難治性の湿疹 

皮膚病はほとんどが原因不明で、皮膚科にかかって湿疹と診断され、抗アレルギー剤や抗菌剤、軟膏などを処方されるケースがほとんどです。そして改善が見られないとき漢方を求めてこられます。

先日22歳の学生さんの例を書きましたが、その後順調に経過し、再発は見られません。
そこで、再び国家試験にチャレンジしたいが、またストレスによって湿疹が発症しないか心配で、本格的な勉強に踏み切れないとのことでした。

国家試験などは若い間しかできないハードな勉強ですので、思い切って再度取り組んでみることをお勧めしました。そのためにはストレスが直接身体に影響しないよう、疎肝剤や、リラックスハーブティなど、漢方ではいくつも対応する方法があることを説明しました。

結果はこちらも苦労することになるのかもしれませんが、若者の意欲を伸ばしてあげたい気持ちでいっぱいの結論でした。

ストレスと湿疹

湿疹の原因は様々で、なかなか治りにくいものや思わぬことで良くなるケースもあります。今日はその良いほうの症例です。

23歳の男子学生さん、胸部、腹部、腕、背中などに赤く小さな発疹がたくさん発生し、汗で悪化したり、食後やお風呂で温まった時に痒みが強くなり、睡眠中も引っ掻いているようでした。また便秘気味で、季節に影響すること、上半身に集中していることなどを考え合わせ、神経症状に使う<加味逍遥散>や、清熱作用で便通をよくする<清営顆粒>を使っていただきました。

14日後、少し熱っぽさは取れたものの湿疹は良くならず、さらに<黄連解毒湯>を加えて14日経過し、湿疹はすっかり消えてしまいました。

あまりの早さに驚き、詳しく経過を聞いたところ、難しい国家試験を受けるため無理してきたことが関連していたようで、テストが終わってから良くなって来たとのこと。漢方薬だけでなく、ストレスから開放されて、血熱がとれたことがポイントとなったようです。

ストレスが身体にいかに影響するかを学びました。

口周囲の湿疹

昨日の話にも関連しますが、先日中国におられる方と<skype>によるビデオチャットで対応しました。

32歳の女性Kさん、中国に留学中ですが、夏ごろに当地の果物をたくさん食べた後、口の周囲に湿疹が発症、赤く腫れて、ジクジクし、口唇の皮膚がめくれてくるというものでした。

その後日本に一時帰国し、医師の診察を受け、薬も服用されていましたが改善せず相談にこられました。

食物によるアレルギーだけでなく、ストレスによる肝熱と考えて、疎肝薬の<逍遥丸>や清熱解毒の<銀翹散>を使っていただき、小康状態を保っていましたが、その後再び中国に戻られた後、再度悪化。

そこでskypeによるビデオチャットで話しながら処方を検討し、衛気を高める<衛益顆粒>、胃熱をとる<茵陳蒿湯>、頭部に上っている熱をさます辛涼解表薬を使っていただきました。また、外用に漢方クリームSを併用していただき、すっかり改善しました。

ビデオチャットは状態判断にとても役立つことを実感しています。

春の皮膚病

この時期は花粉症に次いで皮膚トラブルが多いようです。

季節が変わり陽気が増すために身体に熱がこもりやすく、また空気も乾燥しているので痒みが酷くなるのです。

60歳のTさん、2年前の5月に初めて皮膚病で相談に来店されました。身体がのあちこちに貨幣状の乾燥性湿疹があり、温まると痒みがまし、掻くと膿汁が出る、そして後がかさぶたになるというものでした。

漢方で<血熱>といって、熱がこもっていてうまく発散しないために起こるもので、食生活やストレスなどが原因の場合があります。

この時は清熱解毒作用の<黄連解毒湯>と、清熱瀉火の<竜胆瀉肝湯>を使い、1週間で痒みが楽になり、その後2ヶ月ほど継続されました。昨年は1月に来られ、1ヶ月間使っていただき、治まりました。そして今年は本日来られ、清熱通便の<清営顆粒>を加え、同様の処方を使っていただきました。

毎年同じような時期に発症し、漢方薬で楽になり来られなくなり、また次の年に来られるというケースは、花粉症と皮膚病に多いパターンです。いずれも体質が大きく変化しなければ、同じ処方で改善するものです

手荒れ・湿疹

主婦の水仕事で手が荒れたり、湿疹になるケースはよくありますが、それ以上に酷いのが美容師さんの薬品カブレです。最初は手のひらにひび割れや水疱が現れますが、酷くなると腕や全身に湿疹が出ることがあります。

27歳の美容師さん、手と腕に湿疹ができ、痒みもあって夜に目覚めてしまうほどで、相談に来られました。

手を見るとすぐに美容師さんという仕事であることがわかるほどです。ひび割れはひどく、一部は出血していて、とても痛そうでした。そこで、乾燥をとり潤いを得るため補血作用の<婦宝当帰膠>などの漢方薬をお飲みいただくことにしました。

また外用には、昼間の仕事中は臭いのあるものは使えないので、消炎と保湿効果のある漢方クリームSの薬用クリームを、夜間は寝る前に消炎と肌の再生効果のある<紫雲膏>を使っていただきました。

仕事をしながらですので、1ヶ月でどの程度回復するかわかりませんが、過去の例ではかなり改善しています。しかし、全身に及ぶ湿疹の場合は仕事をやめないと完全に治癒しないというケースもあります。美容師さんの職業病で、難しい問題です。

漢方の軟膏 6

軟膏を使う対象としては、やはりアトピーの方が多いようです。

病院でも保湿や消炎、あるいはステロイド軟膏など、たくさんの種類が使われますが、漢方でも消炎効果の軟膏があります。

26歳女性、アトピーで目の周囲や額に発疹があり、ひどいときはステロイドを使われていましたが、長期使用に不安を感じ、代わりのものを求めてこられました。赤くなって、カサカサして白い粉が落ちるという状態でしたので、<漢方クリームS>をまずは腕に塗ってテストした後、問題なければ顔に使ってもらうようにしました。

2~3日で赤みがずいぶん消え、保湿されてカサカサ感も改善しました。この軟膏はクリーム状で匂いもなく、使いやすいのでオススメ品になっています。

漢方の軟膏 5

京都には国立博物館内文化財保存修理所があり、全国の国宝や重要文化財の修理、復元を専門に行っています。

ここの職員のKさん、薬品かぶれがきっかけとなり、手のひらに発疹が出ました。仕事で木槌を毎日使うために手は更に傷み、ジクジクして痛く仕事がやり辛いと相談に来られました。

<タイツコウ軟膏>をベースにオリジナル軟膏の作り方を教え、差し上げました。<タイツコウ>とは古典的処方をもとに作られた軟膏で、当帰、桂皮、大黄などを含む、傷の修復に効果のある薬で、切傷、むしさされ、とこずれなどに用います。アトピーや皮膚の破壊修復に使います。

仕事を続けながらも、5ヶ月で皮膚は再生し元に戻りました。軟膏に生薬末を混ぜることで、良い結果がでたようです。

漢方の軟膏 4

前回、伝統あるお薬や軟膏が少なくなくなって来た話を書きましたが、そのひとつが<中黄膏>です。  https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2005/09/post-87.html

 

黄連、黄柏、山梔子などを成分とし、化膿性の傷や腫れ物、かぶれにはよく効いたのですが、今はなくなったので代わりにベルクミンを使っています。

https://www.kanpou.info/product/MK2726.html

   

ベルクミンは黄連や山梔子が含まれないので作用は少し異なりますが、代用品としては最も近いものです。傷やおでき、湿疹、ただれ、とびひに使います。チューブ入りで使いやすく、1家に1本常備薬としてお勧めです。