瞑眩(めんげん)と誤治(ごち)①

ここ数週間お腹の調子が悪いわたし。

お腹がグルグル鳴る、お腹が張る、腹痛。放屁等の症状。自分なりに弁証して漢方薬を選んでみると、「香砂六君子錠」があっていると判断し飲んでみました。漢方でいうところの「痰湿」をとる目的です。

実際、飲み始めるとお腹はさらにグルグル鳴って頻繁にトイレに走ることになった。むきになって飲み続けると、2日目ぐらいからはまったくお腹が張らず、グルグル音も出なくなりました。今思えば、予想通りとはいえトイレに走ることになっても漢方薬を止めずに飲み続けて良かった。あそこで止めていたらその後の改善は見込めなかったからです。その後は少量を続けて飲んでお腹も快調です。

漢方には治療中に一時的に病状が悪化し、その後に完全に回復するような状態を瞑眩(めんげん)と呼びます。

今回の例では、胃腸の「痰湿」の邪(害)を出し切る必要があるために一時的な症状の悪化が起こったのです。

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久しぶりのご来店

昨日は、ずっと以前にお越しいただいた方が再び来られるという嬉しい日でした。

1人目は女性のJさん、9年前にめまいの相談で来られ、短期間に改善して、それ以来年に何回か来られていたのですが、2年ぶりに少しめまいが再発し、<真武湯>を求めてこられました。

2人目の方は、8年前に子供さんのニキビで来られていたTさん、<荊芥連翹湯>を続けておられたのですが、今回はダイエット相談で4年ぶりにお越しいただきました。

そして3人目のTさんもお肌のトラブルで来られていたのですが、今回は2年ぶりにご主人の相談で来ていただきました。脂質肌のトラブルとのことで、体質から判断し、胃腸機能が関連していると捉え、健脾薬の六君子湯をお使いいただきました。

当店のことを覚えていただき、記録も残っているので、安心してお越しいただけることは嬉しいものです。

梅雨時期のめまい

お腹がゴロゴロ鳴る、微熱が取れないなどで以前から漢方薬をお使いいただいていた69歳のKさん、7月になって急にめまいが発症、外に出られないので電話で相談をいただきました。

症状は、下向いたり横になるなど、姿勢を変えるとめまいがするとのこと。Kさんは昨年5月~6月にも同様のめまいがあり、その時は<沢瀉湯>や<苓桂朮甘湯>などをお使いいただきました。いわゆる水毒が原因のめまいです。梅雨時期は湿度が高く、体内でも水分が滞ってむくみやめまいを生じやすいものです。

Kさんは幸いにも昨年の薬が手元に少し残っているようでしたので、早速服用していただきました。めまいを起こす方は、自分に合った薬を持っておかれると早く対処でき、改善も早くなりますので、常備薬を持たれることをお勧めしています。

長期間続くめまい

めまいの症例はたくさん書いてきましたが、いずれも引き金になったことや原因を探ることで、改善の方向が見えてきます。

37歳の男性Tさん、昨年8月以来8ヶ月間、朝起きて動き出すとフワフワし、足がよろける感じが毎日のように続いていました。もちろん、脳検査や耳鼻科での検査などすべて受けてきましたが特に異常は認められず、漢方薬での改善を訪ねてこられました。

そこでまず発症した時のことやきっかけを訪ねましたが、特に何も変わったことなく突然に生じたとのことでした。体質判断や、頭冒感、動いて悪くなるなどから水毒によるめまいと考え、<沢瀉湯>などをお使いいただきました。

2週間後、ふらつきの回数は軽減し、頭が重い感じもなくなりました。そこで改めて発症時期の話をお聞きしたところ、健康のために毎日歩き始めたので、アイスコーヒーを毎日たくさん飲んでいたことを思い出したとのことでした。やはりここに原因があったようです。まだ寛解まではいきませんが、改善の方針が決まり安心されていました。

相談の中で原因を早く捉えることの必要性を痛感しました。

再び 男性のめまい

56歳の男性Tさん、タバコをやめられてから水をよく飲むようになり、仕事中もイライラするとすぐ水を飲む習慣があり、大きなペットボトルを傍においておられました。
そして、すこし前からなにかフラフラすることが多く、特にビールを飲んだときに酷くなるとのこと。明らかに水毒によるめまいで<沢瀉湯>をお使いいただきました。

もう一人の方、34歳の男性Mさん、仕事が忙しく、飲む機会も多く、また以前より腎臓や肝臓機能が低下していて、むくみが酷いので相談にこられました。そこで<茯苓飲>や<五苓散>をお使いいただき、皮膚のツッパリは改善してきたのですが、今度は強い目まいを起こされ病院に運ばれたとか。体重は85Kgで、やはり水分を多く取られていて、<水毒>が原因になっていると考えられます。

同様に<沢瀉湯>をお使いいただきました。

夏は汗をかくので水分は多めにとる必要がありますが、秋になり汗をかかなくなると摂取する水分も減らすべきです。高齢者で梗塞を心配される方は水分を必要としますが、それ以外の方はほとんどが摂取過剰で、それが胃弱や目まいの原因となっています。

男性のめまい・ふらつき

めまいやふらつきは圧倒的に女性に多いのですが、男性では水分摂取過剰の方に多く見られます。

Tさんは不安症で抗うつ剤など西洋薬を服用されていて口渇があり、よく水を飲んでおられました。また運動も少ないためか中性脂肪も高めで、医師からは血液が粘らないようにしっかり水を飲んでくださいと言われていました。そこで毎日1リットルのボトルで飲んでおられたところ、最近フラツキが多くなり、相談にこられました。

これは明らかに<水毒>によるもので、<五苓散>などで口渇を軽減し、水はけを良くすることで改善してきました。

西洋医学では水分を多く摂るように言われますが、個人差があり水毒体質の方は控えることが大切です。西洋医学では個人の適正量を指導することはありませんが、漢方では舌診によって水分適正量を判断できるのが特徴です。

暑いと発症するめまい

めまいの症例はたくさん書きましたが、少し変わったタイプのめまいを紹介します。

27歳の女性Wさん、回転性のめまいが時々起こると相談に来られました。

体質は色白で冷え症、肩こりがあり、緊張しやすく、デリケートで、回転性のめまいは半年に一度程度ですが、普段はクラッとするような感じで治まります。

また、疲れやすい、午後に多い、などをお聞きし<気虚>と<水湿>と捉え、半夏白朮天麻湯や釣藤散などを順次お使いいただきましたが、4ヶ月間変化が見られないままでした。

今までは、めまいは2週間~1ヶ月で改善するものと自信を持っていただけに困り果て、最初から考え直すことにしました。そして初期の頃から訴えられていた<暑いと調子が悪くなる>、<冷え症なのに身体が熱い>という言葉をヒントに清肝瀉火の<竜胆瀉肝湯>を使ったところ、ようやく改善傾向が見られました。

<竜胆瀉肝湯>は<肝火上炎>や<肝胆湿熱>などに使う漢方薬で、Wさんのようなタイプには適しないと思われるのですが、結果から見るとちょうどよかったようです。

表に出ないイライラやのぼせがあるのを聞き出せていなかったのか?と反省し、お客様を通じて学ぶことができました。

めまいにはやっぱり漢方!

めまいの話は何度も書いていますがやはり漢方が得意とする分野で、短期間で改善します。

75歳のSさん、突然の回転性めまいが起こり、病院で手当を受けたが良くならず、娘さんが相談に来られました。まだ家の中を歩くのもフラフラして怖とのこと。

体格は普通で、特徴的なことも少ないのですがただひとつ、極度に冷え症で夏も身体の芯が冷たいということでした。

そこで、当面の症状を改善する利水作用の<沢瀉湯>と<腎陽虚>を改善する<真武湯>を5日分使っていただきました。その結果、すっかり良くなり身体もしっかりしてきたとのことでしたが、今後が不安なので<真武湯>を継続していただいています。

高齢者や体力低下、冷え症の方のめまいには<真武湯>がピタリと効きますが、今回も予想通りの結果で喜んでいただきました。

回転性のめまい

「気うつめまい」と「水毒のめまい」が重なっているようなめまいの方もあります。

29歳の女性Sさん、5年前に仕事が変わったとき初めてめまいを経験されました。病院ではストレス性と診断されて、服薬後改善していました。また、妊娠中は起こらず、出産後に起こるとのこと。疲れても悪化するという回転性めまいが続いていました。

そこでいろいろと調べられ、<加味逍遥散>や<半夏白朮天麻湯>などを指定され、試して見られましたが改善せず、相談にこられました。

詳しく状態をお聞きしたところ、確かにストレス性もあるのですが、胃もたれや、頭痛、吐き気などもあり複雑な状況があったので、とりあえず<回転性めまい>ということで<沢瀉湯>と<加味逍遥散>をお使いいただきました。

以前の<加味逍遥散>単独では全く効果がなかったのですが、今回は1週間ぐらいでめまいの頻度は少なくなり、少し楽になったと喜んでいただきました。頑固なめまいには、いろいろ考える前に<沢瀉湯>を使ってみるとよいことを再認識しました。

気うつめまい

昨日に続き、めまいの例です。

28歳の女性Yさん、2ヶ月ほど前にバスに乗った後からいつもめまいがするようになり、フラッとしたりムカムカの状態が続きました。そこで近所で求められた<漢方薬R>を服用されたのですが、改善の傾向なく遠方からの電話相談をいただきました。

お聞きした様子では、不安感や動悸もあり、以前にもパニック障害を経験したとのこと。

これは漢方でいうところの<気欝めまい>と捉え、なにか精神的な要素がかかわって発症しているのではと考えました。そこで化痰降逆作用の<半夏厚朴湯>を中心にした漢方薬を2週間お使いいただきました。結果、10日経過したところでお電話をいただき、めまいはずいぶん楽になったとのことでした。

この薬は半夏の化痰・降逆作用と厚朴の行気解欝作用が中心で、気分的要素のあるめまいにはとても良いものです。