幻聴や幻覚の漢方

高齢者や認知症の方に幻聴や幻覚が見られるケースはたくさんありますが、若い方にも見られます。

31歳の男性Mさん、ずいぶん昔から、ストレスがかかったときに幻聴があり、周囲の人の声が気になるという症状がありました。見た目はすごく元気な好青年ですが、ストレスには過敏に反応し、緊張しやすいように見受けられました。

そこで平肝作用の<抑肝散>を中心にいくつかの漢方薬を続けていただきましたが、半年ほど経過した時処方を<甘麦大棗湯>に変更したところ、周囲の声が気にならなくなり、すっかり良くなりました。

個人差や生活環境の変化なども要因にはありますが、<甘麦大棗湯>はとても不思議な薬であることを実感しました。難しい病気だけに喜びも一層増します。

中医学研究会で勉強

今日は中医学の研究会に出席し、鬱証(うつ病)や更年期障害に関する勉強をしました。

春先は昔から木の芽時といって、気分が不安定になる時期で、この種の相談も増えます。

鬱証の進行した状態に<肝風内動>という状態があります。この意味は、身体の中の陽気の変動が、身体の動きに影響するというもので、症状としては、めまいや手足の痺れ、締め付け感、震え、ひどい場合は痙攣状態や歩行困難まで起こします。

西洋医学ではすぐに脳のMRIをとって検査する対象です。しかし、検査をしても、何も異常がない場合には漢方の出番で、陽気を鎮めて安定させる漢方薬があるのです。

医学が発達していなかった時代から、こういった症状があり、且つ解決策もあったことに歴史の奥深さを感じます。

女性の春の病

春の陽気が高まるにつれて現れる症状がいくつかありますが、そのひとつが気分のイライラ感や不安定になる方です。

陰陽論で冬から春に変わる時期は、陰気が少なくなり陽気が増える、その変化に身体がついていかないことで起こります。西洋医学的には季節の変化によるホルモンの変化が原因と考えます。

39歳のAさん、以前よりストレスを受けやすく、頭痛、不眠、蕁麻疹などの症状が時々ありました。そして、先日からはさらに症状がひどくなってきて、寝込んでいるとのことでしたので、昨年の同時期にも使っていただいた血の道症に使う<加味逍遥散>をお送りしました。

このようなケースはホルモンの影響を受けやすい女性に生じるのが特徴です。しばらくしたら落ち着くことと思います。

高齢者の幻覚症状

特に精神疾患でなく、高齢者の認知症などで生じる幻覚症状に対し、漢方薬は以前から使われてきましたが、今回顕著な症状改善が聞かれましたので紹介します。

78歳の女性Mさん、廊下にだれもいないのに『子供がたくさん来ている』という幻覚症状が現れたので娘さんが相談にこられました。その他の幻覚症状もあり、夜に起こされてゆっくり寝ていられないとのこと。

そこで高齢者の鬱症状や幻覚症状、不眠症にも使われる<帰脾湯>を使っていただきました。10日後に連絡をいただき、幻覚がすべて消えたとのことで喜んでいただきました。

しばらくの間は予防的に続けて飲んでいただくことにしましたが、こんなに早く効果が現れるのには驚きでした。

働きすぎを抑える漢方?

以前に日本人は働きすぎとよく言われましたが、今でも団塊の世代はその習慣が直らず、仕事ばかり考えている人が多いようです。

59歳の男性、神経が過敏で、以前にはパニック障害といわれたこともあったようですが、最近特にハイな状態が続き、奥様が心配して相談に来られました。

とはいっても、精神的に異常なわけでなく、休み無く働き、且つ遊ぶと言うことで、身体が持たないのではないかと思われたようです。

そこで、気分が高揚しやすいのを抑制するため<抑肝散>を使っていただきました。1ヵ月後、その様子をお聞きしたところ、おとなしくなり、しゃべるのも少し少なくなり、落ち着きを取り戻してきたとのこと。

抑肝散は小児の疳の虫や神経症によく使われますが、おとなでも同様に効果があるようで、カッカしやすい方にはお勧めの漢方薬です。

気の病・その後

自律神経失調による胸の痛みについて、先日のブログで紹介しましたMさんは、その後2週間<抑肝散>などの漢方薬を服用した後来店、経過報告を受けました。
そして、急に胸が痛くなるという発作の回数が軽減し、食べてもいないのにゲップが出るという症状や、足や背中が突然ピクピクするという症状もなくなったとのこと。予想以上に早く変化が現れて一安心でした。

漢方薬の効果だけでなく、お越しいただいたときにゆっくりとお話を聞き、こういった症状はよくあることや、心臓が悪化していくという心配はないことなど、いわゆるカウンセリングの効果が大いにあったと思われます。Mさんも当店で話を聞いて安心したら、なにかすごく楽になって、それで良くなってきたのかもと話しておられました。

気の病は話を聞くことが改善のポイントになることをいつも感じています。

受験ストレスに負けない!

当店の近くに専門学校があり、昼休みは周辺のコンビニが学生さんでいっぱいになります。

難しい国家試験前になると、毎年のように学生さんが相談に来られます。ほとんどが、不安感や不眠、胃腸障害、過緊張による痺れなどです。学生さんはアルバイトをする時間的余裕もなく、そのため金銭の余裕もない人が多いのです。

そこで、安神剤としてよく使う<牛黄製剤>などは高くて使えず、お勧めしているのは<エゾウコギ含有ハーブティ>です。ハーブティで気軽に使えるのが特徴です。湯で溶くとほんのり甘く、少し香りがしておいしく、特に女性に好まれます。もちろん漢方薬も使えますが、忙しくてきっちり飲めない方も多く、お茶代わり休憩にというのが受けるようです。

試験前日に来られた時は、今までの努力を実らせるよう、頭脳明晰にする<牛黄製剤>などを使っていただきます。牛黄は強心剤でありながら、頭の疲れを感じさせない、気力を維持できる薬、と実感しています。

手渡す時は必ず「これで大丈夫や!」と一言声をかけ、気を入れるようにしています。

わけもなくイライラ

特別な原因があるわけでもないのに、イライラが強く、少しのことで喧嘩のようになり、人付き合いがうまく出来ない方があります。

これには程度の差もあり、自覚しておられるか否かの違いもあります。また、性格的なことや、生活環境のことも関連しますので、病気とは言えないものです。

28歳女性、前述のようなことが多く相談にこられました。ご本人は真剣に悩んでおられるので、何らかの対応をしなければと思い、疎肝作用の<加味逍遥散>を使っていただきました。しばらく継続したのですが、あまり改善しないので<エゾウコギ含有健康食品に変えて使っていただいたところ、気分も良く、少しましになった感じといわれていました。

他にも<抑肝散>で改善した例もありますが、病的でないものは難しく、体質で考えるしかありません。まずは試していただくとわかるようです。

イライラ病

イライラ病という病名はありませんが、とにかくイライラする、暴力的になるなどの神経疾患があります。特に春は自律神経が乱れやすく、うつ病のようになったり、なんでもないのイライラとする方が増えます。

32歳男性Hさん、専門的なお仕事をされていて、まじめな方なのですが、仕事でストレスを受けやすく、イライラが強い、酷いときは物を投げつける、暴力的になる、でも落ち着くと反省していて自分でもわかっている、とのことで、昨年にご家族が相談に来られました。

そこで<抑肝散>などを使っていただいたところ、2週間過ぎた頃から落ち着きが見え始め、その後も激しい状態は生じなくなり、安定していました。

ところが4月に入り、少し焦りやイライラが再び強くなり、病院の安定剤が増えたようです。その後、脈拍が増え、高血圧が高くなり、むくみがでるなど、副作用が出現しまし、すぐに薬は変えられたようですが、脈拍はすぐに落ち着かないようです。

調子良く経過しているときは、「もっと早く良くならないか」とあせりが出てくるのが普通ですが、焦ると薬が増え、その結果悪化するケースを見受けます。

自律神経疾患の方には、《この時期悪くなるのだ》と開き直ることも必要なようです。

ストレスと咽のつまり

精神的なストレスで咽が詰まるという症状は、漢方では<梅核気>と言い、西洋医学では<ヒステリー球>といわれます。この話は以前にも書きましたが

さらに、痰がともなうケースがあります。

後鼻漏か、蓄膿か、痰かわからないような症状で、痰が咽につまり、出そうとするが粘っこくて出にくい、夜にひどくなると窒息しそうで、救急で病院に行かれる方もあります。漢方では痰が鬱熱によって粘りを増していると考えます。

Yさん、59歳女性、2年前の夏風邪を引いた後から慢性の鼻炎になり、痰が溜まるようになった。病院では呼吸器系や耳鼻科などの診察を受けたが、特に問題はなく治療もない。咽の奥に痰がたまって通らないので、かき出すように取る時もある。痰をよく出すので舌が痛くなり、不眠にもなる。手のひらが赤く腫れ気味、のぼせがある、全身緊張状態など、漢方では<肝陽上亢>というストレスの症状が見られた。この症状は短期では取れないと説明したが、ご本人はつらく、すぐに来られなくなった。

難しい症状のひとつでした。