「目の疲れ(眼精疲労)の症状と漢方薬 」
眼精疲労症候群は多くの原因があります。主なものは、眼球や眼の疾患に伴うもの、パソコンなど目を使うことが多い外的要因、自律神経や内臓疾患に関連する内的要因があります。
眼精疲労の中医学的対処法
漢方では、眼だけでなく、全身の問題として捉えることが殆んどで、特に肝臓を重視します。よくある症状としては、異物感、膨張感、乾燥感、眼瞼下垂、飛蚊症、かすみ眼、涙目、眼瞼痙攣、変性症などの方が相談に来られます。いずれもその方の体質をとらえ、「肝・腎・脾」の働きを考えあわせて対応します。
眼精疲労のケーススタディ
飲む目薬、杞菊地黄丸
コンピューターのめまぐるしい普及により、目の疲れ、痛み、視力低下などの症状を訴える人が増加しています。眼科に行っても対症療法しかなく、不安になる人も多いようです。昔から「目は心の窓」とか「目は口ほどに物言う」と言われるように、大切な感覚器官です。
漢方では感覚器官と内臓を関連付け、目は特に「肝」と深い関わりがあると考えます。これを「肝は目に開く」と言います。更に細かくは、瞳は腎、黒目の部分は肝、白目の部分は肺、目頭と目尻は心、瞼は脾(消化器)と関連付けています。
眼の疲れを取り除き、視力低下を防ぐためには、肝(黒目)と腎(瞳孔)を重視しています。つまり、腎に蓄えられた生命エネルギーが肝に蓄えられた血液と栄養を目に送り、初めて見えると考えられているのです。いわゆる「肝腎かなめ」と言われるように肝と腎はお互いに働きを補う合う関係で、生命活動の中心ととらえています。
目を守るには、肝臓が必要としているビタミンAを多く含んだ緑黄色野菜やレバー、大豆、煮干、海草などを取り、睡眠を充分にとり、たばこや酒を控えめにすることが大切です。 漢方薬では、テレビや新聞で有名になった杞菊地黄丸があります。これは枸杞(くこ)の実や菊の花が含まれた、前述の肝と腎を補う薬で、「飲む目薬」とも言われ大変人気があります。
瞼の痙攣
眼瞼痙攣はストレスを受けやすい方によく見られ、西洋医学では筋弛緩作用を目的にボトックス注射などが行われますが、漢方でも同様に緊張を緩和するような漢方薬を用います。
以前からお越しの46歳の女性Mさん、昨年末は忙しく、疲れ目とともに瞼が痙攣するとの相談を受けました。その他、寝つきが悪い、足が痙攣を起こす、イライラする、などの症状もありましたので、<四物湯>や<抑肝散>をお使いいただきました。
その2週間後には少し楽になり、4週間後には症状は改善され薬は要らなくなりました。
症状の軽い時期は改善することが多いのですが、ボトックス注射を繰り返されている方の場合は、なかなか改善しないケースもあります。
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。