慢性病による寝汗

大病の後や慢性病の時に生じる寝汗は盗汗ともいいます。

極度に体力を消耗し、痩せてきて、体液が減少し、体内の熱を冷ませないために汗が出る症状で、汗によって再び体液が失われ、体力低下を招くという悪循環におちいります。また微熱が続くのも特徴です。

漢方では、体液が減少している意味の<陰虚>とか、体力・氣力が低下している意味の<気虚>などと表現します。

73歳の男性Sさん、ガンで抗がん剤治療を受け、体調も悪く入院されていました。入院中から寝汗が出始め、医師に相談されたのですが、特に異常はなくガンによるものだから仕方ないとのこと。しかし微熱は続き、身体はだるく、痩せてきて、貧血傾向もあるので、ご家族の方が相談に来られました。

これは明らかに<気陰両虚>の症状ですので、体力を付ける牛黄製剤と、補気・補陰の<麦味参>を合わせて使っていただきました。以前にも同様の相談があり、1週間ですっかり良くなったという経験がありますので、前回と同じ処方を使いました。

西洋医学では寝汗は病気にはならないようですが、漢方では昔から対応する処方があるのです。