気の病

漢方では、気が上に昇ることを上昇とは言わず上衝と言います。まさに衝きあがるようになるようです。

それを西洋医学的には適切な病名がなく、原因不明であるためにあちこちで診療を受けられるケースがあります。

40歳Mさん、疲れたり何か行動をしようと考えると、急に上半身が緊張し、胸が痛くなり心臓病かと思うほどとのことでした。当然、精密検査は受けられましたが、特に異常は認められず医師も安定剤しかないように言われたようです。これは一種の自律神経失調で、何か大きなストレスがかかったときや、更年期の女性に時々見られます。

また古くからは奔豚病という、下腹部から急激に何かがつきあがって、動悸やめまいがするというような気の上衝の病に対する病名もあります。

このような症状に使う漢方薬は平肝作用の<抑肝散>や、気逆を軽減する<苓桂味甘湯>などいくつかがありますが、長期の症状ですので改善には時間を要します。

4年ぶりのご来店

忘れた頃に来店される方は多いのですが、今日は4年ぶりの方にお越しいただきました。

不思議なもので、お顔は覚えているのですが、当然ながら名前は記憶にありませんでした。

前回は疲れが酷いので牛黄を使いたいと思い、通りすがりに来店され、牛黄の話や血流の話をしたようです。今回はその時の丁寧な説明がよかったと思い出し、相談するならやっぱりこの店と思い、遠くから来たとのことでした。

この方は84歳女性のKさんで、今年の2月に狭心症の疑いで入院されたのち西洋薬を服用しておられたのですが、胃腸に負担になり止めたとのこと。そして漢方薬で適するものがないかと相談に来られました。

血流をよくする漢方薬はいろいろありますが、血圧も少し高めで、肩こりもあり、<冠元顆粒>を使っていただきました。一緒にお越しいただいた娘さんも同様の体質でしたので、予防のために<冠元顆粒>を使われることになりました。

人との出会いを一生に一度と心得て、誠意を尽くせという茶道の考え方<一期一会>をふと思い出しました。

胃もたれの漢方

胃もたれは誰にでもありますが、毎日だとユーウツになります。

33歳の女性会社員Uさん、食べる度に気分が悪くなり、水を飲んでもムカムカして食べられなくなるとの相談でした。問診や舌診から、脾胃不和=脾胃の昇降が失調している状態で起きているもので、<半夏瀉心湯>を使っていただきました。

その後しばらく来られなかったのですが、今日来店され「前の薬は即効性だったので、もういちどほしい」とのことでした。

半夏瀉心湯は私も旅行に行くときの必携品で、特に中国に行くと食べ過ぎたり、脂濃いものを食べたりして胃もたれしますが、<半夏瀉心湯>と消化酵素健康食品を使うとスッキリ!

胃腸が快調だと旅も楽しくなります。

伝統行事・地蔵盆

京都ではこの時期地蔵盆が行われます。

地蔵盆とは地蔵菩薩の祭で、8月24日を中心にして行われてきましたが、最近はその直前の日曜日に行われることが多いようです。

地蔵盆は、前日にお地蔵さんの像を洗い清めたり、前掛けを新調したり、化粧をするなどして準備し、当日は朝からお坊さんを呼んでお地蔵さんの前で読経し、その後お供え物を子供に分けて子供の安全を祈ります。その他、映画ゲームで遊んだり、大人は昼からビールを飲んだりして、いわば町内のコミュニケーションの場として生きてきました。

しかし最近は町内会に加入しない方がふえ、マンションが増えたため、伝統行事も大きく変化してきています。さらに信仰の自由の考え方から、仏教以外の方は参加しないということで、名称も<地蔵盆>から<夏まつり>に変えた地域もあります。

地蔵盆の中で子供の輪を創ってきた世代には、伝統行事や伝統的な名称がどんどん消えていくことがとても残念です。

高脂血症が改善

コレステロールや中性脂肪が高い方は多く、その多くが肥満によるものや、女性の場合は閉経に伴うホルモンの変化と関連するものです。

メールで相談をお受けした56歳の女性Mさん、昨年の12月の血液検査データでは総コレステロールが239mg/dl、中性脂肪は229mg/dl、食後の血糖値は171mg/dl、といずれもすこし高い状態でした。

そこで漢方薬は清熱解毒・瀉下作用の<防風通聖散>と<扁鵲>を中心に、状態にあわせて漢方薬をお使いいただき、半年経過してコレステロールは160前後。中性脂肪は153まで下がり、この値は過去最低だと喜んでいただきました。

かなり時間をかけての結果でしたが、体調全体も良くなってきたものと思います。根気よく続けられたMさんの努力の賜物です。

サライに紹介されました

小学館発行の、大人の生活誌「サライ」に、お勧めの漢方専門店として当店が紹介されました。

この9月7日号は漢方の特集号で、漢方の考え方、生薬の種類、診断法、漢方薬の種類、養生法、薬膳店など、幅広く、且つ詳しく書かれています。

ぜひご覧下さい。
http://serai.jp/kongo_jigo/kongojigo.html

 

お盆も今日まで

京都にはお寺さんの本山がたくさんあり、お盆の行事も様々です。

東山にある祖廟では約1万個の提灯(ちょうちん)にあかりをともして、先祖を供養する「万灯会(まんとうえ)」が行われました。写真は昼に撮ったもので迫力に欠けますが、夜間に撮ると灯りが美しく壮大なものです。

ここの山門には「心静かにお参り下さい」と書かれていましたが、日頃バタバタ、アクセクとして働いている方には、こんな時期、こんな場所に来るだけでも、身も心も洗われるような感じがして、お勧めです。

そして今日16日は「五山の送り火」です。ご先祖さんがお盆に帰ってきて家族と一緒に過ごし、また帰っていくという行事をもって、お盆も幕を閉じます。

ひまわり

最近は広大な土地にたくさんの<ひまわり>を植えている所が増えてきました。

ひまわりは向日葵と書きますが、字のとおりいつも全ての花が太陽に向かっています。とても不思議で、おもしろい風景です。

ひまわりの名称は様々な団体で使われていますが、当店のお客様の集いも<ひまわりの会>と称し ます。自然を愛し、自然に親しみ、東洋の知恵を学びながら、1人1人が輝いていけるような集まりをめざして、様々なイベントを行っています。

ひまわりは今が最盛期、その笑顔にふれてみてください。

きっと元気が出ますよ!

桃の葉と農薬について

家庭果樹園で作っている桃の木に今年は10個ほどの桃ができました。

手入れが出来ていないので雨が当たり黒ずんでいますが、とても甘い果実でした。

桃の葉>はあせもの時に浴剤として使い、桃の種は<桃仁>と言って月経痛や打撲などの血流が悪化している状態を改善するとともに、便通を良くします。

先日「無農薬の桃の葉がありますか」とのお問合せがありましたが、果樹はいずれも虫がつきやすく、私の桃の木にも虫がついたためスプレーなどで部分的に農薬散布をするほどで、無農薬は流通していないとお答えしました。

無農薬として売られている食品もありますが、減農薬であっても完全無農薬はほとんどないのでは?と思います。消費者は当然、完全無農薬を期待しますが、現実は難しいことが、栽培してみてはじめてわかりました。

生薬も残留農薬のチェックが厳しく行われていて安心して使っていますが、生産者側は大変だろうと思われ、大切に使わねばと心新たにしました。

再び チャングムの誓い

昨日のテレビ番組「チャングムの誓い」では、村で疫病が流行ったためにその調査と治療に派遣されたチャングムが、疫病の原因が野菜の毒による食中毒であることを突きとめたというストーリーでした。

野菜が生育段階で病気になると毒を生じるというのは、私も初めて知りました。そしてこの時使われたのが<生姜>汁などでした。

<生姜>は解毒作用があり、漢方では<半夏>という生薬の持つ毒性を<生姜>で消すように、漢方処方では<半夏・生姜>として必ずセットで用います。

また、魚やカニの中毒では、<生姜>単独で用いたり、<生姜>と<紫蘇葉>をあわせて使います。

日常的に使われる薬味には<生姜><ねぎ><わさび><パセリ><紫蘇>などがありますが、これらは食物の味を引き立たせるだけでなく、食物による胃腸への負担を軽減したり、毒消しになっているのです。

パセリは外食でよく付いてきますが、残している人のほうが多いのではないでしょうか。私は好んで食べるようにしています。

<医食同源>=食の中にもたくさんの薬があるのです。