老人性うつ病

認知症によく似た症状を現す老人性のうつ病は、外に出たくない、1日中ぼうっと過ごしている、居眠りをして夜は眠れない、物忘れが激しい、何もかも自分が悪いなどといって悔やむ、などの症状が見られます。

70歳の女性Kさんも、医師から抗うつ剤や安定剤を処方されていましたが、笑顔がない、外に出たくない、心臓の圧迫感、胸苦しいなどの症状が改善せず、相談を受けました。

そこで漢方薬は認知症にもよく使われる<帰脾湯>や、リラックスティの健康食品Sをお使いいただきました。
帰脾湯は本来、貧血や不眠に用いられるものですが、このような使い方も一般的です。

1ヶ月ほど経過した後、Kさんの顔色はよくなり、悔やむことも少なくなり、そして外出するようになったと家族の方から報告を受けました。お薬が合ったようで、よかった事例となりました。

極度のイライラで血が昇る

イライラ感は誰にでも生じるものですが、それが極度になると様々な症状を生みます。

30歳の男性Hさんは、イライラが強く血が頭に昇って顔が赤くなったり、逆にうつ傾向になるなど、気分が不安定で集中力も低下し、睡眠も不調と相談に来られました。この症状はかなり以前からあったようで、抗うつ剤を服用されていたのですがあまり改善していませんでした。

そこで漢方では<肝火上炎>と捉え、薬は肝火を抑える<竜胆瀉肝湯>や、化痰・安神作用で睡眠を改善する<温胆湯>などをお使いいただきました。そして1ヶ月後、イライラ感はかなり改善され、睡眠はよく眠れるようになって身体も楽になったとのことでした。また西洋薬は減量したが、問題ないとのことでした。

赤ら顔の改善はまだまだ時間がかかりそうですが、徐々に改善するものと思われます。

西洋薬副作用軽減には漢方薬!

漢方薬で西洋薬の副作用を軽減するという使い方は、あらゆる疾患に適応でき、少し漢方を知る医師なら日常的に使われています。

いつも<小柴胡湯>を指名買いされている女性、何に使われているのか気になっていたのですが、今日お越しになったので尋ねてみました。すると彼女は抗うつ剤のデプロメールを使われていて、その副作用の胃腸障害である 吐き気、悪心、腹部膨満感を改善するためとのこと。

<小柴胡湯>を使うと全く副作用が無くなり、食欲もあり、おいしく食べられるようです。そして、『デプロメールを使っている方があれば、ぜひ教えてあげて下さい』と逆にお客様から教えていただきました。実際にお使いになっている方の言葉は一番確かで、ありがたい情報でした。

この他にも抗精神薬による口渇に<麦門冬湯>や、抗うつ薬の便秘に<大建中湯>を使ったり、様々な使い方があります。漢方と西洋薬をうまく使い分けし、併用することで、患者さんのQOLを高めることができます。うまくご活用ください。

幻覚や幻聴

頻度は少ないですが、統合失調症や認知症の方で<幻覚や幻聴>の相談にこられるケースがあります。

当然病院にて診断され、治療を受けておられるのですが、服薬によって眠くなることを改善したいとか、さらに良くなりたいと思われて来られます。

2年前に来られた30歳のMさん、周囲の声が気になる、イライラするなどの症状で病院からの薬を飲まれていましたが、漢方薬も併用したいと来られました。最初は<抑肝散>や<エゾウコギ含有健康食品>をお使いいただいたところイライラは改善してきたのですが、プレッシャーがかかると幻覚が出るというので<甘麦大棗湯>に変法し、継続していただきました。そして10ヶ月でほとんど改善し、その後は1日1回の服用でも悪化することなく過ごしておられました。

ところがこの春、仕事の状況が大きく変化し、ストレスが増えるとともに再発したため、再びしっかり漢方薬を服用していただくことになりました。あわせて、ストレス源を軽減するように進めていただいています。

ストレスの多い社会だけに、再発を避けることが難しいものと感じています。

ストレスによる様々な症状

最近若い女性の相談で多く見受けられるものに、ストレスによる様々な症状です。

本人はストレスが原因と気づいていないので、いくつかの診療科を巡られるのですが、どこも「異常なし」の診断で、漢方しかないと思い来られるのです。

そこで、よく見られる症状を列記してみました。

下痢と便秘が交互にくる 

胃酸が上がる

右腹部がつっぱる

みぞおちに違和感がある

咽が詰まる感じや塞がる感覚

胃痛や嘔吐

食べてないのに下腹部が張る

舌が痛む

まぶたがピクピクする

額部が痛む

耳閉感がある

いずれも<診察で異常なし>と診断された場合は、ストレスが原因のケースが多く、漢方が良く効く症状でもあります。 あなたにはどれが該当しますか?

イライラと夫婦げんかに

いつもお越しになる女性Tさん、子供の世話に追われ心身ともに疲れてイライラが多くなり、それに伴いご主人もイライラするようになり、夫婦げんかがふえたとのこと。

そこで平肝作用の<抑肝散>をお使いいただいたところ、少しイライラ感が軽減して来ましたが、ご主人はまだ変わらないようです。原因は、お母さんが子供に時間をとられ、ご主人まで気が回らないと思われましたので、『ご主人も大切に!』と声をかけておきました。

奥様のイライラがさらに軽減することが先決のようですね。