気の病

漢方では、気が上に昇ることを上昇とは言わず上衝と言います。まさに衝きあがるようになるようです。

それを西洋医学的には適切な病名がなく、原因不明であるためにあちこちで診療を受けられるケースがあります。

40歳Mさん、疲れたり何か行動をしようと考えると、急に上半身が緊張し、胸が痛くなり心臓病かと思うほどとのことでした。当然、精密検査は受けられましたが、特に異常は認められず医師も安定剤しかないように言われたようです。これは一種の自律神経失調で、何か大きなストレスがかかったときや、更年期の女性に時々見られます。

また古くからは奔豚病という、下腹部から急激に何かがつきあがって、動悸やめまいがするというような気の上衝の病に対する病名もあります。

このような症状に使う漢方薬は平肝作用の<抑肝散>や、気逆を軽減する<苓桂味甘湯>などいくつかがありますが、長期の症状ですので改善には時間を要します。