病が病を生む

様々な相談を受けるとき、お客様の心の状態を考慮して話す言葉を選ぶのですが、とにかく元気をつける! 良いほうに解釈する! ことに努めています。

私どもは結構時間をかけて話をしますが、病院などでは忙しいため、しっかり話をされる医師が少なく、患者に誤解を与えているようなケースもあるようです。

今日こられたお客様の話・・・。

めまいを起こして気分が悪く、食べられなくなったので、いつもの医師のところに行かれました。そこではこれは脳梗塞の前兆だといわれ、様々な検査を受けられたのですが問題はなく、不安感だけが残りました。

それ以降、血圧が高くなるときがあり、気になって医師に相談したら、毎日2回測って記録するようにとのこと。そして、血圧を測ろうと思うとドキドキし、血圧も不安定になりがち。

このデーターを医師に持っていくと、降圧剤を使いなさいといわれると思うと苦しくなってきたとのこと。

当店に来店され、血圧を測り、話を色々と聞いてあげると安心されて帰られました。

忙しいといえども、患者を不安に思わせるような話し方をされるのは感心しませんね。

アガリクスの安全性について

昨日のニュースで、アガリクス製品の発ガンプロモーション作用が認められたとの報道がありました。この中では、3社の製品を対象に試験が行われ、そのうちの1社に問題があったとのことで、他の2社は発がん性はないが、その他の継続試験中のようです。

アガリクスは日本でも使用の歴史は古いほうで、多分30年弱使われてきたと思います。当店も最近は使用量が少なくなりましたが、現在はブラジル産の乾燥品のみ扱ってきています。しかし最近は健食ブームで様々な形のものが販売され、元の形のままのものが少なくなりました。

漢方薬でも同じことが言えますが、飲むのが便利な錠剤が普及していますが、薬効を考えるとやはり煎じ薬がお勧めです。加工することによって生薬の効果が変化するだけでなく、各種添加物も使う必要が発生します。

今回のアガリクスの問題は、その原因がどこにあるか容易には突き止められないと思いますが、考えられることはアガリクスそのものの問題より、

アガリクスの栽培地

栽培環境、

錠剤などへの加工方法

加工時の添加物

などに問題があるのではと、個人的には考えます。

産地や栽培条件が安全なアガリクス乾燥品を使うこと、すなわち原点に戻る、昔に戻ることが安全の近道ではないでしょうか。

オリンピックと冬虫夏草

待望のトリノ冬季オリンピックが始まりました。日本の選手団も強くなり、楽しみがいっぱいですね。

さて、オリンピックと言うと、1990年代の中国女子陸上選手のめざましい活躍が思い出されます。このときの馬コーチが率いる馬軍団は、強化策として冬虫夏草を食材として選手に使い、記録が向上したということで有名になりました。

冬虫夏草は、チベットの高地などで採れるコウモリガの幼虫に寄生する菌類の1種で、日本でもよく使われるようになりましたが、漢方では昔から肺系の疾患に使われて来たものです。

当店の場合は、肺疾患の予後などの健康維持に食品として使っていただいています。

中国製ダイエット商品

以前にも警告をしていましたが・・・

中国製のダイエット漢方薬(漢方ではないのですが)を服用されている時期に妊娠した女性が、心配なのでと相談に来られました。

聞くところによると、整体をやっている中国人から買って飲んでいたとのこと。カプセルを飲むと心拍が上りドキドキし、身体は暑くなり、口が渇き、食欲も少なくなり、ダイエット効果はあったとか。

その間に予定しない妊娠がわかり、すぐやめたそうですが、それが胎児にどのような影響を与えるかは医師でも予測はできません。

中の成分は従来からよく使われて問題になっている<脱N-ジメチルシブトラミン>や<シブトラミン>の類似物質と思われます。

その方の話では、値段は安く、効果があると勧められ、安易に使っていたという事ですが、これらこそ徹底して取り締まり、事故を未然に防ぐことが行政に求められています。今春に薬事法改正が予定されていますが、国内の販売規制だけでなく、薬局や薬店以外で販売されている危険な医薬品流通をもっと取り締まるべきと考えます。

以下も参考にご覧ください。

天天素の事故  https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2005/05/post-5.html

中国製の精力剤  https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2005/11/post-148.html

七草がゆ

1月7日は七草の節句、お正月の締めくくりになる「七草がゆ」の日です。鎌倉時代から行われていたという邪氣を払う風習で、お正月で疲れたお腹を休める意味もあるようです。

七草はどこにでも説明されていますが念のため・・

せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ・・ですね。今はこれらの野草は取れないのでスーパーで買いますが、この日に限らず、いろいろな季節の野草を入れて薬膳粥を作ってみてはいかがでしょうか。

日本では風邪を引いたときなどにつくるとか、中国料理店で食べる程度ですが、中国では日常的にお粥をよく作ります。

朝の胃腸がまだ動いていない時に消化の良い粥を食べるのは道理にかなったものです。そして水分を含んでいるので、固形物が少ないのに結構お腹がいっぱいになるのが粥です。また、鶏肉や野菜など、何を入れても美味しいのがお粥です。ダイエットにも最適です。

最近は炊飯器もお粥モードがあったり、レトルト食品もたくさん出ていますが、米から炊く本格的なものでなくても、残りご飯を煮るだけでも充分おいしいお粥が出来ますので、日常的にも続けられます。

美食としてのお粥より健康食としてのお粥をぜひお勧めします。

新年のご挨拶

新年おめでとうございます。

さらなる漢方の普及と、皆様に少しでもお役に立てればという気持ちを新たにし、ブログを書いていきます。

今年もよろしくお願いします。

学業の神様・北野天満宮から

漢方ブログ

このブログを書き始めて7ヶ月余り、合計170件の症例や情報、雑感を書き綴ってきました。

漢方に関するブログを書いておられる方はたくさんおられますが、大変レベルの高い解説を書いておられる方から、私のように『飲んだ・効いた』タイプまで様々です。

私のブログに対するスタンスは、タイトルの通り<1日1善>であり、1人でも喜んでいただけたらというもので、学術的な解説をする目的ではありません。漢方がいろいろな症状に使え、それが「証」に合った時は即効性があり、難しいものでなく身近なものですよ、という意図で書いています。

したがって弁証(病気の原因分析)や論治(治療法を組み立てる)としては不充分な内容ですが、一般の方々にわかりやすく知っていただこう、難しくなりすぎてはいけないと考えています。

1年を振り返りこの業界の方から見ると稚拙なブログ、あるいはちょっと短絡的、とのご意見があるとは思いますが、あくまで<中医学と漢方の啓蒙>の立場で、<易しく>ということを来年も続けていたいと思います。

本年もありがとうございました。

病が病を生む

扁桃炎の相談にこられた女性Kさん、今年1月からの扁桃腺炎になり、耳鼻科で治療を受けられてはいるが、いつになっても治らないとのこと。

よーく話を聞いてみると、咽の奥に白い斑点がついていて、少し痛みがある、その後舌が赤くなり、味覚異常がでてきたとのこと。検査データでは味覚異常があるわけでなく、境界値程度です。医師からそういわれたので、そうなったようです。

そこで舌を見せてもらうと、舌の両側の広範囲に苔が無く、中医学で言うところの地図舌で、「気陰両虚」を示していました。心配性で、少し自律神経失調気味ということがわかります。

結局心配が心配を生んでいるだけですので、疎肝剤と、咽の痛みに使う<銀翹散>をお勧めしました。もしかすると薬はなくても、カウンセリングだけでも良くなるのかなとは思ったのですが、薬があるとご本人は安心されるので使ってもらうことにしました。

この経過を振り返ると、風邪⇒扁桃腺炎⇒舌炎⇒味覚異常⇒歯科という順に病気を作っているのです。最初の時のフォロー、患者に安心感や信頼感を与えることが出来なければ、不安になり、そして次の病気を生んでいくという悪いサイクルに陥っていくのです。

病気の方にはとにかく安心感を与えるようにすることが、薬以上に大切なことだと改めて考える機会でした。

若者の事件に思う

先日来テレビで報道されていました学習塾講師の殺人事件は、当店のすぐ近くの出来事でした。

当日朝、電車に乗ろうと道路を歩いていると、けたたましいサイレンを鳴らしながらパトカーが暴走?していて、付近走行中の運転手も驚くほどでした。そして後で知ったのがこの事件。学習塾で大学生のアルバイト講師が小6の女児を刺殺した、それも計画的な犯行だったとか。

その後来店されたお客様の話で、息子さんが日ごろはおとなしいが、突然暴力的になることがあり、自分の子供と重なって見えると言われていました。

この息子さんは30歳過ぎで、仕事はまじめで、頭も良くて、国家試験を受けようと勉強している方なのですが、家では話の中のちょっとした言葉で急に激高して暴力を振るうときがあるといって、2ヶ月前にお母さんが相談に来られたのです。そして、本人も治したいと思っておられましたので、漢方薬の漢方薬Y>を使っていただきました。

そして1ヶ月経過したころから暴力はなくなり、2ヶ月後には中断していた勉強を再開しようという気になり、ずいぶん落ちついてこられました。

最近の20~30代の方によくみられるケースは、まじめで、外部でストレス発散ができず、家庭で大声をあげ、暴力をふるう、泣き喚くなど、友達や同年代とのかかわりが少なく、母親の過保護が続いていて、独り立ちや成長が出来ていないという方が男女ともに多いことです。

こういった事件をきっかけに、スクールバスの増加や、家庭の過保護、遊び場の減少、登下校時の子供どおしの遊びがますます減ることにより、この子供らが大人になった時に人間関係をうまくもてない人間になるのではと心配されます。

昔のように、子供が安心して遊べる社会を取り戻したいものです。

漢方だけですべて治る??

ホームページをご覧になって、毎日様々な相談があります。

その中でも、西洋医学で病気とされないもの、例えば冷え症などは漢方が得意とする分野です。また、病院の治療を受けているが、症状が改善されないものは、漢方を併用することでよくなるケースが多々あります。

しかし、病院の検査を受けず漢方だけで治したいという方もあります。胃痛や胸痛の方は、単に痛みだけ改善すれば良いというものでなく、その裏に隠された疾患、例えばガンや心臓疾患を見逃さないように、必ず検査を受けていただいています。癌の相談も多くあり、漢方や健康食品だけで治らないですかという方もありますが、先ずは西洋医学的治療が優先するものと考えます。

最近、中国から漢方薬や食品を通販で買っておられる方の話を聞くことが多いのですが、みなさん『西洋医学の治療はやめて、これだけにしてください』とか『○○さんがこれだけで良くなりました』とか言われているとのことです。それだけで治る保障もないのに、無責任な発言をするものだと怒りを感じます。

中国の中医薬大学附属病院でも、ほとんどが<中西医結合>といって、中医学と西洋医学の特徴を生かし、補い合う治療をしています。日本でも<東西合作医療>といって、漢方と西洋医学の両面から考えるのが基本と思います。

漢方や健康食品だけですべて治るという幻想は捨てて、理性的な対応をされることが肝心です。