鬱・不安感・神経過敏・ストレス
ストレスが皮膚に及ぶ
ストレスは様々な症状を生みます。
23歳の女性、全身の痒みがひどく夜も寝られないので困っておられました。最初は代理の方が聞きにこられたのですが、本人を見ないと判断できないので、とりあえず<漢方薬U>をお使いいただきました。
その後本人がこられ、何度か話しているうちに様々なストレスがあることがわかり、さらに体重も少なく、<血虚>の体質でもありました。
そこで皮膚の痒みや乾燥を改善する<温清飲>や<当帰飲子>、血虚を改善する<婦宝当帰膠>などを使っていただき、4ヶ月ですっかり痒みは無くなり、お肌の乾燥も改善し、さらにうれしいことには、表情が明るくなったことです。
最初にお越しいただいたときは「いやいや来た」といわんばかりの険しい表情だったのが、いろいろな話をしている間に変化し、やさしくてかわいい女性になっておられました。この方の皮膚トラブルは、漢方薬以上に<精神状態>が効を奏したのかもしれません。とてもうれしい症例でした。
漢方は多面的に効きます!
元々神経を使い、緊張しやすく、特に外出しようと思うと胃腸がおかしくなり、トイレに行きたくなる方は多くあります。学生で登校しようとするとトイレに何度もいく方と同じです。
原因は緊張によって、腸が刺激を受けるものと思われますが、こんなときに漢方では<桂枝加芍薬湯>を用います。
30歳のNさん、前述のような症状で相談を受け、冷えもありましたので<婦宝当帰膠>と<桂枝加芍薬湯>をお使いいただきました。そして2ヶ月程度でこれらの症状は改善したのですが、それ以外にも、よく眠れるようになり、美容効果もあるようで、肌の調子もいいし、髪の毛も調子が良くなったと喜んでいただきました。
漢方薬に共通しているのは、単に症状改善だけでなく、体質改善に繋がっていくことが特徴ですので、上手に活用してください。
なにもないのにイライラ感
ちょっとしたことでもイライラする方はありますが、思い当たる原因が何もないのにイライラするという方があります。
よく見られるのは更年期の症状を伴うケースです。このような場合<加味逍遥散>がよく使われますが、体質や状況によっては様々な漢方薬を使います。
49歳の女性、Iさん、わけもなくイライラし、のぼせがあるため鼻血が出るときもあるとのこと。当然<加味逍遥散>は以前からお使いいただいていましたが、あまり効果がはっきりしないとのことでした。
そこで、いわゆる陰虚による<虚火上炎>ととらえ、<滋陰降火>を基本にした<瀉火補腎丸>を使っていただきました。更年期と捉えるより、年齢とともに身体の水分のめぐりが悪くなり、身体の上と下の間で熱のバランスが崩れて、のぼせやイライラがでるケースと考えています。
幻聴や幻覚の漢方
高齢者や認知症の方に幻聴や幻覚が見られるケースはたくさんありますが、若い方にも見られます。
31歳の男性Mさん、ずいぶん昔から、ストレスがかかったときに幻聴があり、周囲の人の声が気になるという症状がありました。見た目はすごく元気な好青年ですが、ストレスには過敏に反応し、緊張しやすいように見受けられました。
そこで平肝作用の<抑肝散>を中心にいくつかの漢方薬を続けていただきましたが、半年ほど経過した時処方を<甘麦大棗湯>に変更したところ、周囲の声が気にならなくなり、すっかり良くなりました。
個人差や生活環境の変化なども要因にはありますが、<甘麦大棗湯>はとても不思議な薬であることを実感しました。難しい病気だけに喜びも一層増します。
中医学研究会で勉強
今日は中医学の研究会に出席し、鬱証(うつ病)や更年期障害に関する勉強をしました。
春先は昔から木の芽時といって、気分が不安定になる時期で、この種の相談も増えます。
鬱証の進行した状態に<肝風内動>という状態があります。この意味は、身体の中の陽気の変動が、身体の動きに影響するというもので、症状としては、めまいや手足の痺れ、締め付け感、震え、ひどい場合は痙攣状態や歩行困難まで起こします。
西洋医学ではすぐに脳のMRIをとって検査する対象です。しかし、検査をしても、何も異常がない場合には漢方の出番で、陽気を鎮めて安定させる漢方薬があるのです。
医学が発達していなかった時代から、こういった症状があり、且つ解決策もあったことに歴史の奥深さを感じます。
女性の春の病
春の陽気が高まるにつれて現れる症状がいくつかありますが、そのひとつが気分のイライラ感や不安定になる方です。
陰陽論で冬から春に変わる時期は、陰気が少なくなり陽気が増える、その変化に身体がついていかないことで起こります。西洋医学的には季節の変化によるホルモンの変化が原因と考えます。
39歳のAさん、以前よりストレスを受けやすく、頭痛、不眠、蕁麻疹などの症状が時々ありました。そして、先日からはさらに症状がひどくなってきて、寝込んでいるとのことでしたので、昨年の同時期にも使っていただいた血の道症に使う<加味逍遥散>をお送りしました。
このようなケースはホルモンの影響を受けやすい女性に生じるのが特徴です。しばらくしたら落ち着くことと思います。