてほしいと頑張って続けておられますので、あきらめるわけにもいかず、過去の症例なども調べつつ、改善方向を見出したいと考え込んでいます。長期にわたる疾患はなかなかスムーズに行かないことがよくあります。

続・若い方の自律神経失調

若い方の自律神経失調に共通して見られる症状は、

息苦しさや咽の詰まりと違和感、
微熱が出る、
夜は気分が沈む、
寝付かれない、
動悸がする

などが見られます。

前述の女性Yさんもこの4ヶ月間でずいぶん症状が改善されてきました。漢方薬も症状の変化に合わせて変えていますが、最近は微熱の改善に滋陰清熱の<滋陰降火湯>を使い、気分の安定に柴胡剤を、そして睡眠のために<帰脾湯>を使っていただいています。

今週は睡眠薬のハルシオンを全く使用しなくても眠れるようになったとの報告を受け、Yさんも改善への自信ができたようです。

そして表情も明るくなってくるにつれ、ますます美しくなってこられました。

若い方の自律神経失調

以前にも書きましたが、若い女性で、様々なストレスにより自律神経失調症を患っている方は意外と多いのです。

仕事は普通にしておられるのですが、夕方になると息苦しくなったり、微熱が出たり、夜は気分が沈んだり、動悸がしたり・・・と、様々な症状が現れ、安定剤や睡眠導入剤を使われています。

28歳のYさんも、デパス、パキシル、ハルシオンなどを長期間使ってこられました。しかし、いつかはやめなければと思われ、相談に来られました。その後3ヶ月が経過し、気分も落ち着いてきて調子よく、ハルシオンは以前の1日2錠だったのが、現在は1/2でも寝られるし、やめられそうですと喜んでいただきました。

自律神経疾患には波があり、良い時や悪い時が繰り返しますので予断は許せませんが、少しずつでも改善していることは、ご本人の表情を見ても明らかになってきました。

Yさんに使っていただいたのは、冷えと貧血を改善する<婦宝当帰膠>、リラックスハーブティ、不眠改善に<帰脾湯>などを状況に合わせて順次使っていただきました。

自律神経のトラブル・その2

64歳女性 Iさん、6年前に家庭の状況が原因でうつ病になり、それ以来安定剤や抗うつ剤を服用しておられました。漢方も一時使っておられたのですが、あまり変化がないとのことで相談に来られました。

のどが詰まり息苦しい、頭がカーッとした後フラフラし、その後がドキドキする、そして不安になるというパターンを繰り返しているとのことでした。他人からみると自律神経失調症の感じはなく、周りの人からは「お元気ですね」と言われようですが、本人はとても苦しく、答えようがないとのこと。皆さん同様に訴えられます。

そこでIさんには「抑肝散」を主とした漢方薬と、ドキドキしたときの頓服として<救心感応丸気>を使っていただきました。

2週間後の昨日に来店され、ドキドキするのがかなり少なくなったし、ドキドキの時に<救心感応丸気>を飲むとすぐに治まり、そのうち飲むことを忘れるくらいになっているとのことでした。

長期間の症状ですので、すぐに解決するとは思っていませんが、少しでも楽になれば安心感と自信が出来て、また良い方向に向かうものと思われます。『少しずつ、少しずつ』の積み重ねが良い結果につながると思います。

春に多い自律神経トラブル

春になると自律神経や不眠のトラブルが増えます。

昨日と今日,連続して自律神経トラブルの相談を受けました。いずれも若い女性で、安定剤や抗うつ剤、睡眠剤などをお使いになっています。しかし出来るだけ使いたくないとのことですが、この時期は気候の変化がホルモンに変調を来たすため、気分が不安定になり、漢方でも対応が難しい時期と感じています。

まずは身体を温め、元気をつけて、補血作用のある<婦宝当帰膠>を使い、また少しでも気分をリラックスすることを実感してもらうように<ハーブティSN>を使っていただきました。

自律神経系に使われる漢方薬は多種ありますが、それらを使う以前に<婦宝当帰膠>や<補中益気湯>などのような補気・補血剤をベースに使ったほうが良いと感じています。あくまでその方の状態や体質によりますが、身体を元気にすれば心も元気になるとの考え方によるものです。

自律神経のトラブル

いろいろなストレスがあって自律神経に影響を及ぼすと、動悸やイライラ、肩こり、不眠など様々な症状が現れます。このとき気分を安定させる生薬の含まれるものを使いますと、様々な症状が一度に改善します。

66歳女性Tさん、ご主人が脳梗塞で半身不随になって長く、心労も多いようで、上記のような症状を訴えられていました。医院では<抑肝散>の投薬を受けておられ、飲んだときはイライラ感が治まるのですが、動悸がとれず、スッキリしないとのことでした。

そこで、この薬に加えて<救心感応丸気>をお使いいただきました。1週間分だけお渡ししたのですが、気分が楽になるとのことで再び買いにこられました。

この薬は気付け薬とされていますが、成分の<麝香>は中に詰まった気を外に出し、<沈香>は気を安定させます。その他にも<竜脳>や<羚羊角>など、気に働く生薬がたくさん含まれますので、様々な使い方ができます。