こどもの痙攣発作

先日てんかんの話を書きましたが、病院でてんかんと診断されてはいないが痙攣を起こすというケースがあります。

10歳の女の子、今年になってから3回痙攣を起こし、病院ではてんかんの薬を勧められましたが、服用が気になるので漢方を希望され相談を受けました。

詳しくお聞きすると、以前より大きな音に敏感であったり、癇が強い、疲れると発作が出るようだとのこと。そこで気分を安定させるため<桂枝加竜骨牡蠣湯>を使っていただいたところそれ以降痙攣発作は起きず、2ヶ月経過して身体も疲れにくくなり、順調にすごしておられます。

子供の痙攣は西洋医学的な検査が必要ですが、病院で特に問題ないとされた場合は漢方薬が安心して使え、且つよく効きますのでお勧めです。

心身症による子供の下痢

学校でのトラブルや、友達関係がうまく創れないために学校に行きにくい子供さんはたくさんおられます。登校できたとしても様々な身体的トラブルがあり困っておられます。

15歳の女の子Tさんも、ストレスを抱えていて、学校に行こうとすると胃痛になったり、学校に行ってから下痢になったりで辛い思いをされていました。

そこで少しでも力になれたらと思い、ストレスの緩和に安神薬の<桂枝加竜骨牡蠣湯>を、下痢には<桂枝加芍薬湯>を使っていただいたところ、少し気分も楽になり、胃痛も少なく、下痢は改善されました。

すべてが解決したわけではありませんが、トラブルが減り、少し楽になっただけでも本当によかったと思います。

子供の肌荒れ

子供は肌が乾燥しやすく、そのため痒くなるケースがよくあります。

原因は発達段階で皮膚が薄く、水分が失われやすいためです。そこで漢方薬をと言いたいところですが、それ位ではあまり相談に来られません。しかし、痒みがひどくなり掻きむしって出血したり化膿すると相談にお越しになります。

当然体質により異なりますが、多くは胃腸の働きを助ける<小建中湯>や昔から肌やイボに使われる<ヨクイニン>など、そして外用に漢方クリームSを併用していただきます。

子供でも安心して使えるのも漢方の特徴です。

子供の鼻閉や中耳炎

子供の鼻水や鼻閉、喘息傾向、中耳炎の相談はよくあります。原因はアレルギーの体質遺伝によるものや食生活によるものなどがあります。

5歳のKくん、年中鼻が詰まっていて息苦しく、口呼吸のためか風邪も引きやすく、咳がでるなど喘息傾向があり、相談にこられました。

お父さんがアレルギー体質ですので、子供さんも体質改善を兼ねて<衛益顆粒>と、鼻詰まりの対処に<鼻炎丸>を使っていただきました。

また、水分や冷たいものをとり過ぎないように注意していただき、1ヶ月間お使いいただいた結果、ほとんど改善しました。しかし、良くなったので先月は薬をやめたところ、再び症状が再燃したので、しばらく継続していただくことになりました。

子供の鼻のトラブルは、ほとんどが<水毒> すなわち水分や冷たいものの取りすぎで発症していますので、親が水分に注意するだけでもかなり改善するものです。

子供のてんかん

「てんかん」というと痙攣を起こして倒れるというイメージがありますが、実はてんかんにはいろいろな症状があります。

原因は脳の一部が異常に興奮状態となるため起こるもので、診断は症状や脳波、あるいは脳の画像によって行われます。

8歳のKくん、3才のころからてんかんと診断を受け、治療していましたが様々な症状が変化して出てくるので相談に来られました。聞くとことによると、病院によって診断が変わり、薬を使うと改善するが、しばらくしたら薬が効かなくなるのを繰り返しているとのことでした。そして今回は腹痛が一晩に数回起こり、治まらないとのことでした。

そこで、胃腸薬ではなく神経の興奮を抑制する目的で<抑肝散>のエキス剤を使っていただいたところ、1ヶ月で腹痛はかなり減り、喜んでいただきました。

西洋薬では薬に対する<慣れ>が生じるとのことでしたが、漢方薬ではどのような結果になるのか・・しばらく継続していただいています。

子供の花粉症

花粉症の季節を迎え、1年ぶりにお電話をいただく方が増えてきました。

その方の花粉症の症状は毎年同じ状態が発症しますので、漢方薬も例年どおりでよく、『いつものをお願いします』ということになります。

大人の場合は西洋薬を使われる方もありますが、子供の場合は漢方薬を求めてこられるケースが多いようです。処方は大人も子供も大差なく、体質と症状によって決め、衛気を高める<補気薬>や咳に<銀翹散>や<菊花のハーブティ>などを使います。

今日もお電話いただいたTさん、東京に転居されたのですが以前に使っていた子供の漢方薬を送ってくださいと連絡をいただき、懐かしく思いました。これからも長~いお付き合いになりそうです。

子供の腹痛

子供の腹痛や嘔吐の相談は時々あります。

大人の場合は潰瘍や大病の心配がありますので、漢方薬を飲む前に病院で検査を受けられたか確認し、漢方薬を使っていただきます。子供の場合はまずは<疎肝剤>などをお使いいただきます。

8歳のKくん、よく腹痛を訴えるとのことで相談にこられました。牛乳や水分を多く摂っていて、車酔いもすとのことで、これは明らかにおなかが冷えているために起こる腹痛と考え、健脾薬の<小建中湯>や、利水薬の<五苓散>を使っていただきました。

小建中湯はおなかを温め、丈夫にする薬で、味は甘く子供でも湯に溶いて飲めるものです。また、五苓散は口の渇きをとり、水分をさばく薬です。この2種類をお使いいただいて3日で痛みはなくなりました。

以前からですが、子供の要求のままに冷たい牛乳をたくさん飲ませている親が多いことに驚きます。それも寝る前とか、冬の時期など身体が冷える時にも同じように飲むのは問題があります。

牛乳に限らず、冷たい飲み物は習慣的に避けたいものです。

乳児湿疹

乳児湿疹は生後1ヶ月頃から発症する事がよくあり、繰り返したり、治りにくいことや、アトピーとの区別がつきにくいことなどがあります。

病院ではアンダーム軟膏や症状がひどい場合はステロイド軟膏などが使われます。

生後2ヶ月のKちゃん、顔を中心にあちこちに湿疹が発症しました。病院でステロイドの軟膏を処方されたのですが、お母さんが使いたくないとのことで相談に来られました。

元々ご両親にアトピー体質はなく、多分お母さんの食事内容に問題があり、乳汁に及んで発症したのではないかと思われました。

漢方では、飲み薬、漢方軟膏、入浴剤などを併用しますが、Kちゃんは2ヶ月ですので服用はむりで、<紫雲膏>や<タイツコウ軟膏>を使っていただきました。

それまで痒がっていたのですが、使い出してすぐに痒みが治まり、赤みも改善してきました。しばらく使うと消えるものと思われます。

漢方軟膏はごま油の香りがしますが、安全で何処にでも使えるのが特徴です。また入浴剤はこの他に<ヨモギ=ガイヨウ>や<桃の葉>など、症状によって使い分けます。5ヶ月を過ぎると飲み薬を使う場合もあり、子供には漢方が活用できるのが特徴です

子供のアトピー

子供のアトピーの多くは親からの遺伝性のものです。1歳までに発症することが多いのですが、親はステロイドを使いたくないし、対応に苦慮されています。

幼児の場合は痒みを我慢をすることもできず、強く引っ掻きますので肌が荒れ、かわいそうな状態になります。また、漢方薬も大人のアトピーのように強い清熱剤は使えず、また飲むことも出来ないので、その代わりに外用で改善をはかります。

3歳のSちゃん、生後5ヶ月から関節部位に赤みが発症し、昨年の秋からは全身に広がり悪化してきました。皮膚は乾燥が激しく粉を吹くような状態で、部分的にひび割れし、痛々しいです。

身体は冷えやすく、食物のアレルギーもあるようでしたので、子供のアトピー治療の基本と考える<胃腸の機能を高める>ために<黄耆建中湯>と、滋陰(乾燥状態を改善する)のための<六味丸>を使っていただきました。いずれも昔から子供の発達促進に使われてきたものです。

そして外用には<漢方生薬を使った浴剤>と漢方クリームSを使っていただきました。これらにより、しっかり保湿し炎症を鎮めるようにします。乾燥が治まると痒みは治まるものと考えています。

また、アメリカから取り寄せられたサプリメントを使ってから、かえって悪化したとのことでしたので、全面的に中止していただきました。サプリメントは化学合生物が多く含まれていますので、幼児に対しては注意が必要です。

子供の中耳炎

滲出性中耳炎は子供に多い病気ですが、子供には抗生物質を長期間飲ませたくないということで漢方薬を求めてこられます。

この疾患は、よく冷たいものを飲み、花粉症の症状が出るような水毒体質のお子さんに多いように思います。そして漢方薬がよく効く分野でもあります。症状や病程により、漢方薬も異なりますが、いずれも水分代謝を促進するようなものを使います。

2歳のAちゃん、風邪を引き、鼻水が出ると、中耳炎を起こすという繰り返しで、長期間抗生物質を使っておられましたが、いつまでも使うのも心配なので、漢方を求めてこられました。

少し食が細く、虚弱なタイプで、子供でも飲めるものを考え健脾作用の<黄耆建中湯>を使っていただきました。その後2ヶ月で中耳炎を起こすことがなくなり、現在も継続されています。

このお薬は、元気をつけ、風邪を引きにくくすると同時に、お腹を温め、胃腸機能を高める薬で、虚弱体質の子供さんにはよく合い、飲みやすいのも特徴です。
子供の様々な疾患は、胃腸を丈夫にして、体力をつけ、正常な発達を支えることが肝心なのです。