ふたたび蕁麻疹の話

今まで何回か蕁麻疹に関して書きましたが、今日は2人の方からうれしい報告をいただきました。

一人は72歳の男性Tさん、昨年5月に蕁麻疹を発症し、その後病院で治療されていましたが完全に消えることなく、今年の初めに相談に来られました。

体質は、血圧が高く、暑がり、脂肪肝があるという<湿熱>タイプでした。そこで清熱利湿の<茵陳蒿湯>と、清熱解毒の<黄連解毒湯>などの漢方薬を使っていただきました。

その後、5日間を過ぎた頃から蕁麻疹は消え、新たには出なくなりました。身体の中から余分な熱を取った結果改善したようです。

二人目は55歳の男性Tさん、昨年から時々蕁麻疹で相談に来られていたのですが、肝機能が高く、また年末にお酒も飲むことが多くなるので、田七人参含有健康食品を使っていただきました。

その後は蕁麻疹が出なくなり、調子が良いとの事。結局肝臓の解毒作用の低下が原因だったのではと思われます。

使う漢方は異なりますが、同じ症状の方が同じ時期に良くなったので参考に紹介します。

慢性蕁麻疹が改善

急性蕁麻疹は比較的短時間で改善しますが、1ヶ月を超えるような慢性蕁麻疹は原因も様々で、再発を繰り返し、難治性のものが多いのですが、今回それが劇的に改善した例を紹介します。

26歳の女性Kさん、6年前にはじめて来られ、蕁麻疹とニキビの相談を受けました。蕁麻疹の発症は高校生の時からで、すでに2年以上経過していて皮膚科にもかかっておられましたが改善せず、漢方しかないと思ってこられました。

原因ははっきりわかりませんが、ストレスが関連しているようでテストや行事のときは悪化するとのこと。そこで、疎肝薬の<柴胡疎肝散>や、皮膚病薬の<温清飲>など、状況に応じて様々な漢方薬を使い少しは小康状態を保っていましたが完治はせず、時々来られていました。

今回は蕁麻疹を根本治療する意味でアレルギー体質を改善する目的で、衛気を高める<衛益顆粒>や、<桂枝加黄蓍湯>などの漢方薬を使っていただきました。

そして飲み始めてすぐに蕁麻疹は治まり、その後出なくなりました。あまりの早い効果に驚きで、免疫の異常が蕁麻疹を発症させていることが明らかでした。

長期の疾患ですので短期間に完治するとは思いませんが、しばらく続けることで発症しなくなるものと思われます。

蕁麻疹の話

26歳の女性Fさん、春や秋に毎年蕁麻疹が顔に出て、それが年々悪化傾向にあるとの相談を受けました。顔が赤く腫れるだけで、その他に特別な症状もなく、皮膚科でも特に原因はわからず、アレルギー体質によるものだろうといわれました。しかし年々悪化していくので、漢方で根本治療したいとのことでした。

漢方での体質判断は<表虚>と考えられ、炎症をとるための<辛涼解表薬>と、表虚体質改善し、衛気を高める<衛益顆粒>をお使いいただきました。

服用はじめて2日目から引きはじめ、4日ですっかり良くなったとのことで喜んでいただきました。その後は表虚体質の改善に<衛益顆粒>だけをお使いいただきました。

すべてこのような短時間で改善するものではありませんので念のため。

蕁麻疹とあせも

皮膚病は症状が多岐で、皮膚科では様々な診断名が下されますが、漢方では病名にこだわらず、出ている症状から漢方薬を決めていきます。

11歳の女子Hさん、背中や腹部に赤い発疹が出て、全身に広がってきた、温まると痒く、寝ているときも痒い、汗をよくかく、とのことでした。皮膚科では蕁麻疹との診断でしたがよくならないので相談に来られました。

状態をよく見ると蕁麻疹というより、あせものようでしたので、あせもによく使う<桂枝加黄蓍湯>と熱を冷ます<黄連解毒湯>を使っていただき、あわせて<桃の葉>を入浴剤として併用いただきました。

1週間後にこられ、上半身はほとんど発疹や赤みが引いて、かゆみもなくなり、予想以上の早い改善でした。まだ下半身に残っているとのことでしたので、今度は<桃の葉>でローションを作っていただき、スプレーしてもらうように伝えました。

この例は、皮膚科で蕁麻疹と診断されたが、実はあせもだったというものです。ついつい蕁麻疹という診断名に惑わされますが、症状と体質で考えることが大切なこととを再認識しました。

蕁麻疹の相談が急増

蕁麻疹は年間を通して相談がありますが、この2ヶ月間は不思議なほどに多くありました。

蕁麻疹の原因は様々で、

アレルギーによるもの、

食事に関連するもの、

汗によるもの、

ストレスに伴うもの、

皮ふの弱さによるものなど、

たくさんあります。

しかし、相談にこられる方のほとんどが、原因不明! はっきりとした原因がわからないものです。

医院では抗アレルギー剤が使われますが、漢方薬にはたくさんの種類があります。ただし、短期間で改善するものと、漢方薬をいろいろ変えてもなかなか改善しないケースがあり、難しい疾患です。

29歳男性Tさん、以前から春や秋の季節の変わり目に発症し、今年も先週からはじまりました。紅丘疹多数出て、夜間は痒みが酷く、冷やすと少し楽になるとのことでした。季節の変わり目によく出ることや、汗をあまりかかないことを判断基準として、疏風清熱作用の<消風散>や、発汗作用のある漢方薬を使っていただきました。

そして1週間後、痒みはほとんどなくなり、赤みも少なくなってきました。赤みのあったところは色が黒く残っていますが、落ち着いたようです。また、手のひらにあった水疱も消え、新しい皮ふが再生してきました。

光線過敏症

夏の日差しが強くなると、日光蕁麻疹や光線過敏症(日光アレルギー)の相談が増えてきます。3年前の症例・・・

23歳女性、元々アレルギー体質があり、夏になると光線で皮膚が痒くなるといって相談にこられました。このとき5月から<柴胡剤>を飲み始め、6、7月と症状が出ず順調に経過しました。8月にはハワイへ旅行、以前は強い光で水泡が出来ることがあり心配されていましたが、事前に頓服として<麻黄剤>で発汗促進も考え、全くトラブルなく楽しまれました。

以後しばらく続けられて、完全に治ってしまいました。

蕁麻疹

蕁麻疹の原因はたくさんあり、アレルギー性、物理性、食事性、コリン性、接触性、心因性などに区分されるものから、原因不明のものまであります。

  

漢方では、発症部位、色、丘疹の状態と体質や経過を合わせて考えます。

  

19歳男性、大学受験の半年前に発症したが、受験が終わると治まってしまいました。その後予備校に行かれ、最近また再発の傾向があるとのこと。いろいろ話を聞いてみると、受験ストレスによる心因性と思われ、ストレスが交感神経の緊張を生み、免疫の異常を起していると考えられました。

  

ストレスによる過敏な反応をしないように柴胡剤をお使いいただきました。以前に専門学校生で、夏に国家試験を受ける前に蕁麻疹が発症し、柴胡剤で改善した例や、就職活動で発症した例などを参考にしました。