ちょっと一息

山道で雨にぬれたサラシナショウマの白い花を見つけました。夏になるとさらに大きくなります。生薬名は升麻といい、漢方薬では脱肛に用いる漢方薬<補中益気湯>や、はしかのとき、発汗解熱剤としての漢方薬<升麻葛根湯>に用います。

 

近くにはヤブカンゾウの花が鮮やかなオレンジ色で咲き誇っていました。民間薬として利尿に用いられます。古くから「忘れ草」ともいわれ、辛いことを忘れることが出来るそうです。

 

漢方好きの子供

子供に漢方薬を飲ませるとき、まずくて子供が飲まないという方は、たいてい親も飲めない方が多いのです。薬は苦いもの、薬はまずいものという親の感覚が子供に伝わり、飲まなくなってしまうのです。

  

逆に、親が漢方薬を飲んでいる方の子供さんは、2歳の子でも平気で飲みますし、飲みすぎにならないよう注意が必要なくらいです。

野菜や果物(トマト・スイカ・リンゴ・トウキビ)など、すべて甘いものが良いもののように言われ、且つ好まれる時代だからこそ、『苦い味』も子供に教えておくことも必要と思います。

梅雨時期の漢方 6

大雨かと思えばまた猛暑、全く不順な天候に身体もついていかない今週でした。

そのため今日も同じような問合せが続き「足がむくんで、夕方になると重くなって

身体がしんどい、今の薬が合わないのでは?」ということでした。

その他には、頭帽感で頭が重い、鼻が詰まる、顔が腫れるなどの問合せもあります。

すべてこの時期の『湿気』が原因で、7月中旬になれば解決すると回答していますが、あまりひどい方には<五苓散>を使っていただきました。暑くなって水分の取りすぎになっているのも一因ですので、生活上での注意は、《クーラーで冷やさないこと》《夜間に水分を取りすぎないこと》 をしっかり守るとさらに改善します。

漢方好きの学生さん

から梅雨と思っていたら、全く逆転して大雨! 水が確保できたのは良かったでしょうが、被害にあわれた方には、お見舞い申し上げます。

  

さて、京都は観光の都市であるとともに学生の街でもあります。当店にも学生さんが相談に来られますが、中でも京都大学の方が比較的多いようです。

  

皆さん共通して勉強家で、ネットや関連書籍で調べ、漢方薬を指定して買われたり、複数の薬をバランスよく使われたりしています。また、煎じ薬を使われる方もありますし、勉強のためだけに来店する方もおられます。そして自分で考え、自分の身体で試して、結果を出すということをされています。

  

若い方に漢方を正しく知ってもらうことは、我々の仕事としてうれしく思います。

梅雨時期の漢方 5

昨日と今日は、風邪と咳の相談が続きました。

このところの暑さでどこに行ってもクーラーが入り、寝るときもクーラーを使われるようになり、身体も変化についていけない状態ですね。そのため風邪を引き、咳が出ているようです。

この時期の咳は痰も多い傾向があり、小青龍湯や蘇子降気湯を使ってもらいます。まずは身体を冷やさないこと、冷飲食でおなかを冷やさないことです。

薬より生活上の注意から!

梅雨時期の漢方 4

空梅雨で毎日暑くて、夏の前にバテそうなこの頃です。

35歳女性Nさん、夏になると夏かぜを引いて寝込んだり、下痢になったり、発熱するなどの日が多いので、今から改善したいと思われて来店。

体重は38kgで見るからに胃弱、食も細く、夏のエネルギー消耗に対して追いつかないのではと思えました。夏バテにはよくアミノ酸製剤や人参製剤を使っていただきますが、この方には香砂六君子湯という、食欲を上げて、補気(元気をつける)方法をオススメしました。

なんとか真夏日までに間に合ってくれることを期待しています。

梅雨時期の漢方 3

このところ足がむくむように感じませんか? 靴下の跡が気になりませんか? まぶたの腫れが気になりませんか?

梅雨時期は外部湿気の増加によって体内の湿が外に出にくくなります。それに加えてクーラーが入り始め、身体は冷やされ、発汗しにくく、さらに血液の流れが悪くなります。しっかり動いて発汗すればいいのですが、勤めの方はままならず。

ひどい場合には漢方薬で身体を温め、血流を良くし、代謝を高め、むくみを取るなどの方法を用います。

梅雨時期の漢方 2

梅雨の時期によくある症状は、むくみ、下痢、胃腸病などいくつかあります。

42歳女性、最近下痢が続くのですが、食べ物が悪いのでしょうか?と相談に来られました。話を聞いてみると嘔吐もなく、食中毒のような症状は無いようで、このところ雨も少なく毎日暑くて家に帰るとクーラーを入れ、冷たいものを飲むことが増えていることがわかりました。

これが下痢の原因で、漢方では【寒湿の下痢】といい、水を控え、冷えに注意してもらい、また「胃苓湯」を使っていただいて2日で改善しました。

気候の変わり目です、冷飲・冷食に気をつけてください。

梅雨時期の漢方 1

今朝の新聞によると、私の住んでいる地域でも食中毒が発生。1件は宅配弁当業者から、もう1件は市役所の食堂からということでした。

この時期の温度と湿度が、菌の繁殖を促進するので多発します。清潔にするなど気をつけることですが、完全な予防は難しいです。漢方では

1、下痢や食欲不振を改善する「参苓白朮散が有名です。

2、お茶はスベリヒユが主成分のハーブティ<五行草>が適します。

人体ですので使用時と不使用時の比較はできませんが、予防的に使えるのは漢方の特徴です。『備えあれば憂いなし』です。

ガンの症例 2

11年前に乳ガンで手術をされたMさん、その後8年目に肺ガンが見つかり再び入院。検査の結果、既に肺に複数の転移があり手術はできず、また年齢は72歳ということもあり、積極的な治療はせずに経過を観察していこうということになりました。

その後当店に息子さんが来られ、少しでも楽になり、普通の生活が送れたらということで相談を受けました。当時は食欲もなく、たくさんのものは飲めないので、量も少なく飲みやすいキノコの健康食品を飲み始められました。しばらくして骨転移やリンパ浮腫などの様々な症状が現れましたが、幸いにも変化は穏やかで、漢方薬を補いながら日常生活は元気に自宅で過ごされていました。

今年に入ってから来られないので心配していたところ、1月末に息子さんが来られて亡くなられたとのこと。お正月を過ぎてから少しだるい、眠いという日があり、1月中旬に入院され、3日後になくなられたとのことでした。

肺ガンで、特に風邪や肺炎には注意が必要と病院から言われていたが、2年間風邪を引くことなく、また辛い思いをすることもなく、最後は静かに眠るようでしたとお話をお聞きしました。激しい痛みで辛い思いをされる方や、麻薬で意識もうろうになる方が多いと聞きますが、Mさんは大往生でした。

2年余りのお付き合いでしたが、感謝の言葉をいただいたとき、少しでもお役に立てたかと思い、この仕事をやっていて良かったと思う時でもありました。