今年初めての山菜採り

雨後の筍と言われるように、雨が降った後は植物が一斉に芽吹きます。

ちょうど気温も暖かくなってきたので、今年初めての山菜採りに行って来ました。幸いにもタイミングよく、まだ誰も山に入っていない早朝、ウグイスのさえずりを聞きながらワラビを摘んできました。

ワラビは成分のビタミンB2が体内の過酸化脂質をできにくくし動脈硬化の予防に働き、豊富な食物繊維が腸の働きを良くし、カリウムがナトリウムを排泄して血圧を安定するなどの効果が期待できます。と言っても少しぐらい食べても効果はないでしょうが・・・。また、ワラビは発がん性があると言われますが、あく抜きをしたものは問題ありません。

栽培ものでなく自然生えは香りも強く、漢方ではこの香りが<行気薬>として気のめぐりを良くすると言います。

この時期は自然に入って、山菜採りをお楽しみください。

 

幻覚や幻聴

頻度は少ないですが、統合失調症や認知症の方で<幻覚や幻聴>の相談にこられるケースがあります。

当然病院にて診断され、治療を受けておられるのですが、服薬によって眠くなることを改善したいとか、さらに良くなりたいと思われて来られます。

2年前に来られた30歳のMさん、周囲の声が気になる、イライラするなどの症状で病院からの薬を飲まれていましたが、漢方薬も併用したいと来られました。最初は<抑肝散>や<エゾウコギ含有健康食品>をお使いいただいたところイライラは改善してきたのですが、プレッシャーがかかると幻覚が出るというので<甘麦大棗湯>に変法し、継続していただきました。そして10ヶ月でほとんど改善し、その後は1日1回の服用でも悪化することなく過ごしておられました。

ところがこの春、仕事の状況が大きく変化し、ストレスが増えるとともに再発したため、再びしっかり漢方薬を服用していただくことになりました。あわせて、ストレス源を軽減するように進めていただいています。

ストレスの多い社会だけに、再発を避けることが難しいものと感じています。

三谷和合先生のこと

昨日の続きですが、ご講演されました三谷和男先生のお父様・三谷和合先生はすでに亡くなられていますが、江戸時代~明治にかけての漢方の大家『浅田宗伯先生』の流れをくむ漢方界では著名な先生でした。

また舌診の大家でもあり、舌診は瞬間芸で、長い間舌を出していると状態が変化してしまうので、瞬間にとらえて判断する必要があるとのことでした。

さらに先生は加賀屋病院の院長として、地域に根ざした地域住民のための医療を実践されていた、立派な先生でした。

ずっと前に、病院内の勉強会に参加させていただき、漢方理論だけでなく、和合先生のお考えの一端を学ばさせていただきました。先生は『病気でなく、病人をみる』とも言われていました。単に病気に囚われるのでなく、環境も含めその患者さんのすべてを見るということだと思います。

懐かしくもあり、改めて漢方について考える機会でもありました。

漢方薬とメタボリックシンドローム

先の日曜日は京都府薬剤師会主催の公開講座『漢方薬とメタボリックシンドローム』を聞いてきました。講師は京都府立医科大学の三谷和男先生で、病院での漢方相談の話も交えてわかりやすい内容でした。

特にメタボの話の根源は<食>にあり、<食養生>が基本となります。中国の紀元前の書物『周礼』によりますと、当時の宮廷に使える医者は「食医」「疾医」「傷医」「獣医」の4つの位に分けられていて、この中で、「食医」が最高位で「正しい食事を摂って病気を治す」ということを行っていたようです。それほど食が大切であることを改めて考える機会となりました。

そして先生は、病の多くは胃腸機能と自律神経に関連していて、これを正常な状態に正すことが治療に繋がるとのことでした。

メタボの漢方薬としては<防風通聖散>が一般的によく使われているが、日本人の現状から見るとむしろ<防己黄耆湯>が適する人が多いように思われるとのことでした。

また、江戸時代に書かれた書物『養生訓』の一部を紹介されながら、漢方治療ではまず養生の話から始めて、どんな養生がその患者さんに必要かを指導することが肝心ということでした。こういった考え方が大変勉強になりました。

銘酒をいただきました!

遠方から京都にお越しになり、そのついでに当店に立ち寄られる方はたくさんおられますが、その後も来るたびに立ち寄っていただけることはとてもうれしいものです。

昨年2月、京都観光にお越しになった東北のTさんは初めて当店に立ち寄られ、7年間続いているめまいの相談を受けました。その後は症状の変化をお聞きしながら<沢瀉湯>などを調合したお薬を毎月発送していましたが、4ヶ月後からめまいは改善し始め、薬を飲み忘れる日も有るほどまでになりました。

そして、先日1年ぶりにお越しいただき、手土産に銘酒をいただきました。ちょうど京都は桜が満開の季節、楽しい観光をされたことと思います。ありがと うございました。

インフォームド・コンセント

この意味はご存知の方も多いと思いますが、医師が患者に診療の目的・内容を十分に説明して、患者の納得を得て治療することです。

最近医療事故や医療ミスによるトラブルや訴訟が増えるため、産婦人科や外科の医師を志望する医学生が減ってきているとも聞きます。そしてこの問題を避けるべく、以前は文書や説明が行われていましたが、最近はビデオやDVDを使って、治療内容が理解しやすくなってきています。

優れた病院ほど、これらのシステムが出来上がっているようです。病院も大変な時代といわれますが、患者の立場を大切にする病院だからこそ患者が集まるのでしょう。

当然のことですが、わが身に振り返って考えさせられました。

子供の花粉症が増加!

日本テレビの番組によりますと、東京都内の小学校で4年生クラスを調査したところ、39人中14人が花粉症を発症していたとのことです。確かに近年、子供のアレルギー性鼻炎や花粉症が増えていることは実感します。

番組では都内の教師や医師の話でも、増加してきているとのコメントがありました。子供の発症数増加は、単に花粉飛散量の増加だけでは説明しきれず、明確な原因は不明とされていますが、漢方的な捉え方では、生活の変化や体質の変化、それに伴う免疫異常が関連しているのではと考えます。

加工食品や添加物の問題などが健康にどのように影響しているかが明らかになるのは、子供が成人になる以上の時間、例えば20~30年の検証が必要かと思います。便利な生活の裏側には危険なものが付きものかと思わざるを得ませんでした。

桜皮のはなし

桜の季節がやってきました。

<桜の花>を愛でる以外にも、桜の花びらを塩漬けにした<桜茶>や、桜の葉を巻いた<桜餅>などがよく知られていますが、漢方では<桜皮・オウヒ>を使います。

桜皮にはフラボノイドのサクラニン、サクラネチンなどが含まれ、蕁麻疹や腫れ物などの皮膚病の治療に用いられます。桜皮が含まれる漢方薬は<十味敗毒湯>で、ニキビや湿疹などによく使います。

でも、勝手に桜の皮は取らないでください。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」というように、桜は切られるとそこから腐って枯れる心配があるのです。

鼻水とくしゃみに

花粉が飛散し始め、花粉症の方にはつらい日々のことと思います。

34歳の女性Kさんは、アレルギー性鼻炎で昨年10月に初めて相談に来られました。鼻水、くしゃみ、のどの痒みなどがあったので、体質改善薬で衛気を高める<衛益顆粒>をお使いいただきました。

その後来られなかったのですが、今年2月に再来されたとき「うそのように鼻水とくしゃみがなくなりました」といわれ、今年の花粉症の予防に再び求めていかれました。

そして昨日、やはり<衛益顆粒>を飲んでいるとほとんど症状が出ないと言われていました。個人差はあるものですが、Kさんにはピッタシだったようです。

冠元顆粒の作用

83歳のKさん、10年前に脳梗塞を起こされ、それ以来再発予防に<冠元顆粒>を1日1包使っておられたとのことでした。

そして<冠元顆粒>を眠前に1/2包飲むと良く寝られるとも言われています。一時は睡眠剤も使われていたのですが、朝まで薬の作用が残ってボーっとするので、漢方薬Kを眠剤代わりに使ってみたところ調子が良かったので、それ以来続いているとのことでした。

すべての人にこのような効果があるわけではないのですが、時々同じケースがあります。いわゆる<お血体質>の方には、<効能外の様々な効果>が出るのも漢方薬の特徴です。