漢方薬の指名買い

最近は漢方に関する書籍や雑誌での特集がふえ、若い方々に漢方が普及してきた感じがします。

そして自分で調べて判断し、漢方薬名を指定して買いにこられます。体質に合っているときは、もちろんそれで良いのですが、合わないときはその理由を説明するのに一苦労します。

ご本人が良いと思われたものは、信じ込んでおられるので、こちらの処方に変更すると「効かない」という先入観があり、より効かなくなる可能性もあります。そこで、できるだけご本人の希望に合わせるのも、効果を引き出すためには良い方法かと考えるようにしています。

24歳の女性、以前は冷えのぼせがあり、こめかみに頭痛があったため、桂枝茯苓丸や加味逍遥散を用いていましたが、今回多汗症の相談でこられました。

本によると「桂枝加黄蓍湯」が合うようだとのこと。そこで、体質をお聞きすると、比較的肌も弱く、蕁麻疹も出るようで、のぼせもなく、<表虚>による多汗と考えられたので、今回はご指定の処方で対応できホッとしました。

このほか、医師から「この薬は合わないからやめて下さい」といわれたとか、本で読むと違うような気がする、などと途中でやめられるケースもまれにあります。遠慮なく聞いていただければ詳しくお答えできるのですが・・・残念です。

生薬の品質

昨日のTV番組「チャングムの誓い」では、医女になるための実習で生薬を学ぶシーンがありました。

生薬は、目で見て色形を知り、手で触れて状態を知り、香りを嗅いで精油成分などを知り、かじって味を知ります。現代は試験機器で成分分析は簡単にできますが、それでも香りや全体的な品質は人間の五感により、判断されます。生薬には植物の根が多く使われますが、たとえば「人参」と「桔梗」は見ただけでは判断しにくく、香りや味で初めて違いがわかります。(左:桔梗  右:人参)

最近は漢方薬もエキス製剤を使うことが大半ですが、難しい疾患や、うまく改善しない場合は、やはり『煎じ薬』が良く効きます。それはエキス剤の製造方法による差異だけでなく、使われている生薬原料も関係していると思われます。

「チャングムの誓い」は、ストーリーだけでなく、東洋医学に関わる大事なことを教えてくれる番組です。

受験ストレスに負けない!

当店の近くに専門学校があり、昼休みは周辺のコンビニが学生さんでいっぱいになります。

難しい国家試験前になると、毎年のように学生さんが相談に来られます。ほとんどが、不安感や不眠、胃腸障害、過緊張による痺れなどです。学生さんはアルバイトをする時間的余裕もなく、そのため金銭の余裕もない人が多いのです。

そこで、安神剤としてよく使う<牛黄製剤>などは高くて使えず、お勧めしているのは<エゾウコギ含有ハーブティ>です。ハーブティで気軽に使えるのが特徴です。湯で溶くとほんのり甘く、少し香りがしておいしく、特に女性に好まれます。もちろん漢方薬も使えますが、忙しくてきっちり飲めない方も多く、お茶代わり休憩にというのが受けるようです。

試験前日に来られた時は、今までの努力を実らせるよう、頭脳明晰にする<牛黄製剤>などを使っていただきます。牛黄は強心剤でありながら、頭の疲れを感じさせない、気力を維持できる薬、と実感しています。

手渡す時は必ず「これで大丈夫や!」と一言声をかけ、気を入れるようにしています。

サッカーで睡眠不足

先日のワールドカップは意外な展開でコメントのしようもありませんが、そのあと寝付けなかった方は多いと思います。おかげで、あくる日は眠いやら、目にクマを作った方もおられたのでは?

そして次回は18日(日)の午後10時からで、またもや明くる日は月曜日!今度は喜びの興奮で寝られないかも?。

そして特にお酒を飲みながら見ている方には田七人参がおすすめです。サッカーが始まる前に1包、寝る前1包で、明くる日は二日酔いもなくスッキリ目覚めです。

ビジネスマンのポケットには手帳とあわせて必携ですが、家では『テレビの上に置いておくとよい』商品です。

ストレスと頭痛 2

昨日の続き、ストレスによる頭痛の話です。

37歳Aさんは色白、冷えやすく、家庭のことや子供のことでストレスを受けやすい方で、よく頭痛を起こします。日頃はイライラが多く、神経症状に使う<加味逍遥散>を使っていただいているのですが、頭痛のときは<川きゅう茶調散>を頓服として使っていただいています。

この薬は、冷たい風が当たったときに発症する<風寒>の頭痛の薬としてよく使われますが、中に止痛効果のある生薬<白し>や<羌活>が含まれているため、偏頭痛や神経性の頭痛、あるいはピリピリと痛むようなタイプの方に用いて即効性がある場合が多いです。

常備薬として置いておくとよい漢方薬です。

ストレスと頭痛

今日、明日は頭痛の話を2題です。

頭痛もたくさんの原因があり、たくさんの処方がありますので「頭痛にはこれ」とはいかず、体質や、発症のきっかけ、悪化する要因や時間などを尋ねて考えます。

男性Mさんは、ほとんど毎日肩こりから後頭部にかけて頭痛がし、ストレスを感じると酷くなり、こめかみも痛むときがあります。朝夕問わず発症するため、相談にこられました。

お聞きした症状からは緊張性頭痛と言われるもので、一般的には肩こりから来る場合は<葛根湯>が使われますが、この方には平肝作用の<釣藤散>を使っていただきました。

結果は、飲んでいると楽になるが、やめると痛むとのこと。ストレスという根本原因が取り除くことが出来ないので、完全に治まるには時間がかかりそうです。

当帰の花が咲きました

漢方の中でも重要な生薬<当帰>の花が店頭に咲きました。写真は真上から撮ったもので、プランタの狭い中でも立派な姿をしています。

<当帰>はセリ科の植物で、奈良県や北海道で栽培され、日本で自給できる生薬の中でも主要なものです。

漢方では補血(血を増やす)、活血(流れを良くする)調経(生理を整える)などの作用があり、女性のための基本薬として、昔から「血の道症」に使われてきました。日頃たくさんの方にお使いいただいています<婦宝当帰膠>の成分の7割が当帰ですし、その他にも<当帰芍薬散><当帰飲子><紫雲膏>など様々な漢方薬に含まれています。

生薬としては根を乾燥して刻んだものを使いますので、花を見る機会はほとんどないのですが、改めて『当帰を摂ると、当帰の花の様に きれいになれるのだ!』と思いました。

特徴的なめまい

めまいの話は以前にも書きましたが、漢方薬はめまいに対してとても効果があります。
但しめまいのタイプや、その方の体質によって漢方薬は異なりますので、上手に使い分けることがポイントです。

65歳の男性Oさん、耳の奥に腫れ物があり、以前から中耳炎をよく起こしていました。昨年12月に回転性のめまいを発症し、病院に行って薬をもらわれましたが、10日後に再びめまいを起こし、漢方薬を求めて来られました。

発症したときの状態を聞くと、ムカムカ吐き気がし、実際に吐いたらめまいは急に治ったとのこと。これは明らかに<水滞>で、頭部の水分が多く、あふれているいる状態で、<半夏白朮天麻湯>をベースにお薬を調合し、使っていただきました。

それ以来継続されて6ヶ月経過しましたが、一度もめまいや中耳炎は起こっていません。あとは耳の奥の腫れ物がどうなっているか、近日中に頭部CT検査を受けられる予定で、小さくなっていることを期待しています。

耳鳴り・耳閉感が改善

47歳Mさん、昨年9月に仕事に関連するストレスが引き金となって、耳鳴と難聴、耳閉感が発症しました。病院にではステロイドや循環改善剤などを投薬されていましたが、改善の傾向が見られず、今年4月中旬にネットでご相談をお受けしました。

症状や経過、体質等をお聞きすると、原因はストレスによって肝火が上に上昇し頭部の聴覚神経系に影響を与えていると思われました。また体質は<肝胆湿熱>タイプで<肝火上炎+心火>と考え、清肝瀉火<の竜胆瀉肝湯> と 清熱解毒の<黄連解毒湯> を組み合わせて使っていただきました。

1ヵ月後、良いときと悪いときを繰り返しながら、耳鳴りは気にならない程度まで改善し、6月上旬にはさらに調子良い日が増えたとの事でした。

そして一昨日には『医院では見放され暗い気持ちになっていましたが、漢方で改善傾向がみられ、何か前向きな気持ちになりますね。今日も調子がいいです。』とのうれしいメールをいただきました。

五味はバランスよく

当店の庭に<ゆずらうめ>の実がなりました。漢字では<梅桃>と書きます。

少し甘酸っぱくて、とても美味しいのですが、この小さな実にも種があり、現代っ子はだれも食べないと思います。なつめやぐみなども昔は貴重なおやつでしたが、昨今はトマト、オレンジ、パイン、スイカ、メロンなどのように大きくて甘い物ばかりふえてきて、このような酸っぱい味は食べられることなく忘れ去られるのです。

漢方では味を<酸苦甘辛鹹>の5種(五味)に分け、それぞれが身体にどのように作用するかにより生薬構成を考えるのですが、食物では自然の姿が失われてきています。フルーツではほとんどが<甘甘甘甘甘>になりましたし、最近酢を飲む方がふえてバランスが崩れ、<酸酸酸酸酸>になっています。

作られた食べ物が身体のバランスを崩しているのではないでしょうか。