暑いと発症するめまい

めまいの症例はたくさん書きましたが、少し変わったタイプのめまいを紹介します。

27歳の女性Wさん、回転性のめまいが時々起こると相談に来られました。

体質は色白で冷え症、肩こりがあり、緊張しやすく、デリケートで、回転性のめまいは半年に一度程度ですが、普段はクラッとするような感じで治まります。

また、疲れやすい、午後に多い、などをお聞きし<気虚>と<水湿>と捉え、半夏白朮天麻湯や釣藤散などを順次お使いいただきましたが、4ヶ月間変化が見られないままでした。

今までは、めまいは2週間~1ヶ月で改善するものと自信を持っていただけに困り果て、最初から考え直すことにしました。そして初期の頃から訴えられていた<暑いと調子が悪くなる>、<冷え症なのに身体が熱い>という言葉をヒントに清肝瀉火の<竜胆瀉肝湯>を使ったところ、ようやく改善傾向が見られました。

<竜胆瀉肝湯>は<肝火上炎>や<肝胆湿熱>などに使う漢方薬で、Wさんのようなタイプには適しないと思われるのですが、結果から見るとちょうどよかったようです。

表に出ないイライラやのぼせがあるのを聞き出せていなかったのか?と反省し、お客様を通じて学ぶことができました。

めまいにはやっぱり漢方!

めまいの話は何度も書いていますがやはり漢方が得意とする分野で、短期間で改善します。

75歳のSさん、突然の回転性めまいが起こり、病院で手当を受けたが良くならず、娘さんが相談に来られました。まだ家の中を歩くのもフラフラして怖とのこと。

体格は普通で、特徴的なことも少ないのですがただひとつ、極度に冷え症で夏も身体の芯が冷たいということでした。

そこで、当面の症状を改善する利水作用の<沢瀉湯>と<腎陽虚>を改善する<真武湯>を5日分使っていただきました。その結果、すっかり良くなり身体もしっかりしてきたとのことでしたが、今後が不安なので<真武湯>を継続していただいています。

高齢者や体力低下、冷え症の方のめまいには<真武湯>がピタリと効きますが、今回も予想通りの結果で喜んでいただきました。

回転性のめまい

「気うつめまい」と「水毒のめまい」が重なっているようなめまいの方もあります。

29歳の女性Sさん、5年前に仕事が変わったとき初めてめまいを経験されました。病院ではストレス性と診断されて、服薬後改善していました。また、妊娠中は起こらず、出産後に起こるとのこと。疲れても悪化するという回転性めまいが続いていました。

そこでいろいろと調べられ、<加味逍遥散>や<半夏白朮天麻湯>などを指定され、試して見られましたが改善せず、相談にこられました。

詳しく状態をお聞きしたところ、確かにストレス性もあるのですが、胃もたれや、頭痛、吐き気などもあり複雑な状況があったので、とりあえず<回転性めまい>ということで<沢瀉湯>と<加味逍遥散>をお使いいただきました。

以前の<加味逍遥散>単独では全く効果がなかったのですが、今回は1週間ぐらいでめまいの頻度は少なくなり、少し楽になったと喜んでいただきました。頑固なめまいには、いろいろ考える前に<沢瀉湯>を使ってみるとよいことを再認識しました。

気うつめまい

昨日に続き、めまいの例です。

28歳の女性Yさん、2ヶ月ほど前にバスに乗った後からいつもめまいがするようになり、フラッとしたりムカムカの状態が続きました。そこで近所で求められた<漢方薬R>を服用されたのですが、改善の傾向なく遠方からの電話相談をいただきました。

お聞きした様子では、不安感や動悸もあり、以前にもパニック障害を経験したとのこと。

これは漢方でいうところの<気欝めまい>と捉え、なにか精神的な要素がかかわって発症しているのではと考えました。そこで化痰降逆作用の<半夏厚朴湯>を中心にした漢方薬を2週間お使いいただきました。結果、10日経過したところでお電話をいただき、めまいはずいぶん楽になったとのことでした。

この薬は半夏の化痰・降逆作用と厚朴の行気解欝作用が中心で、気分的要素のあるめまいにはとても良いものです。

水毒とめまい

遠方よりお越しの57才男性Tさん、7年前に回転性のめまいを起こしメニエールと診断されて以来、時折フラッとするめまいが続いていました。めまいの時は少し休むと治まりますが、長期間にわたるので相談に来られました。

体格は立派な方で、首が凝り、後頭部痛があり、めまいの時は吐き気や下痢があるとのこと。そこで水毒と考え、水分をさばく利水作用の<沢瀉湯>と後頭部の緊張をとる平肝作用の<釣藤散>を使っていただきました。

1ヵ月後、めまいは軽くなり、また頻度も少なくなりました。その後少し薬を変えながらも3ヶ月、現在順調に経過しています。水分をたくさん摂られているわけではないのですが、長い間にたまった水分が災いしているように思われます。

肩こりとめまい

肩こりの話やめまいの話は何度も書いていますが、この2つの症状ともある方は、ほとんどが血流の悪化が原因となっているようです。

54歳の女性Tさん、血圧が高く、肩こりがひどく、時々めまいがする、睡眠時にザーという耳鳴りがするなどで相談に来られました。体格は少し小太りで、この10年間に7Kgも増えて血圧も上がってきたようです。また、めまいの状態は『フーッと気が遠くなるような感じ』とのこと。

そこでめまいの原因と思われる脳血流の悪化を改善するよう、活血作用の<冠元顆粒>と、肥満の改善をはかるため<防風通聖散>を使っていただきました。

その後1週間程度で症状は改善し、2ヶ月経過した現在は全く症状が出ないとのことでした。肩こりの方のめまいは、この方のようなケースが多いようです。

水分過多によるめまい

またまた水分過多の関連ですが・・・

めまいの原因にはいくつかありますが、一番多くみられるのが頭部の水分異常によるものです。いわば頭の上に少量の水が入ったバケツをのせて頭を動かすと、水が左右に揺れるようにフラフラするのです。あるいは回転性のめまいはほとんどが水分の過多によるものです。

このとき使われる漢方薬は<苓桂朮甘湯>や<沢瀉湯>です。いずれも水分をさばく=余分な水分を減らす作用があり、これで改善するケースが多いのです。

めまいが短期に改善!

めまいの話は何度か書いていますが、先週も短期間で改善した例がありましたので紹介します。

45歳の男性Hさん、急な動き方をするとめまいを起こしそうで、ゆっくり歩いて相談に入って来られました。体格は肥満気味、水肥りで、6月頃~めまいがひどくなり、横揺れ氏、ムカムカし、耳閉感があり、頭重感があるとのことでした。

詳しく聞くと1日に3,5リットルほどの水分をとっておられ、明らかに水毒(湿困脾胃)状態でした。親が脳梗塞であったので、血液が粘るのを防ぐため多めに摂ってたとのことでした。

そこでまずは口渇をとめるために<五苓散>を使い、身体に溜まった<湿>をとるため清熱化痰作用の<温胆湯>を併用していただきました。あわせて水分摂取を極力減らすようにしていただきました。

1週間後に来店され、あれほど口が乾いていたのがなくなり、自然と水分が減り、めまいがほとんどなくなりました。すごい早い改善でしたがまだ完全ではないので暫く続けていただいています。

水毒によるめまいは、いつも早い改善が見られます。

特徴的なめまい

めまいの話は以前にも書きましたが、漢方薬はめまいに対してとても効果があります。
但しめまいのタイプや、その方の体質によって漢方薬は異なりますので、上手に使い分けることがポイントです。

65歳の男性Oさん、耳の奥に腫れ物があり、以前から中耳炎をよく起こしていました。昨年12月に回転性のめまいを発症し、病院に行って薬をもらわれましたが、10日後に再びめまいを起こし、漢方薬を求めて来られました。

発症したときの状態を聞くと、ムカムカ吐き気がし、実際に吐いたらめまいは急に治ったとのこと。これは明らかに<水滞>で、頭部の水分が多く、あふれているいる状態で、<半夏白朮天麻湯>をベースにお薬を調合し、使っていただきました。

それ以来継続されて6ヶ月経過しましたが、一度もめまいや中耳炎は起こっていません。あとは耳の奥の腫れ物がどうなっているか、近日中に頭部CT検査を受けられる予定で、小さくなっていることを期待しています。

男性のめまい

めまいの話は何度か書いていますが、女性の症例ばかりでした。

しかし、女性に限ったことでなく男性でもめまいは時々みられます。

64歳男性Oさん、以前から尿路結石で痛みが出たときに煎じ薬をお使いになっていたのですが、11月に突然回転性のめまいが起こり、耳も聞こえにくい状態になりました。

心配で病院で検査を受けたところ耳の奥に20mm以下の腫れ物があると言われました。これが原因ではないかとの診断がおりたようですが、切り取るわけにも行かず、漢方で対応をすることになりました。

この方は以前に中耳炎になったこともあり、元々「痰湿」体質であるとともに、前回めまいが起こった時に嘔吐したらすぐ治った、という特徴がありましたので、対応方法は簡単でした。

漢方薬は<半夏白朮天麻湯>をお使いいただきました。その後全くめまいは無くなり、ふらつくことも無くなって安心されました。来月に病院で再検査しCTをとることになっていますが、腫れ物も小さくなっているのではと期待しています。