光がまぶしい!

特に病気でもないのに光がまぶしいと言う方の相談が時々あります。

西洋医学では屈折異常や神経過敏などと考えられるようですが、決め手になる治療法はないようです。

52歳の男性、Fさんは8年前から光をまぶしく感じるときがあり、最近は続けてまぶしいため相談にこられました。詳しくお聞きすると、ストレスを受けやすいタイプで、イライラがあり、寝つきが悪く、中途覚醒し、熟睡できない、明るいと頭痛がするといってサングラスを常時かけておられました。また、『音に対しても過敏で驚きやすいですか?』とお尋ねすると、そのとおりですとのこと。

そこで、過去にも事例のあることで、中医学での<調和胆胃・安神>の<温胆湯>をお使いいただきました。その後1ヶ月余りで光による頭痛がしなくなり、まぶしさも少しだけ改善しました。8年間の症状だけに時間はかかると思いますが、ひとまずは安心していただきました。

不安症や神経症状が強いときは<柴胡加竜骨牡蠣湯>などを使うこともありますが、今回は<温胆湯>だけで改善傾向がみられました。このような原因不明の症状にも漢方が適することを知っていただいて良かったと思います。

性機能障害

昨日の続きですが、男性の性機能障害には、<性欲減退>、<性交障害>、<性嫌悪症>などがあり、これらは単に身体の問題でなく、心理面や社会性に係わることが多いようです。いわゆる環境ホルモンによって男性が女性化したり、テストステロンが減少傾向にあるとか、仕事のストレスが多いなど様々な要因があります。

その中でも特に多いのが<メンタルな原因>によるものとのことです。つまり、ちょっとしたきっかけや言葉によってそれがトラウマになってEDになるというものです。

先月の中国研修の時に曹開鏞先生は、新婚時の夫婦生活が原因となって、その後性交障害が続いていた患者に対し、カウンセリングによって原因を聞きだし、夫婦仲を改善させるとともに漢方薬を使って解決した事例を紹介されました。

日本ではそのようなカウンセリングを出来る場所は少ないと思われますので、さらに研鑽を積み対応していきたいと考えています。

男性不妊の研修会

先の日曜日は<男科:だんか>の研修会に行ってきました。

中国で<男科>とは男性不妊や前立腺疾患など、男性特有の疾患分野をいいます。このうち前立腺肥大や排尿障害の相談はよく受けますし、適応する漢方薬もいくつもあります。一方、男性不妊の原因である性機能障害や精子機能障害などは、困っている方がたくさんあるのですが、薬局で相談しようと思わず、あきらめている方も多いのではと思われます。

日本性機能学会の1987年のデータでED(勃起不全)の患者は980万人となっていますが、その後増え続けていると思われます。男性は酒席の場では性に関する話をよくしますが、まじめな場ではなかなか話せないものです。

でも先月の中国での男科研修では、70歳代の男性がEDの治療でタイから来ていたり、若い男性が奥様に連れられて性機能に関する診察に来ていました。

日本もこれから男性の意識が変わるものと思います。

原因不明の痛みが改善!

病院の確定診断がつかない疾患でも、漢方では症状や体質によって判断し、改善する例もあります。

60歳のSさん、2年前からあちこちが痛み、こわばりが生じるので病院で検査を受けられましたが、<線維筋痛症>の疑いがあると言われたものの、鎮痛剤しか治療方法がなく、相談にこられました。

詳しくお聞きすると、湿気が多い日や暖かい日に痛みが強くなるとのこと。また、熱がこもる感じがするが汗は出ないようです。そこで漢方薬は発汗して体内の水毒を改善する<麻杏苡甘湯>をお使いいただきました。その後2週間して再来され、痛みが半減し、またのぼせは全くなくなったとの報告を受けました。こんなに早い効き目が出るとは思われなかったので私たちも驚きでした。

このような原因不明の痛みや発熱などに対しては、症状と体質から決めていく漢方の考え方が適応するケースが多々あります。

うんちの話 2

うんちは食べ物によって形態が様々です。高脂肪食品や肉食などが多いとアルカリ性になり、黒褐色で悪臭が生じやすくなります。また食物繊維や野菜、昆布などが多いと酸性に傾き、黄色く臭わないうんちになります。辛いものや酒が多い方はドロドロで臭いも強くなります。赤ちゃんのうんちは酸性度が高く、PH4~4,5と聞きました。自分のうんちはいかがですか?

『便』は身体の『便り』なのです。特に女性では2人に1人が便秘で、3日間便秘は普通という方もありますが、大腸内の有害菌が内臓に影響し、ガンなど免疫疾患に係わっているという意見もあります。

その予防としてお勧めしているのが、便秘薬の<ハーベルシー>と、食物繊維たっぷりの健康食品を合わせて使う方法です。これによって腸内もきれいになり、便がスッキリと出ると好評です!

うんちの話

昨日は大阪での研修会に参加してきました。テーマは『うんちが語る腸の老化』で、理化学研究所の辨野先生の講演でした。その一部を紹介しますと・・・

一般的に腸内細菌の10%は悪玉菌、20%が善玉菌、残りが日和見菌といわれ、加齢に伴い善玉菌が減少し、腸の運動も低下しますので、便臭が増え、出る量も少なくなり、残便感がありスッキリしないのが腸の老化現象です。そして腸内腐敗によって作られた有害物資が原因で様々な病気につながるとのことでした。

そして腸年齢を若く保つには、善玉菌を増やすこと、そのためには善玉菌のえさとなる食物繊維をしっかり摂る、魚や野菜をしっかり摂ることです。

また、漢方薬をより効かせるためには腸内細菌が良い状態であることが必要なのです。うんちが健康のバロメータであることがよくわかりました。

ちょうど日曜日の朝日新聞・別刷に『腸内環境』と題して、この先生の話が掲載されていました。いちどご覧ください。

それでもなお食物繊維やビフィズス菌が不足しがちな方には、この考え方を商品にした健康食品があります。毎日のうんちがスッキリ出て『快腸』な日がすごせます。ぜひお試しください。

皮膚掻痒症のご相談

皮膚がかゆくなる原因はたくさんあります。

全身にかゆみが出るものと、特定部位に出るもの、高齢者で乾燥によるもの、妊婦にみられるものなどと、内臓疾患が原因となる場合もあります。漢方ではいずれにしても体質と症状をあわせて考えます。

40歳の女性Fさんは2年前から口の周囲や首の後ろ側、耳の後などが痒くなりはじめ、汗をかくと痒みは増しました。医院で検査を受けましたが、特に問題はなく、アレルギー反応もありませんでした。また花粉の季節や乾燥時期でも症状は変わらず、いつになっても治らないので漢方相談にこられました。

詳しくお聞きすると、冷え症で胃腸が弱く、時に下痢する時もあるとのことでしたので<脾気虚>も考慮し、<消風散>と健脾作用の<六君子湯>をお使いいただきました。

2週間後には、痒みが出てもすぐに引くようになり、4週間後には痒くなる頻度が週1回程度までになりました。また、お腹の状態、便の状態も良くなりました。

当初は<消風散>を中心に使いましたが、根本治療はやはり<六君子湯>などの胃腸を丈夫にするお薬がポイントになると思われます。

小児の喘息

小児の鼻炎や咳、喘息の相談は最近増えてきています。

5歳の男の子Fくんは鼻水、鼻閉が慢性的にあり、咳をしたとき嘔吐しやすいなどで相談を受けました。元々冷え症があり、トイレも近く、体質改善が必要な状態でしたので、子供によく用いられる<黄耆建中湯>を使っていただきました。

しばらくすると風邪も引かなくなり、咳や鼻水も改善し、食べ過ぎたときだけ喘息のような咳がでるという状況までになりました。

子供の体質改善はやはり胃腸からしっかりさせるという方法が、すべての症状に共通するようですし、この薬は安心して使えるスグレモノです。

耳鳴りと耳閉感

若い方の耳鳴りや耳閉感はほとんどがストレスに関連しています。このストレスを緩和し、気分を安定することで比較的短期間で改善します。

40歳の女性Tさん、2ヶ月前にブーとかボーというような音の耳鳴りが始まりました。また、耳に水が入っているような感じや、涙が出やすい状態がありました。体格はやや水太りの感じで、水毒がうかがわれますした。

Tさんの話ではこの時期にストレスがあり、それが原因と思われるとのことでしたので、貧血を改善する<帰脾湯>と、化痰・安神作用の<温胆湯>をお使いいただきました。そして3週間で改善の様子が見られ、耳鳴りも少なくなってきましたので、現在そのまま継続していただいています。

Tさんの場合は比較的早く相談に来られ、ストレス性であることも明らかでしたので、このまま改善するものと思われます。

アトピーは根気良く?

アトピーの症状は千差万別ですが、改善に要する期間もかなり個人差があります。早い方は2週間で改善し始めて驚くこともありました。
しかし、すべてがうまくいくわけでもなく、長期間漢方薬を続けておられる方もあります。

27歳の女性Mさんは小児アトピーでステロイドを使い始め、高校生の頃まで長い間使われましたが、治らないので思い切ってやめられました。その後春先は特に悪化し、顔や目の周囲、首周りが赤く熱感があり、痒みも夜になると酷くなる状態が続いていました。また関節部位にも発疹がでていました。

ご相談に来られて早速漢方薬を始められ、清熱通便作用の<清営顆粒>や、血熱改善の<温清飲>などをお使いいただきましたところ、赤みや痒みは軽減されて順調に改善していたのですが、昨年の春は再び悪化してしまいました。

そこで乾燥肌や舌の状態から考え直し、ほてりに使う<瀉火補腎丸>などの滋陰剤に変更したところ乾燥も改善され、今年の春は悪化することなく過ごされました。

まもなく2年を迎えようとしていますが、根気良く続けられた結果と思います。