長引く空咳

風邪の後などの咳は取れにくいもので、長引くとなかなか治癒せず、喘息様になる方もあります。これに対し漢方薬は比較的得意とする分野でもありますが、体質と関連している場合は簡単に改善しないケースもあります。

34歳女性Kさん、会社で暖房機が入った日から咽の痛み、鼻水、発熱などの風邪症状が出始めました。その後5日ほどで熱や鼻水は治まったのですが咳だけが残り、相談に来られました。

咳の特徴は空咳(乾燥咳)でしたので、<養陰清肺湯>をお使いいただいたところ楽になりました。しかし、飲んだ後1時間程度は調子が良いのですが、その後は再び不調で、繰り返し飲んでもらっていても完治する様子が見られませんでした。

2週間経過後、あまりに長引くので、今度は煎じ薬の<杏蘇散>を使っていただきました。すると、2服ですっかり咳がとまり、その夜は咳き込むことなく良く寝られたとのことでした。もう少し早くこの処方を思いつけば、Kさんも咳で苦しむことがなかったことでしょう。

Kさんは陰虚体質で乾燥傾向があるため、肺系に潤いを保ち咳を軽減する<養陰清肺湯>を使ったのですが、秋の冷えと乾燥による肺系への影響を改善する<杏蘇散>のほうが適していたようです。

薬が合うときは1~2服で治ることを実感しました!