「肥満・ダイエットの漢方薬」
肥満・ダイエットの中医学的考え方
肥満は、体重過多と体脂肪過多に区分されます。体重過多は体格指数(BMI値)が30以上を肥満とし、体脂肪では女性30%以上、男性25%以上を肥満とします。原因は、摂取カロリーオーバーが多いですが、遺伝性もあります。また閉経後の女性は肥満になりやすいようです。
漢方には肥満に対する理論はありませんが、実際は様々な方法が使われています。主なものは体に溜まっている湿熱をとる、血流を良くする、元気を補い代謝を促進するなどですが、最近は短期間での効果を期待されるため、適切なカロリー制限のためのマイクロダイエットや、消化促進、排泄促進、食事指導などを、タイプによって合わせる必要があります。
肥満・ダイエットのケーススタディ
様々な肥満の原因
細くなりたいと願う若い女性は多いようです。本来治療しなければならない肥満は、脳卒中、動脈硬化、心臓病、糖尿病などの生活習慣病(成人病)を悪化させる肥満です。肥満は動物性脂肪や甘い物の摂取で中性脂肪が異常に多くなり、標準体重が20%以上増えた状態です。最近は肥満児も増加傾向にあり、気になります。
肥満の原因は遺伝もありますが、多くは食べ過ぎ、運動不足、中高年の代謝低下、ホルモンの異常などがあります。漢方的に分類すると
- 比較的体力があり、胃腸も丈夫で油濃いものや味の濃い物を好み、食べ過ぎ飲み過ぎの固太りタイプ、この場合は「防風通聖散」がよく使われます。
- 色白で汗をかきやすく、身体が重く、特に梅雨時期に辛くなる水太りタイプ、この場合は皮膚組織の水分代謝を活発にする「防已黄耆湯」が用いられます。
- 中年のお腹が出た状態で、老化やホルモン低下により脂肪が増加し、腰や手足が冷えだるさを伴う中年太りタイプ、この場合は「牛車腎気丸」のような補腎剤が用いられます。
肥満の治療は漢方薬だけでなく、食事療法で塩分や刺激物の制限をし、食べる量を節制することと、充分な運動が大切です。また、お茶ではウーロン茶が知られていますが、脂肪分を減らす山査子や麦芽が入った晶三仙が最近出ています。
無謀なダイエット
無理なダイエットで急激に体重を落とし、無月経になってしまったという26歳の女性。また体重が30kgになって肝臓病を患い、拒食症に陥ってしまった女子学生。ダイエットに失敗した方がよく来店されます。特に最近はダイエット情報が氾濫し、その多さに惑わされることも多いようです。
ダイエットとは単なる痩身だけでなく、体脂肪を減らし、筋肉を落とさない、健康で美しい身体をつくること(健美)であり、美容と疾病予防が目的となるものです。肥満は高血圧、糖尿病、脂肪肝、腰痛などを引き起こす要因になります。その元は健康のバランスが崩れて、太りやすい体質になっているところにあります。
漢方では太りやすい体質を4つに分けます。気虚太り(食べないのに太る、下半身太り)、気滞太り(ストレスが多く体重増減が激しい)、湿熱(食欲が旺盛で、全身がっちり太っている)、お血太り(背や腕など上半身が太く、見た目より体重が多い)があり、タイプによってダイエット方法も違ってきます。その原因を探り、個々人にあった方法をとるのが本来の「漢方ダイエット」です。従って太りやすい体質の改善には漢方薬を、カロリー制限が必要な場合にはマイクロダイエットを、また体脂肪を減らす場合は三爽茶を使い、様々な組み合わせを考えます。正しいダイエットで、いつまでも美しく健康でありたいです。
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。