「めまい・立ちくらみの症状と漢方薬」
めまい・立ちくらみとは
西洋医学でめまいの原因は、耳から生じるものとして、耳石の移動やリンパ液の増加、神経の炎症などがあり、 脳から生じるものとして、脳血流不全や脳梗塞などがあり その他にも、低血圧やストレスによるものなどに分類されます。めまいの症状別漢方薬
漢方ではめまいの症状と体質からその原因を捉えます。
天井が回転するめまい | 水毒といわれる、水分代謝の異常が原因 | 沢瀉湯や五苓散などで水分を軽減する |
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足元がフワフワ 雲の上を歩くようなめまい |
おなかが冷えやすく、胃腸の水分滞留している | 苓桂朮甘湯などでおなかの水分を軽減する |
景色が流れる感じ 歩くと斜行する |
年齢が高い方に多く、水分が代謝されないために生じる | 真武湯などで、温補補腎する |
更年期症状に伴うめまい | ストレスやイライラ、体温調整がうまくいかないなど | 加味逍遥散などで、ホルモンバランスを整える |
貧血のような 立ちくらみとめまい |
血液不足や、血流不良などで、一過性の脳貧血により生じる | 桂枝茯苓丸などで血流をよくする |
のぼせがあって、 頭がカーとするようなめまい |
気の上衝に伴って起きる | 苓桂甘棗湯などで、気を引き下げ、安定させる |
急性で初期の場合は、漢方薬で早い改善が望めますが、慢性化したケースは難しくなります。
いずれもタイプを正確に見極めることが改善のポイントです。
※ メニエール病のページにも詳しく記載されていますのでご覧ください。
https://www.kanpou.info/o/menieru.html
めまいのケーススタディ
原因不明のめまい
52歳のA子さん、1年前から「めまい」が出てきたそうです。徐々にひどくなり、外出もできなくなりました。めまいの他に頭重感、動悸、息切れ、立ち眩み、不眠、手足の冷えも訴えています。耳鼻咽喉科、めまい外来にも行き、「多少貧血があるが異常ない」と言われ困って来店されました。A子さんには、血液を補う婦宝当帰膠と循環を良くする冠元顆粒を飲んで頂きました。1ヵ月後めまい、頭重感、立ち眩みが良くなり、外出が出来るようになりました。3ヵ月後には貧血も良くなり、不眠も解消され、日常生活に支障を来たす事が無くなりました。A子さん以外にもめまいで、起きられない、洗顔、洗髪が出来ないと訴えられた方が多数いらっしゃいました。
「めまい」は生理的なものは心配ありませんが、病的なものについては様々な疾患もあるため、充分な対応が大切になります。病的なめまいは
- 内耳や小脳の障害による場合
- 循環障害や内分泌障害による場合
- 心疾患や脳腫瘍、精神疾患による場合
があります。しかし、色々検査しても原因不明で、しかも症状が取れなくて困っている方には漢方薬が奏効する事が多いようです。漢方では、めまいを
- 水毒型(内リンパ水腫=水分代謝機能障害)
- お血型(うっ血=血液循環障害)
- 気虚型(エネルギー不足)
に分類し、それぞれに対応する漢方薬があります。原因不明といわれた「めまい」には、その方の体質を見極め処方する、漢方が得意とする分野です。
春のめまい
春の時期、めまいや立ちくらみを訴える人が多くなります。その原因は多様で、様々な病気に起因し、治療法も複雑です。めまいの症状は天井が回転したり、身体が揺れたり、浮いた感じがします。立くらみは立ち上がったとき頭がふらついたり、瞬間に目の前が見えなくなります。
西洋医学では、原因が貧血や高血圧、脳腫瘍などの器質的なものは治療方針が立つのですが、原因不明のものは苦手です。こんなときは漢方が良いのです。
漢方では、気虚型(エネルギー不足)、水滞型(水分代謝機能異常)に分けられます。
気虚型の内の腎虚型は、慢性疾患や老化などで精気が不足してくると足腰に力がなくなり、身体が揺れ動いて平衡感覚がとれず、まるで根無し草が風に揺れているようになります。この場合は根をしっかり地面にはるような補腎剤(六味丸など)を用いています。また、脳を養う「気」が不足し、脳の空虚感(頭がぼやける)や物忘れが多いタイプには補気剤(補中益気湯など)を用いています。
水滞型は西洋医学でいうメニエール症候群の一部に相当し、天井が回転したり、斜めに歩行したり、嘔吐を伴ったりします。水分の取りすぎや胃腸機能低下により、水分が停滞して、脳の気(清陽の気)の運行が出来ないために生じると考えられています。この時は、身体を温めて余分な水分を取り、苓桂朮甘湯や真武湯などを用います。不安な症状を解消し、春を満喫したいものですね!
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。