若者の事件に思う

先日来テレビで報道されていました学習塾講師の殺人事件は、当店のすぐ近くの出来事でした。

当日朝、電車に乗ろうと道路を歩いていると、けたたましいサイレンを鳴らしながらパトカーが暴走?していて、付近走行中の運転手も驚くほどでした。そして後で知ったのがこの事件。学習塾で大学生のアルバイト講師が小6の女児を刺殺した、それも計画的な犯行だったとか。

その後来店されたお客様の話で、息子さんが日ごろはおとなしいが、突然暴力的になることがあり、自分の子供と重なって見えると言われていました。

この息子さんは30歳過ぎで、仕事はまじめで、頭も良くて、国家試験を受けようと勉強している方なのですが、家では話の中のちょっとした言葉で急に激高して暴力を振るうときがあるといって、2ヶ月前にお母さんが相談に来られたのです。そして、本人も治したいと思っておられましたので、漢方薬の漢方薬Y>を使っていただきました。

そして1ヶ月経過したころから暴力はなくなり、2ヶ月後には中断していた勉強を再開しようという気になり、ずいぶん落ちついてこられました。

最近の20~30代の方によくみられるケースは、まじめで、外部でストレス発散ができず、家庭で大声をあげ、暴力をふるう、泣き喚くなど、友達や同年代とのかかわりが少なく、母親の過保護が続いていて、独り立ちや成長が出来ていないという方が男女ともに多いことです。

こういった事件をきっかけに、スクールバスの増加や、家庭の過保護、遊び場の減少、登下校時の子供どおしの遊びがますます減ることにより、この子供らが大人になった時に人間関係をうまくもてない人間になるのではと心配されます。

昔のように、子供が安心して遊べる社会を取り戻したいものです。

水分の取り過ぎ

「1日に2Lの水分をとって下さい」、という話をテレビや医師から聞いて実行している方は以外に多いです。

しかし、人によって必要な水分量があるので、一律に2Lというのは問題があると考えます。夏は発汗するので多くとりますが、冬は少なくて良いのは自然の道理です。

漢方では水が身体に滞っていることを『水滞』とか『水湿困脾』とか言い、どこに溜まったかによって対応も変わります。

23歳女性、冷え症と脚の浮腫が悩みで相談にこられました。まずは水の量を聞くと、やはり2Lを飲んでいるとのこと。整体の先生から言われているということで、水を減量するよう説明してもなかなか信じてもらえませんでした。

70歳男性、暑い仕事を長年されていて水も多く飲む習慣ができていました。そのためか、鼻水やくしゃみが多く、ひどいときだけ<小青竜湯>をつかっておられました。また糖尿病もあり、眼の検査を受けたところ、白内障以外に、眼底に白い斑点があるのが見つかりました。さらに再検査により、眼底の腫れ物と水滴?が付いているという診断を受けました。そういえば少し前から涙が出るのがひどくなって来ていました。

これらはまさに水が身体からあふれている状態です。出る部位は異なりますが、水分の改善でよくなる症状は多々あります。もう一度見直してみて下さい。

漢方だけですべて治る??

ホームページをご覧になって、毎日様々な相談があります。

その中でも、西洋医学で病気とされないもの、例えば冷え症などは漢方が得意とする分野です。また、病院の治療を受けているが、症状が改善されないものは、漢方を併用することでよくなるケースが多々あります。

しかし、病院の検査を受けず漢方だけで治したいという方もあります。胃痛や胸痛の方は、単に痛みだけ改善すれば良いというものでなく、その裏に隠された疾患、例えばガンや心臓疾患を見逃さないように、必ず検査を受けていただいています。癌の相談も多くあり、漢方や健康食品だけで治らないですかという方もありますが、先ずは西洋医学的治療が優先するものと考えます。

最近、中国から漢方薬や食品を通販で買っておられる方の話を聞くことが多いのですが、みなさん『西洋医学の治療はやめて、これだけにしてください』とか『○○さんがこれだけで良くなりました』とか言われているとのことです。それだけで治る保障もないのに、無責任な発言をするものだと怒りを感じます。

中国の中医薬大学附属病院でも、ほとんどが<中西医結合>といって、中医学と西洋医学の特徴を生かし、補い合う治療をしています。日本でも<東西合作医療>といって、漢方と西洋医学の両面から考えるのが基本と思います。

漢方や健康食品だけですべて治るという幻想は捨てて、理性的な対応をされることが肝心です。

口臭の話

口臭の相談を時々受けます。

この悩みは他人に聞きにくく、せいぜい聞けるとしたら子供程度でしょうか?そのため一人で悩んでいるという方が多いのです。

ところが実際は気にしている人ほど口臭がなく、逆に他人を気にしない人ほど、実は口臭がするというケースがあるのです。

気にしておられる方が来店されて話を聞いていると、ほとんどの方で口臭がしません。他人に言われたとか、周りの人がなんとなく避けるとかで、すごく神経質になっておられるのです。

まずは「大丈夫ですよ」からはじまり、体調をお聞きし、他に問題がなければ<クマザサ・エキス>を飲んでいただきます。これは、効能書きでは口臭・体臭・疲労回復などがありますが、それ以上に『これを飲んでいると良くなるんだ』と納得してもらうためです。

何も使わなければ、お客様はかえって不安になりますので、長期に渡って安心して使えるものとしては、クマザサのように自然のものがオススメです。

サージの効果

最近、雑誌かチラシで見られたのか、サージ(サジーともいう)の問合せがあります。内容はサージで代謝を上げてダイエット効果があると聞いたのですが、どれくらい減量できますかというもの。

サージは天然のグミ科の植物の実で、ビタミンやミネラル、アミノ酸などが豊富な食品で、当店でも人気の商品なのです。なぜ人気かというと、ビタミンが豊富で肌が美しくなる、またフラボノイドが多く、スポーツや山登りのときにお勧めなのです。

こういった使い方はするのですが、ダイエット効果は疑問に思っていました。そこで詳しく聞いたところ、この商品を買うときに他のダイエット関連商品を一緒に買わされたとか! 占めてウン十万円らしいです。

サジーの目新しさでダイエット食品を売るというやり方はひどいものですね。これからのボーナスの時期、<売ればよいという商売>にくれぐれもご注意ください。

風邪のご相談

昨日から雨混じりの雪が降っていたのですが、京都市の北部では今朝で5センチの積雪がありました。

京都の街中は名物?『京の底冷え』状態です。そのため風邪の相談が続いています。

不妊症の治療中のHさん、現在は卵胞期でそろそろ排卵の時期になり、人工授精を予定されているのですが、あいにく風邪をひかれ相談に来られました。前回も風邪のため不妊治療がうまくできなかったので、今回はすぐに治したいとの事。しかし大事な時期なので、西洋薬は使いたくないのです。

Hさんの症状は、鼻水がでて、咽がチクチク痛く、少しゾクゾクと寒気がするというので、<麻黄附子細辛湯>を3日分使っていただくことにしました。

不妊治療中の女性の場合、月経後期や排卵期前後に体調がくずれやすくなり、風邪症状がよく出ます。また、妊娠中の女性は、西洋薬が使えないケースが多く、風邪には漢方薬が安心してお使いいただけます。

ホルモンの働き

今日は恒例の社内研修会、著名な内科医を講師に「内分泌=ホルモン」の勉強をしました。

人間の生命を司るのは心臓のように思いがちですが、すべての臓器の働きをコントロールしているのは実はホルモンなのです。そのコントロール・センターが<視床下部ー脳下垂体系>で、脳のど真ん中にあります。

この小さな器官から分泌される各種刺激ホルモンが、副腎や甲状腺や卵巣などの<ホルモン分泌器官>を刺激し、それぞれのホルモンが分泌され、全身の働きを調整しているのです。目には見えないところで大変な仕事がなされていることに人体の神秘を感じます。

高血圧、低血圧、肥満、むくみ、不妊、発達成長、血糖値、心拍などなど、ほとんどの作用にホルモンが関わっているのがわかりました。

漢方では西洋医学的なホルモン分泌をあまりを意識しませんが、部分的な治療でなく、全身の状態を捉える漢方の考え方は、結果としてホルモンバランスを整えているように思います。部分的治療でなく全身の調整の大切さを学びました。

そんな勉強をしていたら、久々にホルモン料理を食べたくなりました?!。

甘草による偽アルドステロン症

漢方の副作用?で時々起きるのは、甘草による<偽アルドステロン症>です。

一般的には甘草を含むものを大量、または長期に服用すると、成分のグリチルリチンによって全身に浮腫が生じ、体重も増えて、血圧が上昇するというものです。

漢方薬に配合されている甘草の量は、1日量3g(グリチルリチンとして120mg)以下がほとんどで、標準量の使用で問題が発生することはほとんどありません。しかし、まれに甘草アレルギーを持っている方は、例えば風邪で<漢方薬K>を少し飲んだだけでも浮腫を生じるという場合があります。

気が付いた時点で服薬をやめれば、浮腫は徐々に引いていきますし、また利尿剤を使えば早く改善します。当店では過去に3例の経験があり、いずれも<漢方薬T>などでスムースに改善しました。

漢方薬も使い方を自己判断しないで、必ず薬局などで相談の上お使いになることが必要です。また何か変化が生じたときは早く対応することが肝心なのです。

小児の蕁麻疹

乳幼児は食物アレルギーを起しやすく、それ以降アレルギー体質になりやすいのです。

中医学では、小児の特性として<二余・三不足>といって、五臓のうち<心、肝>は余りある状態であり、<脾、肺、腎>は不足するといいます。

その意味は、<心>や<肝>が余るというのは、日常でもいう肝の虫が強い、興奮しやすいというような意味です。ところが<脾>や<肺>や<腎>が不足すると、オーバーワークになったとき、処理しきれないということです。つまり、新しい食べ物で消化吸収がしきれなくなるとアレルギーを起す、急に気候が変化すると咳をする、風邪を引きやすい、体力がないなどです。これらの大人と違う点に注意することが必要なのです。

3歳の男児 Kくん、8月にいろいろなものを食べた日があり、アレルギーを起こし蕁麻疹が発症しました。病院でもらった抗ヒスタミン剤で落ち着いたものの、10月から再び蕁麻疹が出没するようになり、検査をするとアレルギー抗体のIgEが高くなっていました。耳鼻科でもらった薬を飲んでもアレルギーを起こし、薬も飲めなくなってきて、漢方を求めてこられました。

食物によりアレルギー性皮膚炎やアトピー症状を起す子供も多いのですが、慢性的蕁麻疹になる子供もあります。根本治療は消化器を強めることで、<漢方薬S>等を使っていただきました。また、食事上の注意を説明し体質改善を行っています。

両親がアレルギー体質の場合は特に子供さんに注意してあげて下さい。

耳閉感の漢方

耳閉感が生じる疾患はたくさんあります。

突発性難聴、中耳炎、耳管狭窄症、メニエール病などで、最も多いのはメニエール病に伴うものです。この場合、西洋医学では利水剤系の薬などが使われます。しかし、それでも改善しないので漢方を求めて来られます。

この時点では、すでに耳鼻科に行かれて検査も診断も済んでいますので、他の疾患の心配はすることなく、発症した原因やそれまでの経過、現在の状態、その方の体質などでお薬を決めます。経験的にはストレスによる<気滞>が原因となっているケースが大半です。

51歳女性 Tさん、昨年5月に耳鳴りと難聴を発症。さらに年末からは家庭の事情で忙しくなり、その頃から耳閉感が生じてきました。耳の中でバリバリという音がしたり、頭痛がや肩こりもありました。

これはストレスによるものと考え、安神作用の<帰脾湯>や、疎肝剤を使いました。また、漢方でいう「気滞血お」=すなわちストレスによる血流悪化もあり、活血作用の<冠元顆粒>を併用することで、頭痛や肩こりはほとんどなくなりました。耳閉感に対しては<漢方薬K>に変更することで、改善の経過をたどっています。