頭重感の漢方

今日は京都は雨です。このようなときに頭が重くなり、あるいはずしんとした痛みが出る方があります。原因は外部の湿気や気圧が影響しているようで、漢方では水分の代謝をはかるものを使います。

40歳の女性Cさんは、以前からめまいや耳鳴り、耳閉感などで相談を受け、その都度改善していました。先日、上記のような雨天の時に頭が痛くなり、ムカムカするとのことでしたので、化痰・安神作用の<温胆湯>を1週間お使いいただきましたところ、その後の大雨のときも大丈夫だったと報告いただきました。

そこで薬をやめられたのですが、今日は再び重くなったと相談に来られました。漢方を飲んでいるときは良いのですが、1週間では当然根本的な解決にはなっていませんので、しばらく継続していただくことになりました。体質が変わるには時間がかかることを理解いただきました。

頭重感に使う漢方薬は、これ以外にもいくつかあります。体質によっても異なりますのでご相談ください

疲れると頭痛

ストレスによる緊張性頭痛の話は以前にも書きましたが、今回は疲れとともに出てくる頭痛の話です。

28歳の女性Tさん、神経を使う仕事をされていて、疲れてくると肩がこり、首から後頭部にかけて頭痛がするとのことでした。めまいも月に2~3回はあり、座っていてもクラッとするので相談にこられました。

血圧は低く血流が良くないタイプで、漢方では<気滞血お>と捉え活血作用の<冠元顆粒>を少しと、緊張を緩和する平肝作用の<釣藤散>を使っていただきましたところ、2週間余りで頭痛はすっかり消え、めまいも今まで全く起こらず、喜んでいただきました。

肩こりからくる頭痛には、通常<葛根湯>を用いますが、血流が悪いとか緊張が連続する方には、異なった対応で改善することもよくあります。漢方は体質によって決めるものなのです。

後頭部の痛み

後頭部の痛みには肩こりからくる頭痛や、後頭神経痛などがあります。

50歳の女性Iさん、ヘルペスになった後に顔面痛が残り、同時に後頭部の痛みが発現しました。また、左半身が冷えて腰痛などもあり相談に来られました。

顔面痛はヘルペスによる三叉神経痛が疑われますが、その他の痛みは冷えや筋肉の緊張によるものと思われ、疼痛に使う<麻黄附子細辛湯>や、頭痛薬の<釣藤散>をお使いいただきました。

2週間後、後頭部痛や肩こり、腰痛などが改善し、顔面痛だけが残っていましたので、今度は<麻黄附子細辛湯>や健康食品Bをお使いいただきました。ヘルペス後の痛みは時間がかかりますが、改善することを期待しています。

水毒による頭痛

頭痛の原因はたくさんありますが、そのひとつに水毒によるものがあります。中医学では<痰濁頭痛>といいます。

特徴は、身体の水分滞留のために頭が重く、めまいがあり、ムカムカする、あるいは嘔吐するなどの症状があります。

60歳の女性Mさん、以前からお越しになっていたのですが、今回は頭が張るような頭痛とめまいがあり、ゲップをし、ムカムカする、胸が詰まるような感じもするとの相談を受けました。

舌は白苔があり、胃腸が弱くて水分がオーバーしているようでしたので<半夏白朮天麻湯>を使っていただきました。1週間後、飲んでいると調子が良いとのことでしたので、しばらく続けることとしました。

これから梅雨時期に入ると湿気が多く、身体にも<湿>が溜りやすくなりますので、このようなトラブルも増えるかと思われます。

ストレスと頭痛 2

昨日の続き、ストレスによる頭痛の話です。

37歳Aさんは色白、冷えやすく、家庭のことや子供のことでストレスを受けやすい方で、よく頭痛を起こします。日頃はイライラが多く、神経症状に使う<加味逍遥散>を使っていただいているのですが、頭痛のときは<川きゅう茶調散>を頓服として使っていただいています。

この薬は、冷たい風が当たったときに発症する<風寒>の頭痛の薬としてよく使われますが、中に止痛効果のある生薬<白し>や<羌活>が含まれているため、偏頭痛や神経性の頭痛、あるいはピリピリと痛むようなタイプの方に用いて即効性がある場合が多いです。

常備薬として置いておくとよい漢方薬です。

ストレスと頭痛

今日、明日は頭痛の話を2題です。

頭痛もたくさんの原因があり、たくさんの処方がありますので「頭痛にはこれ」とはいかず、体質や、発症のきっかけ、悪化する要因や時間などを尋ねて考えます。

男性Mさんは、ほとんど毎日肩こりから後頭部にかけて頭痛がし、ストレスを感じると酷くなり、こめかみも痛むときがあります。朝夕問わず発症するため、相談にこられました。

お聞きした症状からは緊張性頭痛と言われるもので、一般的には肩こりから来る場合は<葛根湯>が使われますが、この方には平肝作用の<釣藤散>を使っていただきました。

結果は、飲んでいると楽になるが、やめると痛むとのこと。ストレスという根本原因が取り除くことが出来ないので、完全に治まるには時間がかかりそうです。

頭痛のパターン

今日は頭痛の相談が3人ありました。

以前も書きましたが、1日に同様の疾患の方が集まるというのは、何かバイオリズムのような、不思議な力が働いているように思えます。

さて、頭痛も様々なパターンがあり、対応も多処方がありますが、《頭痛が発生している部位》、《痛む時期や時間》、《痛み方》 である程度原因が推定できます。

今日の方は、Yさんは後頭部が鈍痛、Kさんは前頭葉が夕方痛む、Mさんは目の奥からこめかみが昼に痛む、という異なったパターンで特徴的でした。そして、Yさんの場合は血流不良が関係しているとみて<冠元顆粒>を基本にエキス剤を組み合わせ、Kさんは神経的な疲れが原因ですので疎肝剤を基本にし、Mさんは仕事での目の疲れやストレスが原因ですので<杞菊地黄丸>を基本にエキス剤を使っていただきました。もちろん体質も合わせて考えた結果です。

効果のほどはみなさん1週間後ですが、改善することを期待して待っています。

さまざまな頭痛

先日も頭痛に関することを書きましたが

またまたテレビの番組「あるあるⅡ」でも頭痛の特集がありました。

頭痛の9割が偏頭痛や緊張性頭痛で、残る1割が脳梗塞や腫瘍など脳内で起こるこわい頭痛ということです。そして最近わかったのに「脳脊髄液減少症」による頭痛があるということでした。

打撲などによって脊髄液が漏れた場合に脳内の液が減少して、脳の位置が下がることで頭痛が発生するというものです。症状は重く締め付けられるようなタイプの頭痛です。この症状が出たときに、水分をとって体液、髄液が増えると楽になるらしいです。

これは漢方でいう血虚頭痛に相当するように思われ、たとえば補血作用の<当帰芍薬散>によって血流を良くすると楽になるようなタイプが想像されます。

医学検査方法が発達し、新しい病名がどんどん増えていきますが、よくよく考えれば、昔からその病気・症状はあり、漢方もそれに対応してきたのです。そしてそれぞれの症状に応じた治療法も、漢方ではすでに確立されているのです。3000年の歴史の蓄積ですね。

ストレス性頭痛

頭痛にもいろいろあります。

よく聞くのはズキンズキンの片頭痛ですが、他にも締め付けられるような緊張性頭痛、片側の目の奥が痛む群発頭痛、そして脳に異常があって起こる症候性頭痛などがよく知られています。

漢方では、その原因で分類し、<寒> <熱> <湿> <肝陽> <血虚>などがあります。この中でも、難しいのが<肝>によるもので、いわゆるストレスを引き金とするものです。

42歳男性のSさん、数年前は週に1回程度の頭痛、それも休日に多く起こっていました。病院で頭痛薬をもらい、服用すると治まっていましたが、徐々に効かなくなってきました。そして頭痛の頻度も増したので、薬も変えられて、カフェルゴットが一番よく効いていたのですが、年々量が増えて効果が低下してきました。初期はストレスを受けたときに発症していたのが慢性化し、頻繁になってきました。根本治療にと漢方薬をお勧めしたのですが、このタイプの頭痛には即効性がなく、少しでやめられました。

寒冷による頭痛や、湿気による頭重、緊張性頭痛などには漢方薬でも即効性がありますが、ストレス性はその要因をなくすることが難しく、西洋医学でも難しいようです。

漢方を根気よく続けられないのも頭痛の方によくあり、これが私の頭痛のタネです。