漢方サロンを開設しました

市兵衛薬局のすぐそばのビル内に<古村漢方サロン>をこのたび開設しました。

ここでは<女性相談会> <アトピー相談会> <美容相談会> などを、ゆったりした環境の中で行ってまいります。また、<食養生講習会> や <漢方ミニ講演会>など様々なイベントも企画中で、漢方普及、情報発信基地として取り組んでまいります。

詳細は逐次店頭で紹介させていただきます。

烏丸通りに面していて便利 

待合室

相談室

早速にミニ講演会を開催しました

頭重感の漢方

今日は京都は雨です。このようなときに頭が重くなり、あるいはずしんとした痛みが出る方があります。原因は外部の湿気や気圧が影響しているようで、漢方では水分の代謝をはかるものを使います。

40歳の女性Cさんは、以前からめまいや耳鳴り、耳閉感などで相談を受け、その都度改善していました。先日、上記のような雨天の時に頭が痛くなり、ムカムカするとのことでしたので、化痰・安神作用の<温胆湯>を1週間お使いいただきましたところ、その後の大雨のときも大丈夫だったと報告いただきました。

そこで薬をやめられたのですが、今日は再び重くなったと相談に来られました。漢方を飲んでいるときは良いのですが、1週間では当然根本的な解決にはなっていませんので、しばらく継続していただくことになりました。体質が変わるには時間がかかることを理解いただきました。

頭重感に使う漢方薬は、これ以外にもいくつかあります。体質によっても異なりますのでご相談ください

倦怠感が続く

38歳の女性Hさんは数年前から倦怠感があり、頭がボーとする、朝起きが不調、集中力がない、食後眠くなるなどの症状があり、特に病気でもないので漢方薬を求めて来られました。

このような症状は漢方で<気虚>といい、これに対応する代表的な処方<補中益気湯>などを使っていただきました。漢方薬Hについては先日のブログにも書きましたが 様々な方に使える有名なお薬です。

Hさんにはまず2週間お使いいただきましたが、短期間で身体が楽になり、朝起きもよく、眠気も軽減したと喜んでいただきました。

漢方薬Hは主として<補気健脾・升提>に使いますが、このほか低血圧や自律神経障害、脱肛、アトピー、男性不妊、慢性疾患など書ききれないほどのたくさんの症状に応用される優れたお薬です。

極度のイライラで血が昇る

イライラ感は誰にでも生じるものですが、それが極度になると様々な症状を生みます。

30歳の男性Hさんは、イライラが強く血が頭に昇って顔が赤くなったり、逆にうつ傾向になるなど、気分が不安定で集中力も低下し、睡眠も不調と相談に来られました。この症状はかなり以前からあったようで、抗うつ剤を服用されていたのですがあまり改善していませんでした。

そこで漢方では<肝火上炎>と捉え、薬は肝火を抑える<竜胆瀉肝湯>や、化痰・安神作用で睡眠を改善する<温胆湯>などをお使いいただきました。そして1ヶ月後、イライラ感はかなり改善され、睡眠はよく眠れるようになって身体も楽になったとのことでした。また西洋薬は減量したが、問題ないとのことでした。

赤ら顔の改善はまだまだ時間がかかりそうですが、徐々に改善するものと思われます。

お客様に教わること

以前からお越しの女性Mさんは本が好きで、特に健康に関する本をよく読んでおられるのですが、今日は降圧剤の副作用について相談を受けました。

Mさんの話では、カルシウム拮抗薬でよく知られた降圧剤Nを長期に常用すると重篤な疾患を生むと本に書いてあったがどう思うかとのこと。そして作用が穏やかで安全なチアジド系利尿降圧剤に変えてもらおうかと考えておられるようでした。当然調剤薬局などでも相談されているようでしたので、それなら医師に遠慮なく聞かれることをお勧めし、降圧剤に関するコメントは避けました。

このような西洋薬に関する相談は、本来処方した医師に聞かれるのが確実なのですが、話しやすいと言うことでよくあるケースです。併用薬や過去の疾患履歴なども関連しますので、当然安易な回答はしませんが、その度に治療薬マニュアルなどを持ち出し調べてみるので大変勉強にはなります。お客さまから教わるのは漢方薬の効果だけでなく、その他の健康情報もあり、その真偽を調べるのも楽しいものです。

長年の肩こり

肩こりは多くの方にみられますが、症状が酷くなると他人にはわかってもらえない辛さがあります。

25歳の女性Kさん、子供の頃から肩こりがあったのですが、最近は酷くなったため相談に来られました。お聞きすると、気分的に落ち込みやすく、ストレスをためやすい性質で、身体は痩せ気味、色白、冷え症タイプでしたので、<婦宝当帰膠> と 疎肝作用の<逍遥丸>をお使いいただきました。

1ヶ月ほど経過して、肩こりは楽になり、体調も良くなったと喜んでいただきました。Kさんは以前にも<婦宝当帰膠>は使われたのですが、その時は良くならず、今回<逍遥丸>と併用したことで効果が現れたようです。

一般的に肩こりの原因は<気の滞り> <血の滞り> <水の滞り>がありますが、どれが一番の原因かを知り、処方を決めることが大切なのです。

胆嚢腺筋症

あまり聞くことのない疾患ですが、胆嚢壁の肥厚を特徴とする良性の病変で、悪性の場合は胆嚢ガンと診断されます。自覚症状は少なく、エコーやMRI検査で見つかるようです。

48歳の男性Fさんは精密検査で胆嚢腺筋症と診断され相談に来られました。自覚的には食後に右腹部の違和感があり、時に下痢になるとのこと。これらは胆汁の流れが悪いためと思われ、<茵陳蒿湯>や<柴胡剤>を使っていただきました。

そして1ヵ月後、食後の痛みや違和感もなく、お腹の調子はとても良好とのこと。これで治ったわけではありませんが、胆嚢に負担がかからなくなることで、長期的には効果が見られるものと思われます。

6ヶ月後の再検査の結果が楽しみですが、それ以上に、体調が良くなりQOLが高まることは大切なことと思います。

背骨の骨折による痺れ

73歳の女性Tさんは4年前に背骨を骨折して以来右手右足の痺れがあり、朝方は比較的調子が良いのですが、夕方になると痺れや痛みが強くなり、また慢性腰痛もあって当店に相談に来られました。

この痛みは中医学で<不通即痛>といい、気血の流れが通じないために痛みが出ていると考えます。そこで体質をお聞きした上で、補肝腎作用の<独活寄生湯>と、活血作用の<疎経活血湯>をお使いいただきました。

1ヵ月後、脚の痺れはかなり改善し、足指先付近の痺れが残る程度にまで回復しました。長期間の疾患ですのでかなり時間がかかると思われたのですが、薬が適合して予想外の短期間で改善した例となりました。

<独活寄生湯>は比較的高齢の方の足腰の痛みによく使いますが、いつも期待に応えてくれる優れた漢方薬です。

汗による肌トラブル

暑くなったせいか、汗による湿疹や汗疹(あせも)の相談がでてきました。あせもの場合はほとんど<モモノハ>をお勧めしていますが、赤みを帯びた丘疹の場合はモモノハで改善しないため漢方薬をお勧めしています。

28歳の女性Mさんは、以前から生理トラブルでお越しいただいていましたが、7月になってから首の周りや肘に赤い発疹が出始め、痒みも伴ってきたため相談を受けました。そこで<消風散>をお使いいただいたところ1週間で痒みも治まったのですが、薬を止めると再び発症し、再度服用していただきました。汗によるものかは明らかではありませんが、頓服のように使っていただくことで、赤みも痒みも治まるようです。

暑い間は様子を見ながら続けてもらうことになりました。

補中益気湯は医王湯

補中益気湯は、食欲がない方、病後の体力低下や、男性不妊で精子問題がある方、あるいはガンの方もよく使われ、比較的知られた漢方薬です。

この薬、元々は中国の金代に李東垣という人が考えた処方で、それ以来750年間使われてきた<名処方>です。それゆえ、脾胃を補う医の中の王道の妙剤として<医王湯>とも言われます。

ところがこの薬は弱ったところを補う薬で、元気な人が服用してもあまり実感がないものだと思っていたのですが、これが間違いであることに最近気づきました。それはお客様から教えてもらったのです。

不妊症で奥様が漢方相談にこられていた方、<夫婦同治>の意味でご主人の精子も良い状態にしておきたいと奥様が買っていかれたのですが、それを飲んだご主人が疲れなくなってとても調子がよいとのことでした。

50歳代の会計士さん、最初は知人から聞いて漢方薬Hをお使いいただいたのですが、ちょっと疲れている時にこれを飲むとすぐに回復するとのこと。特にこの時期は夏ばてになりがちですが、この薬で毎年元気に過ごせるようです。

つまり、元々元気なタイプ、漢方では実証タイプの方でも、疲れが酷くなると漢方薬Hが適応するのです。人間の元気の源は脾胃(胃腸の働き)にありますので、それを元気にする<漢方薬H>は薬の王様ともいえますね。