口中の泡

口に泡状のものが溜まるという症状があります。原因はお腹の冷えやストレスなどが良く見られます。

53歳の女性Sさんは3年ほど前からストレスを受けることがあり、昨年には身内に不幸があり、それ以来口中に異常を感じるようになりました。胃が不調、口渇があり、お腹が冷え、疲れやすいとのこと。舌は厚白苔で、明らかに水分がおなかに滞留しているような状態でした。

そこで 温中散寒・補気作用の<人参湯>や、和胃・消痞の<半夏瀉心湯>を用いて、お腹を温め、水分代謝を改善すると、泡は少なくなり、食欲も出てきてすっかり楽になりました。

口中の泡にはこれ以外に神経性のもの、過敏で緊張しやすい方の場合の泡はなかなか簡単には改善せず、苦労するケースがあります。

再び 舌炎のはなし

58歳の女性Mさん、時々舌の扁縁部(横側)があれて痛み、少し陥没気味で、朝方は比較的ましですが、夜になると痛みが強くなるとのこと。

元々は下肢の冷えなどで来られていた方で、舌診では胖大で淡舌、すなわち気血両虚が明らかでした。そこで補気・補陰を目標に、麦門冬や人参が含まれ、冷え症にも用いる<麦味参>をお使いいただきました。

最初は3日分ずつ様子を見ながら使っておられましたが、10日ほど経って痛みがほとんどなくなりました。まだ完全に治ったとは思われませんが、結構早い改善が見られ驚きでした。

以前にも書きましたように体質をしっかり捉えることの大切さを痛感しました。

舌炎の痛み 2

先日舌炎の男性の話を書きましたが

同日に舌の辺縁部が痛むという女性が相談に来られていました。

43歳女性、会社員の方、1年ほど前から痛くなり始め、医院で抗生物質をもらっていましたが、痛みは改善せず困っておられました。状態は、舌の辺縁部に赤みはなく、炎症が明らかでなかったのですが、痛みがあるとのことでした。

比較的色白で、冷え性、少しヤセ気味の方で、発症した時期は忙しく、ストレスも多かったとのこと。中医学では「気血両虚」のタイプで、補血を中心に考えようと思ったのですが、疎肝を優先し、血の道症に使う<逍遥丸>をお使いいただきました。

そして2週間過ぎた今日来店され、かなり楽になってきたとのことでした。今回は粘膜の修復作用を目的にオウギ製剤を加えました。1年間抗生物質を使って、胃腸も負担になっていると思われますので、胃の調子も整える必要があります。

舌炎の痛み

口内炎のように舌が炎症を起こし、痛みや潰瘍状になることがあります。

中医学では、胃熱(食べ過ぎなどで胃がオーバーヒートしている)、陰虚(身体の水分代謝が異常)、心火(ストレスなどでのぼせ気味の状態)などを原因とすることが多く、体質も考慮して漢方薬を選びます。

短期の口内炎は治療しなくても改善しますが、慢性的な炎症や潰瘍は漢方が得意な分野です。

55歳男性Bさん、舌が歯にこすれるためか、舌の辺縁部が潰瘍状になって痛く、話しにくく、その後は咽も痛くなり相談にこられました。

口腔部全体に炎症があり、話すたびに舌が歯に触れて痛く、食事も辛いようでした。早速、炎症を鎮めるための清熱解毒作用がある喉の痛みの薬<銀翹散> と 粘膜の改善のためにオウギ製剤を使っていただきました。1週間後来店され、痛みはかなり改善し楽になったとのことで、そのまま継続服用していただいています。

舌炎の場合も、発症の原因となったこと、例えば食生活やストレスなどの改善も合わせてしていただくようにアドバイスしています。すべての病は、生活の中に原因やその病になった引き金があるので、それを本人に気づいていただき、改めていくことが症状改善の近道なのです。