漢方の胃腸薬

胃腸薬といっても、たくさんの種類があり、微妙に使い分けます。

例えば<六君子湯>は比較的体力のない胃弱や胃液分泌の多い方に、<香砂六君子湯>は香附子と縮砂が加わった六君子湯で、神経症を持っている気滞タイプに、<半夏瀉心湯>はおなかが鳴る、あるいは下痢するタイプ、<補中益気湯>は疲れやすく、食欲がないタイプなどに使いますが、これらをあわせて使うこともあります。

68歳女性Kさん、元々胃弱でしたが、背骨の圧迫骨折をされたために腹部にコルセットをはめることになりました。かなり腹部を圧迫するため食欲もなくなり、身体は疲れやすく、体重も低下してきました。そこで<香砂六君子湯>と<補中益気湯>を合わせて使っていただいたところ、食欲も気分もよくなりました。

しかし、腸のあたりでゴロゴロといつも鳴り(これを雷鳴といいます)気になって仕方ないとのことで、2回目は<半夏瀉心湯>と<補中益気湯>に変更しました。

1ヶ月でほとんど気にならなくなりました。
ちょっとした処方の変化が正直に現われているようです。

胃弱の方の漢方

元々胃腸が弱く、下痢や軟便になる方は多いようです。

これには昔から<ゲンノショウコ>が使われてきました。ゲンノショウコは健胃薬、整腸、止瀉薬で、しっかりと煎じると下痢止めとして効果があり、短時間煎じると穏かな下剤として働き、便秘にも使えるものです。

61歳女性Mさん、一人住まいで、健康には気をつけられていますが、胃腸は昔から弱いとの事。ゲンノショウコは昔から使われていたのですが、便通が良くなく、お腹ももたれやすいとのことで相談にこられました。

そこで、下痢しやすい方に適し、胃腸の働きをよくする<半夏瀉心湯>などを使っていただきました。1ヵ月後、便は正常になり、食欲も増してきたと喜んでいただきました。が! 少し食べ過ぎになってしまって体重が増え、また新たな心配事ができたと笑っておられました。

漢方薬は長期続けないと効かない、とよく言われますが、症状によって結構はやく改善が自覚できるケースが多いのです。

漢方薬と胃腸トラブル

漢方薬のトラブルでよくあるのは胃腸障害です。

極度に胃弱な方の場合、お腹がもたれる、便秘になる、軟便になる、発疹が出る、などの症状があります。いずれも薬を中止すれば治ってしまうのですが、中止は出来ないので漢方の胃腸薬を併用していただきます。ほとんどの方はこれで解決します。

20歳代の男性、痔の痛みと痒みで仕事中も気がかりで、困っているとの相談を受けました。

この方の痔には<槐角丸>がピッタリあうと見て、1ヶ月使っていただきました。結果、痛みも痒みも改善し調子が良かったのですが、その後槐角丸を飲むと身体に発疹が出て痒くなるし、やめると発疹は出ないが痔が痛くなるとのことで再度来られました。

これには胃腸の薬を併用すれば解決することは明らかでしたので、香砂六君子湯を試しに短期間お使いいただきました。予想通り、痔の痛みも良くなり、発疹も出ることなく調子良いといわれています。

この他にも地黄を含む漢方薬に同様の症状が出ることがありますが、容易に問題は解決します。まずは相談していただくことが大事なのです。

おなかが張る!

過食気味でおなかが張るのは、注意すれば防げることなのですが、仕事を遅くまでされている方は夜の食事が不規則になり、食後寝るまでの時間が短いため、どうしても胃もたれ気味になります。

また酒を飲む方は身体に湿気がたまりやすく、カロリーもオーバー気味になっています。この生活が続くと、腹部だけが張ってきて、ズボンのベルトが使えなくなり、腹中では脂肪肝が育っていきます。

以上は私自身に当てはまることですが、そこでこれは大変!と思い立ち、食後に消化酵素健康食品をのみ、昼に化痰約を継続して飲んできました。1ヶ月経過した現在、以前のように座ったときにベルトをゆるめる必要もなくなり、身体も楽になりました。

ビール腹といって笑っている間はいいのですが、脂肪肝には気をつけてください。肝臓は『沈黙の臓器』です!!

おなかが張る!

今日は、おなかが冷えて張るというケースです。

これは常時はるのでなく、冷たいものを飲んだとき、特にビールやアイスをよく摂る方で、いつも冷えている方に多いです。原因がはっきりしているので、準備だけしておけば簡単に解決します。

いちばんオススメの商品は温中散寒作用の<人参湯>で、冬の間は女性の冷えに効果を発揮しました。また、生理痛の時におなかが冷える方で、ホカロンなどで暖めると楽になる方には、この人参湯で温まり、生理痛がかなり楽になりました。

ビールを飲む前に、または冷たいものを食べた後すぐに飲めるように携帯すると便利です

おなかが張る!

昨日の続きです。ストレスを受けやすい方で、食べないのにおなかがいつも張るというケースです。

24歳の独身女性。 食べ過ぎたわけでもないのに、おなかが異様に張る!苦しくてベルトを緩めても、パンクしそうな感じがする。ガスが多いし、おなかはゴロゴロというし、いつも気になって仕方ない。トイレにいっても改善しないし、どうしようもない!ということで相談に来られました。

こんな悩みの方は結構あるのです。これは気の滞りが原因で、腹部の筋肉の緊張で、張っているものと考えられました。中医学の言葉で言うと『肝脾不和』といって、精神的なことが胃腸に影響しているという状況です。

この方には「気丸」という錠剤を1週間使ってもらいすっきりしました。しかしストレスを受けるとまた発症すると思われますので、薬を適宜使っていただくことにしています。

おなかが張る!

「おなかが張る」 をシリーズで書きますが、まずは主なタイプを列挙しておきます。

1、便秘で4日以上お通じがないタイプ

2、食が細く、便を出す力がないタイプ

3、ストレスを受けやすい方、食べないのに張るタイプ

4、おなかが冷えて張るタイプ

5、過食で肥満の腹が出ているというタイプ

それぞれ対応方法が異なります。便秘については近日中のメルマガ

https://www.kanpou.info/info/magazine.html

で書く予定ですので、2の食が細く、腸の動きが悪い方の対応方法は・・・

ちょうど、今朝のNHK番組「生活ホットモーニング」で食物繊維の効用が放送されていました。腸の動きが悪い「停滞腸」は、様々な病気の原因や、肌荒れの原因となります。腸の動きを良くするために必要な<不溶性食物繊維>は、腸から吸収されず、ゼリー状になって水分を保ち、便をやわらかくするとともに、便のカサを増やし、腸の働きをよくします。女性は1日20gの食物繊維が必要とのことです。これを食事でとるためには、     

1、温野菜にして繊維を多くとること(ほうれん草、ブロッコリーなど)

2、いも、豆、海草類を多くとる(いも、納豆、おから、わかめ、ひじき)

3、精製しない穀物をとる(ライ麦パン、麦ごはん)

食物繊維をとることによって、大腸の働きをよくする、コレステロールの上昇を抑える、血糖値の急な上昇を抑える、などの効果が期待できるということです。でも現実は食物繊維がいつも不足がちですので、当店では1日2回のラクシュミ服用をお勧めしています。

これと、通常の食品との合計の食物繊維量は1日の必要な分を満足します。これで毎日 快便で快腸!!

胸がつまる!

ストレスが引き金となって血流が悪くなる状態を「気滞血お」といいます。それが胸に及ぶと胸苦しい、息苦しい、咽がつまる感じなどが現れます。西洋医学では、一過性の心筋梗塞や狭心症とされる場合もあります。

48歳女性、2ヶ月ほど前から胸がムカムカしたり、胸が詰まる感じがする、冷や汗が出てくる、歩くとフラフラする、生理の前は特に調子が悪くなる。こめかみの頭痛が時々するなどの症状があり、病院でもらったニトロペン錠でも治まらないので相談に来られました。

これは前述の血流不良が影響しているとみて、漢方で疏肝理気の<逍遥丸> と活血作用の <冠元顆粒> を1ヶ月服用されました。結果、すべての症状がなくなり、喜んでいただきました。胸がつまるのは心臓の疾患もありますが、『気の滞り』から来るものもあるのです。