「月経前症候群と漢方薬」

月経前症候群(PMS)とは

月経前症候群または月経前緊張症と言われ、月経の1週間~2週間前に起きる様々な症状を指します。症状には、乳房の張りや下腹部の膨満感といった身体的症状や、イライラや不安などの精神症状、また集中力がなくなったり、食欲が増加する行動的症状といった不快な症状が現れます。

現代西洋医学においても、まだ明確な原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンの変化が影響していると考えられており、多くの場合、ピルや向精神薬などの対処療法がおこなわれます。

中医学では、気血の流れや自律神経のバランスをコントロールする<肝>が、ストレスなどの影響によって、その機能を失うことで月経前症候群が起こると考えます。

月経前症候群(PMS)の中医学的考え方

そのため中医学では、
 ・ホルモンバランスを整える
 ・精神的な安定をはかる
 ・気血の巡りを良くする
といった働きの漢方薬を主に用います。

漢方薬は月経前の症状にとても効果があり、 ご自身の症状や体質を踏まえた漢方薬の適切な選択により、ほぼ即効性が期待できます。

身体的症状 乳房の張り、首凝り、肩凝り、頭痛、腰痛、肌荒れ、下腹部痛、下痢、便秘、倦怠感、浮腫み、冷え 逍遥丸、加味逍遥散、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、柴胡疎肝湯、婦宝当帰膠
精神的症状 いらいら、落ち込みやすい、不安感、涙もろい、やる気が出ない、人に会うのが億劫 逍遥丸、加味逍遥散、香蘇散、柴胡疎肝湯、抑肝散加陳皮半夏、婦宝当帰膠、シベリア人参
行動的症状 集中力の低下、やつあたり、食欲増加、眠たい、衝動買い、攻撃的 婦宝当帰膠、加味逍遥散、補中益気湯、抑肝散加陳皮半夏、シベリア人参

※体質により漢方薬は異なりますので、ご相談ください。

月経前症候群(PMS)ケーススタディ

月経前の肌荒れ

28歳Yさんは 月経前にお肌の症状が悪化しやすく辛いとのことで、 ご相談にいらっしゃいました。

詳しくお聞きすると、もともとニキビが治りにくく、 膿んでしまうこともしばしばあるとのこと。
また、月経前には、ニキビが酷くなるだけでなく、 イライラが強くなる精神症状や、胸も張って痛むといった症状が現れるとのことでした。

普段より便秘気味ということもあったので、疏肝解鬱や清熱解毒作用のある<加味逍遥散>を中心に飲んでいただくことにしました。

服用して半月ほどでニキビが出にくくなってきたものの、 月経前の症状の変化を見るために、継続して服用していただき、2ヵ月程経った頃にはニキビはほとんど出なくなりました。

イスクラ加味逍遥散漢方ではこれらの根本原因は腎虚証(身体のエネルギー不足)にあると考えます。生まれつき弱い人や老人、慢性病の人がなりやすいです。この腎虚を改善する薬を「八仙丸」と言い、中国では不老長寿の薬として珍重されてきました。漢方で若返るのも夢ではありません。

PMSの不快症状

22歳のMさんは お腹や下半身の冷え、また体全体の浮腫みが気になるということでご相談に来られました。

詳しくお聞きすると、月経前には情緒不安定になりイライラが強く、どんなに寝ても疲れがとれず、お腹が緩いとのことでした。

舌を見てみると、淡紅舌で歯痕あり。
気血両虚による不調と捉え、胃腸の調子を整えて体の気血を補う<当帰芍薬散>を中心に服用していたところ、次の月経前には体の疲れが少し楽になってきたとのことでした。
トウシャン 便は変わらず軟らかいとのことだったので、併せて胃腸を整えるお薬も飲んでいただくことにしました。

さらにその次の月経が来る頃には、身体の重だるさがなくなり、便通も改善してきたとのことでした。
今は体質改善も含めて、お薬を継続して頂いています。

※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。

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