手荒れ・湿疹

主婦の水仕事で手が荒れたり、湿疹になるケースはよくありますが、それ以上に酷いのが美容師さんの薬品カブレです。最初は手のひらにひび割れや水疱が現れますが、酷くなると腕や全身に湿疹が出ることがあります。

27歳の美容師さん、手と腕に湿疹ができ、痒みもあって夜に目覚めてしまうほどで、相談に来られました。

手を見るとすぐに美容師さんという仕事であることがわかるほどです。ひび割れはひどく、一部は出血していて、とても痛そうでした。そこで、乾燥をとり潤いを得るため補血作用の<婦宝当帰膠>などの漢方薬をお飲みいただくことにしました。

また外用には、昼間の仕事中は臭いのあるものは使えないので、消炎と保湿効果のある漢方クリームSの薬用クリームを、夜間は寝る前に消炎と肌の再生効果のある<紫雲膏>を使っていただきました。

仕事をしながらですので、1ヶ月でどの程度回復するかわかりませんが、過去の例ではかなり改善しています。しかし、全身に及ぶ湿疹の場合は仕事をやめないと完全に治癒しないというケースもあります。美容師さんの職業病で、難しい問題です。

漢方の軟膏 6

軟膏を使う対象としては、やはりアトピーの方が多いようです。

病院でも保湿や消炎、あるいはステロイド軟膏など、たくさんの種類が使われますが、漢方でも消炎効果の軟膏があります。

26歳女性、アトピーで目の周囲や額に発疹があり、ひどいときはステロイドを使われていましたが、長期使用に不安を感じ、代わりのものを求めてこられました。赤くなって、カサカサして白い粉が落ちるという状態でしたので、<漢方クリームS>をまずは腕に塗ってテストした後、問題なければ顔に使ってもらうようにしました。

2~3日で赤みがずいぶん消え、保湿されてカサカサ感も改善しました。この軟膏はクリーム状で匂いもなく、使いやすいのでオススメ品になっています。

漢方の軟膏 5

京都には国立博物館内文化財保存修理所があり、全国の国宝や重要文化財の修理、復元を専門に行っています。

ここの職員のKさん、薬品かぶれがきっかけとなり、手のひらに発疹が出ました。仕事で木槌を毎日使うために手は更に傷み、ジクジクして痛く仕事がやり辛いと相談に来られました。

<タイツコウ軟膏>をベースにオリジナル軟膏の作り方を教え、差し上げました。<タイツコウ>とは古典的処方をもとに作られた軟膏で、当帰、桂皮、大黄などを含む、傷の修復に効果のある薬で、切傷、むしさされ、とこずれなどに用います。アトピーや皮膚の破壊修復に使います。

仕事を続けながらも、5ヶ月で皮膚は再生し元に戻りました。軟膏に生薬末を混ぜることで、良い結果がでたようです。

漢方の軟膏 4

前回、伝統あるお薬や軟膏が少なくなくなって来た話を書きましたが、そのひとつが<中黄膏>です。  https://www.kanpou.info/blog/ichizen/2005/09/post-87.html

 

黄連、黄柏、山梔子などを成分とし、化膿性の傷や腫れ物、かぶれにはよく効いたのですが、今はなくなったので代わりにベルクミンを使っています。

https://www.kanpou.info/product/MK2726.html

   

ベルクミンは黄連や山梔子が含まれないので作用は少し異なりますが、代用品としては最も近いものです。傷やおでき、湿疹、ただれ、とびひに使います。チューブ入りで使いやすく、1家に1本常備薬としてお勧めです。

漢方の軟膏 1

黄柏はミカン科の高木、キハダの樹皮で、その作用は抗菌、抗炎症、降圧、健胃作用があります。昔から胃腸薬の原料として用いられ、信州の「百草丸」、吉野の「陀羅尼助」、山陰の「練熊」として用いられてきました。

この黄柏の粉末を求めてこられた方、子供の<とびひ>や<あせも>に使いたいとのことでした。黄柏の入った軟膏はいくつか発売されていますが、黄柏だけを求めてこられる方は初めてでした。

黄柏を酢で練って軟膏とし、湿疹や打撲の外用薬として昔から民間で用いられてきましたが、昨今は軟膏は化学物質(西洋薬)が主で、自分で軟膏を作られる方はほとんど無いと思います。

世の中には、いまだに民間薬に親しみ、詳しい方がおられるということに、なにか頼もしく、とてもうれしい気持ちになりました。