高齢者の残尿・頻尿トラブル

以前にも頻尿の話は書いていますが、高齢者には多い疾患で比較的簡単に改善します。

73歳のYさん、頻尿で且つ残尿感があり相談に来られました。夜間もトイレの回数が多いとのことで、まずは<猪苓湯>をお使いいただき、1回の尿をすっきり出すことにしました。

1週間で効果は抜群、すっかり残尿感はなくなったのですが、夜間頻尿は改善せず、今度は<牛車腎気丸>をお使いいただきました。

2週間で夜間の頻尿は改善したのですが、再び残尿感が取れないとのこと。そこで<漢方薬G>をj常用し、漢方薬Tを1日1回頓服のように使っていただきました。

牛車腎気丸は<八味丸>の処方に加えて生薬の<牛膝>と<車前子>が増えたもので、八味丸より排尿トラブルにはすぐれた効果を発揮します。

様々な病名と漢方

最近は疾患分類も細かくなり、難しい疾患名をいって相談に来られる方も増えました。

漢方はもとも病名で考えるのではなく、現れている症状やその原因、体質などで決めるものですが、症状が具体的にない場合は難しいものです。

58歳のOさん、病院で<非結核性抗酸菌症>といわれたものの、自覚的症状はなく、心配なので漢方薬を飲みたいと考えて来られました。

この疾患は結核菌以外の抗酸菌による肺の疾患で、免疫の低下や肺疾患から感染する病気とのことです。こんなときは病理を調べ、予後を調べてみるのですが時間がないときは改めて相談に来ていただくことにしています。

今回Oさんの場合は、ひとつは肺の力を付けることを考え肺腎陰虚の漢方薬<滋陰降火湯>をおすすめし、もうひとつは菌の働きを抑制することと考えて抗菌作用のある生薬を含む、咳などに使う<銀翹散>をお使いいただきました。

結果は3ヶ月後の検査によりますが、いずれの場合も免疫力の向上が大切なことを改めて考えました。

慢性蕁麻疹が改善

急性蕁麻疹は比較的短時間で改善しますが、1ヶ月を超えるような慢性蕁麻疹は原因も様々で、再発を繰り返し、難治性のものが多いのですが、今回それが劇的に改善した例を紹介します。

26歳の女性Kさん、6年前にはじめて来られ、蕁麻疹とニキビの相談を受けました。蕁麻疹の発症は高校生の時からで、すでに2年以上経過していて皮膚科にもかかっておられましたが改善せず、漢方しかないと思ってこられました。

原因ははっきりわかりませんが、ストレスが関連しているようでテストや行事のときは悪化するとのこと。そこで、疎肝薬の<柴胡疎肝散>や、皮膚病薬の<温清飲>など、状況に応じて様々な漢方薬を使い少しは小康状態を保っていましたが完治はせず、時々来られていました。

今回は蕁麻疹を根本治療する意味でアレルギー体質を改善する目的で、衛気を高める<衛益顆粒>や、<桂枝加黄蓍湯>などの漢方薬を使っていただきました。

そして飲み始めてすぐに蕁麻疹は治まり、その後出なくなりました。あまりの早い効果に驚きで、免疫の異常が蕁麻疹を発症させていることが明らかでした。

長期の疾患ですので短期間に完治するとは思いませんが、しばらく続けることで発症しなくなるものと思われます。

薄くなる髪

秋風とともに髪の毛が抜けやすく感じますが、私のように少ない者にとっては深刻な問題で、ましてや若い女性の薄毛や白髪はなおさらです。

髪が薄くなる原因は様々ですが、若い女性の場合は主に2つで、貧血や血液循環の不良による髪の毛への栄養不足と、ストレスによるホルモンバランスの乱れによるものが多いようです。

28歳の女性Fさん、夏に白髪の相談に来られたとき、毛根への栄養供給を目的に補血作用の<婦宝当帰膠>とストレス緩和に疎肝作用の<逍遥丸>を使っていただきました。その後時間があいていたのですが、今日来られてお聞きした結果、少し改善してきたとのこと。再び継続していただきました。

まだまだ毛根に力がある年代は、補血養血の薬だけでも髪が回復する力が出てきます。私のように年齢的や遺伝的な要素があると、改善の見込みはないようですが・・・・・。

漢方薬の指定買い

漢方薬は個々人の体質に合わせて選定しますが、最近は女性誌でちょっとした漢方ブームになっているためか、自分で調べてこられて指定買いされる方も増えました。

特に女性の冷え症に人気のあるのが<婦宝当帰膠>で、比較的誰でも使えて、身体が温まることも実感できますので、急いでいる方や難しい相談をしたくない方には好評です。冷え症の場合はこれ以外にも<当帰四逆加呉茱萸生姜湯>や<当帰芍薬散>などたくさんの種類がありますが、指定買いをされる場合は問題ない限り、そのとおりで使っていただきます。

薬の効果は≪効くという心理が働いたとき効く≫のも事実なのです。いわゆるプラセボ効果(有効成分を含まないにもかかわらず、薬を飲んだという意識から治療効果が出ること)があるのです。

料理屋さんの職業病

飲食関連の仕事の方は、お客様に合わせてお酒を飲む機会が多いようです。当店にも調理仕事をされている方がこられますが、そのご相談のほとんどが肝機能に関するものです。

Aさんは有名な料理屋さんの板前さんですが、肝機能検査でγーGTPが400以上といわれ、当店に来られました。板前さんの仕事はいつも忙しいため、簡単に飲める形態であることが必要ですので、スティック状で調理白衣のポケットに入れておいていつでも飲める<田七含有健康食品>をお勧めしました。

それから1ヵ月後に再び買いに来られ、状況をお聞きしたところ、データは100近くなったとのこと。本来はお酒を控えることをお勧めするべきなのでしょうが、仕事柄やむを得ないこともあり、健康食品をしっかり続けていただいています。

田七人参だけでなく、蛇胆が含まれるこの商品は短期間でも喜んでいただける健康食品です。

中国の冬虫夏草

中国に行ったときはできるだけ街の薬局を巡るように心がけています。

今回も成都で昔からある、成都同人堂とそのとなりにある冬虫夏草専門店、そして向かいにある北京同人堂を見学してきました。いずれの店もたくさんの人が入っていて、生薬調剤や漢方錠剤を求めていました。

これらの店内の大きなスペースを占めているのが<冬虫夏草>です。日本でも良く知られていますが、ここでは上物から安いものまで種類が多く圧倒されました。価格は日本で販売している価格より高いものが多く、日本に比べて平均的に収入や物価が安い国なのに、誰が買うのだろうと思われました。観光客の日本人を対称にしているのか、あるいは富裕層なのか? 

いずれにしても量と種類の豊富さは中国ならではのことでした。

成都案内2

【パンダ繁殖基地】

成都にはパンダの保護・飼育している施設が2箇所あります。ひとつは郊外にある「中国臥竜パンダ保護研究センター」で、もうひとつが今回行った「成都大熊猫繁育研究基地」です。

この基地は国家予算の他に多くの人の寄金、ボランティア活動で支えられており、日本中医薬研究会も、美人パンダの誉れ高い"氷氷"(ひょうひょう)をお母さんとして2003年8月1日に生まれたメスのパンダの里親となり、≪冠元(かんげん)≫ ちゃんと命名されています。この冠元ちゃんは<漢方薬K>の商品名からとったもので、今年3歳になり、体重は80kgを超えていますので、写真を撮るにも抱っこはできません。

ここには58頭のパンダが飼育されているため、施設内は食料の竹がたくさん植えられています。また広い施設内は電気自動車に乗って移動もでき、設備は充実しているようです。

【川劇の変面】

四川の演劇を川劇といい、コミカルなものや、口から火を吹くダイナミックなものなどありますが、中でも不思議なのは顔マスクが瞬間に変わる「変面」です。

この独自の技法は一子相伝で門外不出のもの。面相もすごい迫力があり、何度見ても絶対にわからない不思議なものです。四川に行くなら必ず見たいものです。

成都案内1

休日に成都市内を巡りました。この地は三国志でよく知られた歴史の街で名所も多くあります。

【武候祠】

三国志で名高い「劉備」に仕えた名軍師・諸葛孔明のことを武候といい、ここには「劉備」と「孔明」が共に祀られています。(写真は劉備の像です)

庭内は柏の木が茂っていて、静かで且つ幽玄な雰囲気が漂っています。三国志の好きな方には一度は行きたいところですね。

どこの地にいっても高価な玉石を売っている人がいるものですが、この中でも同様に工芸品や高価なものを売っている日本にお会いました。いろいろな仕事があるものですね。

【杜甫草堂】

西暦759年から4年間、唐代の詩聖・杜甫がここに住んでいたとの事。日本ではまだ奈良時代ですね。

杜甫はここにあった仮小屋で247首の詩をつくったと言われますが建物はなく、明代にこの草堂が再建されて今日に至っています。

庭園内には竹の林があり、ちょうど京都・嵯峨野の竹林に似ていて、閑静な美しさがあります。

その中に博物館があり、日本人の西川さんが館内の案内をしていました。その後はお決まりのコースで、宝物?を紹介し、これを格安で売りますとの話しに繋がっていきました。  ドコデモビジネスの国ですね。

冠元顆粒の故郷をたずねて

四川川大華西薬業股分有限公司(元 華西医科大学製薬所)の工場を訪問し、ここで作られている<冠元顆粒>の製造工程を見てきました。

生薬の選別・洗浄からはじまり、大きなタンクによるエキス抽出、顆粒をつくり、パッケージングするまでの工程を最新の設備と衛生的な環境の下で作られていることをしっかりみてきました。そして、多くの女性が作業に携わり、厳しい検査をしている眼差しに、日常なんとなく取り扱っているこの商品も、1包づつが心を込めて作られたものと知り、ジンとくる想いでしたした。

工場はGMP(医薬品の製造及び品質管理に関する世界基準)に基づいた管理をしていて、信頼できる製品であることも確認できました。

それにしても、工場内の各部門の長がほ

とんど若い女性で占められていることは驚きで、中国の新しい世代がますます力をつけていることと、止まる事のない建設ラッシュも合わせて、益々発展していく強い国を感じさせました。